動揺は収まるのか、米大統領の経済対策注目
<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は、前日から一転しドル高・円安。一時は105円レベルまで、3円近いドルは急騰をたどっていた。
ドル/円は102.30-35円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。しかし、目先上値をキャップしていた102円半ばを超えると、そのまま105円レベルまで緩やかな右肩上がりを続ける展開に。時間外で取引されているNYダウ先物が800ドルを超える上昇となったうえ、NY原油先物も堅調推移。それらを好感したドル買いの流れが終日優勢となっていた。16時時点では104.60-65円で推移し、欧米時間を迎えている。
材料的に注視されていたものは、「新型ウイルス」について。
中国本土以外における感染者の拡大傾向止まらず。なかでも欧州情勢、「スウェーデン中銀副総裁がウイルス感染」、「フランス文化相もウイルス感染」、「ドイツで感染者が1000人超える、初めての死者も確認」、「イタリアの死者数が463人、感染者は韓国上回る9000人超」−−などといった報道が話題となっていた。なお、そうした事態を受け、ロイターは「EUが10日にも新型肺炎への対応策協議、緊急首脳会議を開催」と報じている。
対して、やはり感染者の増加が課題となっている米国は、ロイターが「米政府、米金融機関幹部を11日にホワイトハウスに集め、新型コロナウイルスの感染拡大への対応策を協議する」と報じたことに続き、米財務長官が「経済のため、政権はあらゆる手段使うことにコミット」と発言。またトランプ氏も、経済対策の策定を示しており、それらが東京時間のドル買い戻しに寄与していたことは間違いない。
<< 欧米市場の見通し >>
依然として落ち着かないNYダウは、昨日ついに史上初の終値で2000ドルを超える急落を記録。そして、本日東京では時間外の先物ベースだが、800ドルを超える急騰と、非常に荒っぽい変動がいまだ続いている。そして、為替市場におけるドル/円もそれに合わせる乱高下で、非常に激しい上下動だ。このあとも、米株や金利そして原油価格の動きなどに一喜一憂する展開、上下に振れる展開には引き続き注意を払いたい。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は目白押しの状況。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題で、とくに前段で取り上げたような欧米諸国における感染状況を注視している向きは少なくないようだ。また、それとともにトランプ氏が現地時間10日に発表するとされる「経済対策」の内容への関心も高い。本日の東京時間をみると、市場の期待感はかなり高いようだが、果たして期待に沿う内容となるのかどうか疑問を抱く声も。
テクニカルに見た場合、本日東京はドル高・円安。昨日早朝に空けた上方向のギャップ埋めをトライするも、105.00-35円レベルにはいまだギャップが空いている。このあとドルが続伸した場合には、そのギャップをしっかりと埋め切れるか否かにまずは注目したい。
それに対するサポートは103円半ばや103円レベルなど。昨日安値101.19円はやや遠い存在か。
一方、市場の関心の高い米経済指標の発表は予定されていない。ただ、経済指標でいえば10-12月期のユーロ圏GDP統計が発表される予定で、それには一応要注意だ。
また、米財務省による3年債の入札や、米ミシガン州やアイダホ州など6州で実施される予備選・党員集会の行方、そして前述したEUによる緊急協議、そしてトランプ氏による経済対策の内容なども波乱要因となりかねない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、103.50-105.30円。ドル高・円安方向は、本日高値である105円レベルの攻防にまずは注目。抜ければ、ギャップ上限である105.35円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、104円レベルをはじめ下向きに50ポイントずつ、弱いテクニカルポイントとなっている。少しずつビッドが観測されはじめているものの、トライすればそれらを串刺しにし、一気に下落する危険性も。
ドル円時間足
オーダー/ポジション状況
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