<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、ドル安・円高。週足は2週続けての長大陰線となり、そのあいだの下げ幅は7円近くにも達している。
週末は、新型コロナウイルスについて、韓国やイタリア、イランにおける感染者激増が報じられ話題に。そうしたなか、米国は「韓国とイタリアの一部地域を渡航中止引き上げ」と対外的には強固な姿勢をうかがわせた反面、金融市場に対しては米NEC委員長が「市場の反応は行き過ぎ。過剰反応すべきでない」と冷静さを求めるコメントを発していた。
週明け月曜日のドル/円は、未明の時間外取引で薄商いのなか一時107円割れをワンタッチするなど、先週末のNYクローズ108円前後から1円以上もドル安・円高で実質的にオープン。ただ、そのレベルからは買い戻されて108円台を回復したもののドルの上値はすでに重い。以降は、大荒れとなったNYダウの動きに一喜一憂する展開をたどるなか、ドル/円は下値を徐々に切り下げると、週末にはついに105円ちょうどまで下落している。発表された2月の米雇用統計はかなりの好数字だったが、それを受けたドル買いの動きも限定的で、結局105.35-40円で取引を終え越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、引き続き「新型コロナウイルス」関連について。
感染者については、中国本土の発生源である武漢をはじめ、拡大がようやく落ち着きを取り戻すなか、韓国とイタリア、イラン3ヵ国の罹患者の増え方が危機的状況として取り沙汰されていた。また、これまで楽観的に見られていた米国についても、「米カリフォルニア州が非常事態」を宣言するなど、ついに危機意識を持つ向きが増え始めると一週間を通して米株やドルの弱材料に。
そうしたなか、G7財務相・中銀総裁による緊急電話会談が開催されたことに続き、FRBが0.5%の電撃利下げを実施。しかし、それでも市場の動揺は収まらず。むしろ、混乱が広がったかたちで、実際NYダウは連日のように「前日比1000ドル安(高)」などといった荒っぽい乱高下を繰り返すと、為替市場においても波乱要因となっていた。
<< 今週の見通し >>
先でも指摘したように、米株の動きは依然として荒っぽく落ち着かない。ザラ場ベースの動きでいえば、一日のあいだに「前日比1000ドル安(高)」といった展開をたどることも、すでに日常化。決して珍しい状況ではなくなっている。そんな米株や米国の金利がどこまで落ち着きを取り戻せるか否かが目先の注目点で、今週も乱高下が続くようなら、為替市場も引き続き荒っぽい価格変動をたどる可能性を否定出来ない。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型ウイルス」、「米大統領選」など注意すべき要因は目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するものは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題。なかでも注視されているのは、「米カリフォルニア州が非常事態」を宣言するなど、懸念される米国情勢について。先週末に発表された雇用統計は良好な内容で、新型ウイルスの影響はまだ目立ってみられないが、トランプ米大統領は先週末にも「FRBは追加利下げをして、景気を刺激すべき」と発言、当局にプレッシャーをかけていた。米国を中心に日欧などについても、臨機応変な対応が出来るのか否か、政府や当局の対応が注視されている。また、急激な円高が進行しているだけに、本邦要人を中心とした「口先介入」についても注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、昨年8月安値104.44円を起点としたフィボナッチでは、76.4%戻しの106.30円レベルを割り込むなか、先週末には105円まで下落。100%戻しが現実の下値メドとして意識されるなか、本日早朝の時間外取引で104円台前半、そしてそののち103円台半ばまで一時急落した。
ここから先の明確な下値メドを見出すことは難しいが、2016年安値98.65円を起点とした上げ幅のフィボナッチ76.4%戻しは103.35-40円となる。一応、そのレベルがターゲットか。
今週は、2月の消費者物価指数や3月のミシガン大消費者信頼感指数速報値といった米経済指標が発表される予定となっている。
先週末に発表された米雇用統計は良好な内容だったが、日経新聞では「雇用の先行きは下振れ懸念が強い」としたうえで、FRBが3月中に再び利下げを決める可能性を取り沙汰していた。先週までの地合いをみても、米ファンダメンタルズの低迷はドル売りに繋がりかねず、発表される米指標内容には引き続き要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、102.50-105.50円。ドル高・円安については、本日早朝に上値へと空けたギャップ104.60-105.30円の攻防にまずは注視。しっかり埋めると106円台回復を目指す。
対するドル安・円高方向は、本日早朝に示現した安値の103円半ばが最初の下値メド。割り込むようだと、103.35-40円や103円などがターゲットに。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.21
東京市場のドルは154円台後半で推移、今晩も要人発言で上下に動く可能性アリ(24/11/21)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、時間外の米10年債利回りも上げ一服となったことでドルは一時154円台を付ける場面も見られた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.21
ドル円 地政学リスクくすぶるも再びレンジの様相に(11/21夕)
東京市場は一転してドルが弱含み。とくに終盤下げ足を速めている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:山中 康司
2020.03.09
重要なサポートを割り込み更なる円高継続(週報3月第2週)
今週も基本的に株安、ドル安、金(ドル建て)価格上昇、米国債利回り低下という動きが続くこととなりそうです。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2020.03.09
ドル円見通し 2018年3月、2019年1月と8月以来の104円台(週報3月第2週)
雇用統計の数字は米景気の強さを示すものだが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を反映していないため市場の反応も限定的でドル円はわずかな動きにとどまった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。