世界同時株安の行方は。ドル続落にも注意(週報3月第1週)

先週のドル/円は、ドル安・円高。一週間で4円以上の変動、あの「フラッシュクラッシュ」が観測された2018年末から2019年の年始以来の大相場だった。

世界同時株安の行方は。ドル続落にも注意(週報3月第1週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、ドル安・円高。一週間で4円以上の変動、あの「フラッシュクラッシュ」が観測された2018年末から2019年の年始以来の大相場だった。

前週末に開催されたG20財務相・中銀総裁会議は、「新型ウイルス対応へすべての政策を用いる」などとした声明を発表し閉幕したが、具体性には乏しいとの見方も少なくなく、失望を指摘する声も。また、「韓国が国内の警報レベルを最高段階に引き上げ」といったような、中国本土以外の拡大を懸念する報道も相次ぎ観測されている。
そうしたなか週明けのドル/円は111.20円台と、前週末のNYクローズと比べて安寄りしたのち、当初はドル買い優勢。111.68円の週間高値を示現している。しかし、それ以降はおおむねドル右肩下がりの展開に。これまで底堅かったNYダウが連日大崩れ、とくに2月27日には前日比1190.95ドルと過去最大の下げ幅を記録したことなどが嫌気されると、ドル安・円高がさらに加速した。107円半ばまで値を下げたのち、週末NYは小戻した108.05円レベルで取引を終え、越週している。
なお、そのほかでも円絡みの通貨ペアはいずれも値動きが荒い。たとえばポンド/円は週間を通して7円、カナダ/円は4円、NZドル/円も4円近い変動がそれぞれ観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、引き続き「新型コロナウイルス」について。
しかし、内容的にはこれまでと一線を画す内容。これは主に2つに大別され、ひとつは当局の発表でも中国本土の感染が落ち着きを取り戻しつつあることが明らかになった反面、それ以外の国の被害拡大が顕著になったこと。のちに、米CNNが「南極以外の5大陸すべてで被害が拡大した」と報じるような状態で、過去に感染者が確認されなかった中東諸国やブラジルなどでも初めて患者の発生がみられたという。また韓国は、中国本土に次ぐ世界2位まで感染者数が激増。わずか10日ほど前には合計100人にも満たなかった感染者数が、2月29日に同国政府が発表した公式データでは実に3526人となっていた。

もうひとつは、感染の世界的な拡大を受けた各国経済への影響と、それに対する具体的な対処法も話題に。たとえば、日本において「東京オリンピック」に関する噂や思惑、「中止論」や「延期論」がかまびすしいなか、実際の出来事として「米韓合同軍事演習が延期」、「IMF・世銀が4月総会の縮小検討」、「米・ASEAN特別首脳会議を延期」−−といった決定がなされ話題に。また、仏中銀総裁からは「ウイルス対応の金融政策措置は現時点で必要ない」と述べるなど平静を装う発言が聞かれた反面、米国は週末にパウエルFRB議長が「3月利下げ検討」を示唆するコメントを発している。

<< 今週の見通し >>

新型コロナウイルスに関する話題が依然として金融市場を席巻。そうしたなか、前述したように米国は先週末にFRB議長が「3月利下げ検討」を示唆、これが米株の急反発、ドルの下げ止まりを後押しした。しかし、そんな3月米利下げは早くも市場にほぼ織り込まれた格好で、市場筋の関心は早くも二の矢三の矢へと移行している。たとえば先週木曜日にロイターが報じたように、「3月利下げののち、7月末までにあと2回の利下げを実施」といった政策でも打ち出さないかぎりは、マーケットに根本からの安心感を与えることは出来ないのかもしれない。また、こうした新型ウイルス対策、米国だけでなく日欧あるいは韓国などについても要注意だろう。

材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型ウイルス」、「米大統領選」など注意すべき要因は目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するものは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題。また、それとは別に、世界同時株安という負の連鎖は止まるのか否かも注視されている。NYダウは、先週末のザラ場ベースで12日に記録した史上最高値から15%を超える下げを達成しており、いわゆる弱気派のなかでも一時的な底入れさほど遠くないなどとした声も聞かれていた。

テクニカルに見た場合、2月20日に記録した年初来高値112.22円から、1週間強で4円を超える下げ。下方向に位置した移動平均の200日線など、テクニカルポイントをことごとく割り込み一時107円台まで下落している。ポジションの偏りはさすがに気になるところだが、リスクという意味では間違いなく下向き。なお、先週安値107円半ばは、昨年8月安値104.44円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しにも近い。まずは、同レベルの攻防に注目だ。

今週は、2月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な複数の米経済指標が発表される予定となっている。先で取り上げたようにFRB議長が3月利下げを示唆したことで、米ファンダメンタルズ要因に対する関心も再び高まってきた。つまり、「米国は利下げを必要とするほど、景気が悪化しているのか」という疑念も一部からは聞かれはじめており、週末の雇用統計を中心に発表される指標内容次第では波乱も否定出来ないようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、106.30-108.80円。ドル高・円安については、先週末に割り込んできた200日線が位置する108.40円レベルの攻防にまずは注目。抜けても上方向に弱い抵抗は断続的に散見されるが、それでも先週の下げ足の速さからすれば予想以上の急反発の可能性も否定できない。
対するドル安・円高方向は、先週安値107円半ばの最初のサポートに。ちなみに、同レベルは昨年8月安値104.44円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しにも近い。割り込めば106円半ばや106.30円レベルなどを目指す展開か。

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