<< 東京市場の動き >>
27日の東京市場で、ドルが弱含み。株価の動きなどに一喜一憂しつつ、25日に続き、110円割れをワンタッチする局面も観測されていた。
ドル/円は110.35-40円で寄り付いたものの、緩やかな右肩下がり。日経平均株価が4日続落、終値ベースで477円安となったことや、NYダウ先物が時間外取引で300ドルを超える下げを記録したことなどを嫌気し、ドルも夕方には一時110円割れをワンタッチしている。16時時点では、辛うじて110円台を維持したが、110.00-05円の日中安値圏で推移し、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、引き続き「新型コロナウイルス」について。
中国本土の感染はだいぶ落ち着いてきた様子。当局の発表でも、26日の感染者数は433件の増加にとどまっている。しかし、それ以外の地域への広がりは著しく、金融市場においても波乱要因に。一例を挙げても、「ブラジル、中南米で初の感染例を確認」、「フランスで初の死者発生」、「ギリシャでも初感染を観測」−−などとなる。そうしたなか、トランプ米大統領は会見で「米国民のリスクは非常に低い」と火消しに動いていたが、効果は限定的だったようだ。
なお、中国本土に続く感染者数2位の韓国では、当局の発表で感染者が1600人近くに達するなど、爆発的な増加が止まらない。そのため、韓国への渡航中止勧告に動く国なども少なくなく、米国も「韓国への渡航の再考促す」との発表を行っていた。しかし、当の韓国は諸外国からの対応に不満を持っているようで、事実、同国外務省の高官が「富田駐韓日本大使を呼び出し、入国拒否撤回を要請した」とも報じられている。
<< 欧米市場の見通し >>
新型ウイルスは、感染源とされる中国の状況が落ち着いてきた反面、世界的な流行には歯止めが掛からない。先でも取り上げように、中南米で初めての感染者を確認、「南極以外のすべての大陸に拡大した」(米CNN)ことが明らかとなった。世界的な流行を示す「パンデミック」も待ったなしの状況で、ファンダメンタルズ要因をみれば良好な米国だが、積極的にドルは買い進められないとの声も決して少なくないようだ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は山積みという状況だ。そうしたなか、もっとも注意を要するのはいまだ「新型コロナウイルス」絡みの話題。日本においては、「東京オリンピック開催」に関する噂や思惑がかまびすしいが、世界的に見ても「米韓合同軍事演習が延期」、「IMF・世銀が4月総会の縮小検討」といった報道が新たに観測されている。なかなか良いニュースを想定しにくいなか、さらにネガティブな関連報道などが聞かれるようだとドル/円は110円割れに向けた動きをたどる可能性も。
テクニカルに見た場合、ドル/円は今月上旬から半ばまで2週間近く109.50-110.10円といったレンジ取引をたどっていたが、昨日からの流れを見ると、もとのレンジに回帰するか否かの正念場を迎えているようだ。取引時間中、ザラ場ベースではすでに前述レンジ内への下落も観測されており、このままNYクローズなどで「しっかり」と下回ってくるかどうかに注目。ちなみに、昨日ドル安値109.89円を下回ると、109.40-50円や109.20-25円などがターゲットに。
本日は10-12月期GDP統計改定値や2月のカンザスシティ連銀製造業活動指数など幾つかの米経済指標が発表される予定となっている。また、米財務省による7年債入札や、メスター・クリーブランド連銀総裁による挨拶など当局者の発言機会も少なくないだけに一応要注意。
そのほか、新型ウイルス関連でいえば、米国もさることながらイタリアを中心とした欧州や、ブラジルからの感染拡大があるのか否かといった中南米情勢が気掛かりだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.60-110.60円。ドル高・円安方向は、昨日高値である110.70円が抵抗として意識されているものの、やや遠い存在になりつつある感。110.20円レベル、110.40円レベルなどに位置する弱い抵抗の攻防にまずは注目だ。
対するドル安・円高方向は、直近安値109.89円が目先サポート。同レベル近くにはフィボナッチや移動平均の25日線など、複数のテクニカルポイントが位置し、なかなか強いサポートに。ただ、逆に底堅いゆえに、しっかり割り込むようだと下げが加速する危険性も取り沙汰されていた。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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