ドル円、リスク回避の円買いと米長期金利低下を受けたドル売りを背景に続落
海外時間の為替概況
27日(木)の海外市場でドル円は上値の重い展開。@新型コロナウィルスの感染拡大を受けたグローバルなリスク警戒ムード(アジア圏のみならず世界的なウィルス蔓延が世界経済を想像以上に冷やすとの警戒感。世界保健機関WHOのテドロス事務局長はパンデミックの可能性があると発言)や、A上記@を受けた米主要株価指数の下落(米ダウ平均株価は一時960ドル超の下落)及び、B米長期金利の急低下(米10年債利回りは史上最低水準となる1.25%まで%急低下)が重石となり、米国時間にかけて、2/18以来、約10日ぶり安値109.69まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、109.95近辺で推移しております。尚、この日発表された米・第4四半期GDP改定値(結果2.1%、予想2.1%)は市場予想と一致し、サプライズは見られませんでした。
昨日のユーロドル相場は急上昇。@ユーロ圏・2月景況感指数(結果103.5、予想102.8)が市場予想を上回ったこと(ユーロ買い)や、A米長期金利低下を受けたドル売り圧力、B月末ECBフィキシングを翌日に控えたユーロ買い・ドル売りフローが支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.1006まで急伸しました(2/6以来、約3週間ぶり高値)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.0988付近で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週木曜日(2/20)に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、昨日(2/27)は一時109.69まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て「上値の重さ」を意識させるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや(市場では米年内利下げを強く織り込む展開)、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大リスク(アジア圏のみならず、世界全域に感染拡大)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。本日発表される一連の米経済指標(PCEデフレータやシカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数など)が冴えない結果となった場合や、新型コロナウィルスの感染拡大を巡るネガティブな報道がなされた場合などには、「米景気減速懸念→米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売り」の経路と、「世界的な株安→リスク回避の円買い」の双方の経路で、ドル円が一段と押し下げられるリスクも想定されます。新型コロナウィルスに絡むヘッドラインや、米経済指標の結果、グローバルな株価及び米長期金利の動向、月末ECBフィキシングに絡む特殊フローを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円のベア見通し(弱気見通し)をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:109.50ー110.50
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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