FRB議長証言などに注目、ドル続伸も!?
<< アジア時間の動き >>
11日のアジア時間はドル堅調裡。値幅は狭いが「寄り付き安・大引け高」の展開で、見た目以上にドルの強さが際立っていた。
ドル/円は寄り付いた109.70-75円を日中安値に、ドルは右肩上がりの展開。夕方には109.90-95円まで上昇している。時間外で取引されているNYダウ先物をはじめ、日米中の株価がいずれも強含みで推移したほか、米長期金利の持ち直しも材料となり、終日を通してドル買い・円売りが優勢だった。16時時点では日中高値圏である109.90円前後で推移、欧米時間を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型肺炎」と「IMFによる日本への提言」について。
前者については、WHOが11-12日に新型ウイルスに関する研究会合を開催するなか、調査の先遣隊3名が中国入りしたことが話題となっていた。また、研究会合という点ではEUも13日に緊急の保健相会議を開催すると発表している。それぞれの対応に注目だ。なお、当局の発表によると、中国本土の感染者はおよそ4.2万人へと達しただけでなく、死者数はついに1000人の大台に乗せてきたことが明らかになっている。
それに対する後者は、偶然なのかそれとも必然なのか、IMFによる日本への複数の提言が聞かれ、いずれも話題に。ロイターは、対日審査を担当するIMFのカシン氏が書面インタビューで「日本経済は観光や小売り、輸出などを通じて新型肺炎の打撃を受ける可能性がある」と指摘したと報じるなか、公表した日本経済に関するIMF年次審査報告書のなかで「消費税率を2030年までに段階的に15%へ引き上げるよう提言」していたことが思惑を呼ぶ。また、別にIMFスタッフレポートとして、日銀は金融政策の目標を包括的に見直す必要があるとの見解を示したようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
大局的には109.50-110.00円という、ここ最近のレンジ内ではあるものの、本日東京でその上限に急接近する展開となっている。時間足など短期のチャートをみれば、先週末から2-3度上抜けをトライするも越えられなかっただけに、油断は禁物ながらリスクという点では上方向にバイアスか。110円をしっかり超えれば、年初来高値の110.30円あるいは110円半ばなどが次のターゲットとなりそうだ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型肺炎」、「米大統領選」など気掛かりな要因は依然として少なくない。そうしたなか、もっとも注意を要するのは引き続き「新型肺炎」絡みの話題。とくに本日と明日は、先でも取り上げたように「WHOが新型ウイルスに関する研究会合開催」する予定で、こちらを警戒する声も聞かれていた。また、やはり本日と明日の2日間実施されるパウエルFRB議長の議会証言にも要注意。もちろん、発言内容次第だが相場の波乱要因にも!?
テクニカルに見た場合、本日東京でレンジ上限である110円台に再び迫るも越えていくことは出来なかった。このあとも引き続き上値の重い状況は続きそうだが、本日は大きな材料が予定されていることもあり、抜けることへの期待感を抱く向きも多い。果たして110円を超え、年初来高値110.30円レベルや110円半ばなどが目指す展開があるのだろうか。
ちなみに、上抜け叶わず、逆に底割れするようだと移動平均の75日線が位置する109.10-15円などが意識されそうだ。
一方、材料的に見た場合、幾つか米経済指標が発表されるものの、正直市場での関心はそれほど高くない。ただ、パウエルFRB議長の議会証言を筆頭に、ほかにもデイリー・サンフランシスコ連銀総裁やブラード・セントルイス連銀総裁による講演など欧米通貨当局者の発言機会が相次ぐ。
米国については、トランプ氏から引き続き強い利下げ催促が聞かれるなか、今後の金融政策に対する考え方のほか、新型肺炎のダメージや先行きに如何なる見解を示すのか注目だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.50-110.40円。ドル高・円安方向は、引き続きしっかりと超えられない110円前後が最初の抵抗。超えれば、年初来高値110.30円や110円半ばなどがターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、ここ最近のレンジ下限である109円半ばの攻防にまずは注目。ただ、割り込んでも底堅いイメージで、108円台は遠い存在になりつつある感も否めない。(了)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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