ドル円、議会証言待ちで様子見ムード継続。ユーロはドイツ政治不安で大幅続落
海外時間の為替概況
10日(月)の海外市場でドル円は狭いレンジ内で膠着。新型コロナウィルスの感染拡大(死者数の大幅増加)を巡る警戒感を背景に一時109.60台まで押し戻される場面も見られましたが、パウエルFRB議長による半期に一度の議会証言を11日ー12日に控える中で、様子見ムードも根強く、方向感を見出すには至りませんでした。本稿執筆時点(日本時間5時50分現在)では109.75近辺で推移するなど、1日の値幅(高値と安値の差)は僅か27銭に留まりました。尚、トランプ米大統領はこの日、2021会計年度(2020年10月ー2021年9月)の予算教書を公表し、年1兆ドルの財政赤字を5年で半減するよう提案しましたが、市場の反応は限定的となっております。
一方、ユーロドル相場は大幅続落。@英合意なき離脱リスクの再燃を受けた「英ポンド下落→ユーロ連れ安」の流れや、Aドイツを巡る政局不透明感の高まり(メルケル首相が率いるドイツの最大与党CDUのクランプカレンバウアー党首が辞任する意向を固めたとの報道)などが重石となり、米国時間にかけて、10/2以来、約4ヶ月ぶり安値となる1.0908まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時50分現在)では1.0914近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/3(月)に記録した安値108.32をボトムに反発に転じると、先週末金曜日(2/7)には一時110.03まで急伸しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲下限及び上限、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンド、109.70近辺に控える強力なチャートポイント(添付チャートの赤色水平線)を全て上抜けするなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております(足元やや反落に転じるも109円台半ば付近では押し目買い圧力が強い状態)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスク(パンデミックリスク)、F英合意なき離脱リスクの再燃、G米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「持ち直し」の兆しを見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが、「続伸を阻む」シナリオが想定されます。本日から明日にかけて予定されているパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言にて弱気の姿勢が見られれば(新型コロナウィルスの感染拡大を受けた世界経済への悪影響を強く意識させる発言が見られれば)、米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売りの経路で、ドル円が再び下げ足を速める展開も想定されます。以上を踏まえ、当方では、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(1/17に記録した年初来高値110.30をバックに戻り売りが強まる展開)。
本日の予想レンジ:109.30ー110.30
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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