ドル円、110円手前で伸び悩む展開。パウエル議長は議会証言で新型肺炎リスクに言及(2/12朝)

11日(火)の海外市場でドル円は狭いレンジ内で方向感に欠ける展開。

ドル円、110円手前で伸び悩む展開。パウエル議長は議会証言で新型肺炎リスクに言及(2/12朝)

ドル円、110円手前で伸び悩む展開。パウエル議長は議会証言で新型肺炎リスクに言及

海外時間の為替概況

11日(火)の海外市場でドル円は狭いレンジ内で方向感に欠ける展開。@新型コロナウィルスの感染拡大(死者数が1000人を超えたこと)を巡る警戒感の高まりや、A米・12月JOLT求人件数の冴えない結果(2017年12月以来の低水準)が重石となり、米国時間朝方には、一時109.75まで下げ幅を広げました。しかし、B米主要株価指数が史上最高値を更新すると、CパウエルFRB議長が半期に一度の議会証言で「米経済は良好な位置にある」「通商政策を巡る不確実性リスクが減少」「大幅な再評価が必要とならない限り金利を調整する必要はない」と言及したこと等も支援材料となり、ドル円は米国時間にかけて、109.96まで反発する場面も見られました。もっとも、心理的節目110円を前に伸び悩むと、パウエルFRB議長による「新型コロナウィルスの感染拡大が世界経済に波及するリスクを緊密に注視している」「米国も何らかの影響を受ける公算が極めて大きい」等の発言が重石となり、引けにかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間3時50分現在)では109.78付近で推移しております。

一方、ユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@英合意なき離脱リスクの再燃(英ポンド下落→ユーロ連れ安)や、Aカーニー英中銀(BOE)総裁による「追加利下げ」を示唆する発言(英ポンド下落→ユーロ連れ安)、Bドイツを巡る政局不透明感の高まり(メルケル首相が率いるドイツの最大与党CDUのクランプカレンバウアー党首が辞任する意向を固めたとの前日の報道)が重石となり、米国時間朝方には、心理的節目1.0900を割り込み、10/1以来、約4ヶ月半ぶり安値となる1.0892まで下げ幅を広げました。もっとも、1.08台後半では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、CパウエルFRB議長が議会証言で「新型コロナウィルスの感染拡大に伴う世界経済への波及リスク」に言及したこと(ドル売り要因)等も支援材料となり、引けにかけて持ち直す展開に。本稿執筆時点(日本時間3時50分現在)では1.0918近辺で推移しております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、2/3(月)に記録した安値108.32をボトムに反発に転じると、先週末金曜日(2/7)には一時110.03まで急伸しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲下限及び上限、一目均衡表基準線及び転換線、ボリンジャーミッドバンド、109.70近辺に控える強力なチャートポイント(添付チャートの赤色水平線)を全て上抜けするなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております(但し、110円台での滞空時間は極めて短く、直近高値110.30をバックに戻り売り圧力が強い点には留意が必要)。

一方、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第2段階合意の後ずれリスク)、D朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、E新型コロナウィルスの感染拡大リスク(パンデミックリスク)、F英合意なき離脱リスクの再燃、G米大統領選挙の先行き不透明感など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「持ち直し」の兆しを見せつつも、ファンダメンタルズ的な弱さが、「続伸を阻む」シナリオが想定されます。パウエルFRB議長が議会証言で言及した通り、「新型コロナウィルスの感染拡大長期化→世界経済への深刻な打撃→米経済への波及」が明らかとなれば、@米利下げ観測の再燃→米長期金利低下→ドル売りの経路と、A米景気減速懸念→米株下落→リスク回避の円買いの双方の経路で、ドル円が押し下げられる恐れもあり、新型コロナウィルスを絡むヘッドラインに引き続き注意が必要です。以上を踏まえ、当方では、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(1/17に記録した年初来高値110.30をバックに戻り売りが強まる展開)。

本日の予想レンジ:109.30ー110.30

ドル円、110円手前で伸び悩む展開。パウエル議長は議会証言で新型肺炎リスクに言及

ドル円日足

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