ドル円 110円の大台をトライか(週報1月第2週)

今週はいったん荒れた相場が落ち着きを取り戻し、底堅い株価とともにドル円が110円を試すかどうか、というのが一般的な見方だとは思います。

ドル円 110円の大台をトライか(週報1月第2週)

ドル円 110円の大台をトライか

今週の週間見通し

先週のドル円は東京市場が再開した月曜は前週末の米国によるイラン司令官殺害をきっかけにリスクオフで始まりましたがその日のうちに買い戻され、水曜早朝にはイランが反撃したことで再びリスクオフが強まるかと思われたところ、イラン、米国ともに大人の対応を示し、更なる対立激化による双方の攻撃の可能性が急速に収まったことで、一気にリスクオフの巻き返しとなりました。

月曜も水曜も見ていて思ったことは、これまで何度も見てきた「行って来い相場」であったということです。東京朝方に下押し、その後東京市場のうちに値を戻し、海外市場では更に値を上げていくという動きですが、昨年は米中通商協議進展の間に何度か協議難航といった話で同じような動きを見てきました。相場材料こそ異なるものの、動きもタイミングも似たような感じでそうしたアルゴリズム・トレードが出ているとしか思えません。

その米中協議も合意に至り、今週15日には署名が行われますので、今後は第2段階以降の協議がテーマになってくるでしょうし、米国とイランの関係も金曜にはイランに対する制裁発表がありましたし、イランも今回の事件以外では昨年9月のサウジ石油施設攻撃の裏にいると言われていますし、その前の6月にあったホルムズ海峡でのタンカー攻撃も米国はイランに責任があるとしていました。

常に煙が燻る中での先週の米国とイランとの対立は起こるべくして起きたとも言えますし、このままもう何も起きないと考える方が無理がありそうな気もしますので、引き続き米国とイランを中心として中東情勢には注意しておいた方が良いように思えます。

他には今週もいつも通りですが、米国雇用統計も経過してそれほど影響は大きく無さそうな経済指標程度です。また、1月のFOMCは28・29日ですが今週は水曜にベージュブック(地区連銀報告)の発表がありますし、2020年のFOMCで投票権のあるメンバーであるフィラデルフィア連銀総裁講演とNY連銀総裁講演があります。前回FOMCまでの動向を見ている限りでは何も変化は無いのですが、株価も高いですしベージュブックの内容が良いと年後半の利上げといった思惑も出てくる可能性があります。

ただ、2020年のFOMCメンバーには地区連銀総裁の中でも最もハト派であるカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が加わります。現状維持決定時にも常に利下げを主張し、同じく超ハト派のセントルイス連銀総裁(投票権なし)と並んでハト派ですから、思惑よりも出てくる発言がハト派というようなことはあってもおかしくはないと考えています。まだ先の話ですが、今年の投票権ある地区連銀総裁は経済指標予定の冒頭に上げてありますので併せてご確認ください。

さて、今週はいったん荒れた相場が落ち着きを取り戻し、底堅い株価とともにドル円が110円を試すかどうか、というのが一般的な見方だとは思います。そのあたりがテクニカルにどうなのか、チャートを見てみましょう。

前回までは上昇チャンネルの下限に青のサポートラインを採用していましたが、年明けの下げで明確に下抜いたこと、更にその後大きく反発したことから、昨年安値と今年安値を結んだピンクのサポートラインに変更です。上側はピンクのラインをそのまま継続採用なので、現状ではピンクのほぼ平行なラインによる上昇チャンネルのなかでの推移と見てよいでしょう。

ドル円 110円の大台をトライか

また、昨年11月からのレジスタンスラインが赤の太線で引いてありますが、先週金曜から本日にかけてまさにトライ中です。12月高値の109.73レベルを金曜には試せずに反落しましたが、12月高値を抜けてくると110円の大台トライが視野に入ってくると考えられます。

週足の上ヒゲで試すことはあると思いますが、長期的なレジスタンスであることを考えると、今週金曜の週足終値で抜けるかどうかを基準にしたいところです。今週は高値警戒感もありつつ下値は底堅いという週を考え、109.00レベルをサポートに、大台110.00レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

1月13日(月)
**:** 東京市場休場
16:00 ドイツ12月PPI
16:00 トルコ11月経常収支
18:30 英国11月貿易収支
24:00 ボストン連銀総裁講演
26:40 (アトランタ連銀総裁講演)
30:45 NZ11月住宅建設許可件数

1月14日(火)
08:50 本邦11月貿易収支(国際収支)
**:** 中国12月貿易収支
16:00 トルコ11月鉱工業生産
17:00 南ア10〜12月期消費者信頼感
17:30 メルシECB理事講演
22:30 米国12月CPI
23:00 NY連銀総裁講演
27:00 (カンザスシティ連銀総裁講演)

1月15日(水)
**:** 米中通商協議合意署名
09:30 黒田日銀総裁挨拶
16:45 フランス12月CPI
18:30 英国12月CPI・PPI
19:00 ユーロ圏11月貿易収支、鉱工業生産
20:00 南ア11月小売売上高
22:30 米国1月NY連銀製造業景況指数
22:30 米国12月PPI
24:30 週間原油在庫統計
25:00 フィラデルフィア連銀総裁講演
26:00 (ダラス連銀総裁講演)
28:00 ベージュブック

1月16日(木)
16:00 ドイツ12月CPI
20:00 トルコ中銀政策金利発表
**:** 南ア中銀政策金利発表
21:30 ECB理事会議事要旨公表
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国12月小売売上高
22:30 米国12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22:30 米国12月輸入物価指数
24:00 米国1月NAHB住宅市場指数
24:00 米国1月企業在庫
27:00 ラガルドECB総裁講演

1月17日(金)
11:00 中国10〜12月期GDP
11:00 中国12月鉱工業生産、小売売上高
18:00 ユーロ圏11月経常収支
18:30 英国12月小売売上高
19:00 ユーロ圏12月CPI
19:00 ユーロ圏11月建設支出
22:30 米国12月住宅着工、建設許可件数
23:00 フィラデルフィア連銀総裁講演
23:15 米国12月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国1月ミシガン大消費者信頼感速報値

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

1月6日(月)
前週末のイラン司令官殺害ニュースを受け、米国とイランとの対立による中東情勢緊迫化からリスクオフの東京市場再開となりました。株式市場は欧州市場序盤まで売りが続いたものの、ドル円は早朝につけた107.77レベルを安値にその後は終日じり高の展開を辿りました。ひとつは連休明けの東京市場で実需のドル買いが思いの外根強かったこと、海外市場に移ってからの株価反発に伴ってにわかショートの買い戻しが出たことが大きかった様子でした。

1月7日(火)
米国とイランの対立への懸念はあったものの、ドル円は終日108円台半ばでのもみあいに終始しました。NY市場に入り強い米国経済指標の発表をきっかけに強含んだものの値幅は伴いませんでした。

1月8日(水)
イランが米国施設に攻撃したことをきっかけに急速に米国とイランとの対立懸念が広がり、急速にリスクオフが強まり107.65レベルと月曜安値を下回りましたが、その巻き返しも早く、イランはあくまでも同レベルの報復に過ぎず戦争を求めていないことを表明し、米国もイランがさらなる報復をしなければ反撃はしない方向とのニュースがきっかけとなり、東京昼前には下げる前の水準を回復しました。その後も不透明感は残るものの株式市場の上昇に支えられ、にわかショートのストップを巻き込みながら一段高。NY市場では強めの経済指標、トランプ大統領が反撃をしないとの演説をしたことから更に買いが強まり109.25レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。

1月9日(木)
ドル円は前日からの米国とイランの衝突懸念が回避されたことによるリスクオン相場が続きました。東京朝方の109円近い水準を安値にじり高の動きを続け、NY市場では主要3株価指数が最高値を更新する中、ドル円も109.57レベルの高値をつけました。

1月10日(金)
NY市場まで前日までのリスクオン相場が株価とともに続き、ドル円はNY市場朝方には109.69レベルの高値をつけました。しかし、米国雇用統計が予想よりもやや弱い結果となったことを受けやや下押し、いったん反発する場面も見られましたが、イランへの制裁発表、週末前の利食いも出て再びやや下押ししての引けとなったものの、値幅は狭いままの一日でした。

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