ドル円、良好な米ADP雇用統計とトランプ大統領演説を受けて急上昇
海外時間の為替概況
8日(水)の海外市場でドル円は急伸。中東情勢を巡る地政学的リスクを背景に、アジア時間朝方には一時107.64(約3ヶ月ぶり安値)まで下げ幅を広げるも、107円台半ばをバックに押し目買いが強まると、その後はショートカバー主導で急反発。米国時間に発表された、@米・12月ADP雇用統計(結果20.2万人、予想16.0万人)が市場予想を大幅に上回ったことや、Aトランプ米大統領が演説の中で「軍事行使を望まない」と平和的解決(打開策)の可能性を滲ませたこと(地政学的リスクの後退)、B上記@Aを受けて米主要株価指数が史上最高値を更新し、グローバルにリスク選好の動きが広がったこと、C米長期金利が急上昇したこと(米10年債利回りは1.72%から1.87%へ)などが支援材料となり、米国時間午後にかけては、約7営業日ぶり高値となる109.22まで上値を伸ばしました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、109.18近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は大きく下落。@ドイツ・11月製造業受注(結果▲6.5%、予想▲4.7%)が市場予想を下回ったことや、A米・12月ADP雇用統計が市場予想を上回ったこと、Bトランプ米大統領の演説(イランを巡る中東情勢について平和的解決の可能性を滲ませる発言)を受けて、米長期金利が急上昇したことなどが重石となり、米国時間午後にかけては、8営業日ぶり安値となる1.1108まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1108近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、地政学的リスクが後退したことを受けて、一時109.22(アジア時間朝方に記録した日通し安値から1円58銭の上昇)まで急伸しました。この間、主要レジスタンスポイントである200日移動平均線や、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限、ボリンジャーミッドバンドを全て突破するなど、テクニカル的に見て「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となっております(年初来の下げ幅の全値戻し)。
とは言え、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果(1/3に発表された米ISM製造業景況指数は2009年6月以来の低水準)、C米中貿易摩擦の再燃リスク、D英合意なき離脱リスクの再燃リスク、E朝鮮半島を巡る地政学的リスク、F中東情勢の緊迫化(トランプ米大統領の演説を受けて緊張感が幾分和らぐも事態は尚流動的)など、ドル売り・円買いを想起させる材料が沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にみて「地合いの強さ」が見られるものの、ファンダメンタルズ的には「下落リスク」が燻っている状況です。年初来の下げ幅の「全値戻し」を達成できたことで、短期筋のショートポジションは大幅に解消された可能性が高く、余程強いドル買い材料が出てこない限り、ここからの上値余地は乏しいと考えられます。中東を巡るヘッドラインや、米経済指標の結果を睨みながらも、一巡後の反落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:108.70ー109.60
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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