ドル円見通し 110円手前の三角持合いから転落(19/12/20)

株高の割にはドル円がドル高円安へ進めずにいるのは、株式市場程には為替市場が楽観していないということか、

ドル円見通し 110円手前の三角持合いから転落(19/12/20)

【概況】

ドル円は米中通商協議の第1段階合意報道から12月12日深夜へ急伸して109円台を回復、12月13日夜には109.70円をつけて12月2日高値109.72円に迫ったものの高値更新には至らず、その後は12月13日深夜安値109.20円から18日安値109.38円へ安値は切り上げたものの17日未明高値109.67円、19日午前高値109.67円で高値更新できずに「上値抵抗線フラット、下値支持線切り上がりのレンジ縮小型三角持合い」の様相となっていた。
12月19日夜の米経済指標が軒並み市場予想を下回ったことから円高反応となり、18日安値を割り込んで三角持合いを下放れ、20日未明には109.15円まで下げて13日深夜安値を割り込んだが、その後は109.30円台へ戻した。持ち合いをいったん下放れしたために、下向きの流れを解消するには元の持ち合い水準を回復してゆく必要があるとすれば、12月13日深夜安値からの安値切り上がりライン(現在は109.50円近辺)が今後の抵抗線となってくるため、109.50円以下での推移が続く内は持ち合い下放れにより円高ドル安へのバイアスがかかりやすい状況と思われる。

【12月19日の米経済指標は冴えず】

12月19日に発表された米経済指標は予想を下回るものが続いた。米不動産業者協会(NAR)が発表した11月の中古住宅販売件数は年換算で前月比1.7%減の535万戸で市場予想の544万戸を下回った。米フィラデルフィア連銀の12月製造業景況指数は0.3となり前月の10.4から低下して市場予想の8.0も下回った。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数は23万4000件で前週比1万8000件減少したが市場予想の22万5000件を上回った。
米コンファレンス・ボードが発表した11月の景気先行指数は前月比横ばいで市場予想の0.1%上昇を下回り、10月も0.2%低下に下方修正された。

米中通商協議関連では、12月19日に中国が米国への発動済報復関税のうち6品目を適用対象から除外すると発表した。ムニューシン米財務長官は既に第1段階合意の合意文書が出来ており、来年1月初旬に署名する予定と述べている。これらに対する市場反応は限定的だった。

【株式市場は楽観継続だがドル円は頭打ち】

米下院本会議は12月18日にトランプ米大統領を弾劾訴追したが、年明けに予定される上院の弾劾裁判でトランプ氏が罷免される可能性は極めて低いため市場への影響は見られない。
株式市場では楽観ムードは継続している。年末も迫る中で当面は米中通商協議の第1段階合意により新たな混乱はないとの見方が背景と思われる。NYダウは19日に137.68ドル高と上昇して立ち合い中の史上最高値を更新し、終値ベースでも2日ぶりに史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も前日比59.49ポイント高となり6日連続で立ち合い中及び終値ベースでの最高値を更新している。ただ、これら株高の割にはドル円がドル高円安へ進めずにいるのは、株式市場程には為替市場が楽観していないということか、株式市場以上に年明け以降の米中第2段階交渉での対立再燃等を意識していることを表しているのであろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは12月4日安値108.41円、9日安値108.40円と12日安値108.44円をトリプルボトムとして上昇したが、12月13日夜高値の後は新たな高値更新へ進めずにレンジ縮小型の三角持ち合いを形成していたため、19日朝時点では持ち合い上放れなら次の強気サイクル入りへ、下放れなら弱気サイクル入りへと明暗も分かれるところとした。
12月20日未明への下落で三角持ち合いを下放れしたため、新たな弱気サイクル入りと考える。三角持合いの起点だった12月18日午前安値を基準とすれば20日深夜にかけての間が当初の安値形成期と想定されるが、持ち合い終盤の18日午前安値を基準とすれば安値形成期は24日にかけての間へ延長される可能性があると考える。このため109.50円を上抜き返せない内は一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では12月19日夜の持ち合い下放れにより遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落した。このため先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、一時的に遅行スパンが好転しても再び悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は12月20日未明への下落で30ポイント割れとなったが、その後の反発で50ポイントに迫るところまで戻した。しかしまだ指数の強気逆行はみられないため、50ポイント超えからさらに続伸へ進めない内は40ポイント割れからの下げ再開注意と考える。20日未明安値を割り込む一段安の際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰開始の可能性ありと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月20日未明安値109.15円を下値支持線、109.50円を上値抵抗線とする。
(2)109.50円以下での推移中は下向きとし、109.15円割れからは109円割れ試しとし、109円割れからさらに続落の場合は108.75円前後まで下値目処を引き下げる。
(3)109.50円超えから続伸の場合は上昇再開とみて12月13日高値109.70円試しとする。109.70円超えからは110円台前半を目指す一段高へ進む流れに乗りやすくなるとみるが、そのためにはドル高円安を助長する押し上げ材料が欲しいところと考える。

【当面の主な予定】

12/20(金)
16:00 (独) 1月 GFK消費者信頼感 (11月 9.7、予想 9.8)
18:00 (欧) 10月 経常収支・季調済 (9月 282億ユーロ)
18:00 (欧) 10月 経常収支・季調前 (9月 358億ユーロ)
18:30 (英) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
18:30 (英) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
18:30 (英) 7-9月期 経常収支 (前期 -252億ポンド、予想 -160億ポンド)

22:30 (米) 7-9月期 GDP確定値  前期比年率 (改定値 2.1%、予想 2.1%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費確定値 前期比 (改定値 2.9%、予想 2.9%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCE確定値 前期比 (改訂値 2.1%、予想 2.1%)
24:00 (欧) 12月 消費者信頼感 (11月 -7.2、予想 -7.0)
24:00 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.0%、予想 0.3%)
24:00 (米) 11月 個人消費(PCE) 前月比 (10月 0.3%、予想 0.4%)
24:00 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 1.4%)
24:00 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前月比 (10月 0.1%、予想 0.1%)
24:00 (米) 11月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (10月 1.6%、予想 1.6%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 99.2、予想 99.2)

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