【概況】
米中通商協議が第1段階合意報道からドル円は12月12日深夜へ急伸して109円台を回復、13日夜には109.70円をつけて12月2日高値109.72円に迫ったが高値更新には至らず、13日深夜には一旦109.20円まで反落した。第1段階合意の内容で発動済追加関税の引き下げが限定的なものだったことと第2段階での協議は難航しそうだと受け止められての下落だったが、それでも年内は新たな混乱は回避されるとして株高が継続したためドル円も持ち直した。
12月17日未明には109.67円まで切りかえしたが13日高値には届かず、17日は終日109.60円を挟んだ揉み合いに終始したが、18日未明にかけては109.50円以下での推移が続き始めている。
米中通商協議が第1段階合意に達したことで、既にクリスマスから年末も近いため、年内はネガティブな波乱なく推移するとみて株式市場は楽観的だ。17日は米経済指標も好調だったためにNYダウは前日比31.27 ドル高と続伸して2日連続で終値ベースの史上最高値を更新し、ナスダックも終値ベースで4日連続の史上最高値更新となった。いずれも12月16日の立会い中最高値は更新できなかった。
米商務省が発表した11月の住宅着工件数は年換算で136万5000戸となり市場予想の134万5000戸を上回った。前月比は3.2%増となり2か月連続でプラスとなった。先行指標の住宅着工許可件数は148万2000戸で市場予想の141万戸を下回ったものの前月比では1.4%増加した。
米連銀が発表した11月の鉱工業生産指数は前月比1.1%上昇となりで市場予想の0.8%を上回った。2017年10月の1.5%以来2年1カ月ぶりの伸び率だった。
トランプ米大統領は17日のツイッターで、ドル高を是正して輸出を後押しするために米連銀が「追加利下げと量的金融緩和を講じれば素晴らしいこと」「今がやる時だ」と利下げ圧力をかけた。ボストン連銀のローゼングレン総裁は17日の講演で「最近の前向きな経済ニュースやすでに緩和的な金融財政政策を考慮すれば一段と緩和的な金融政策が必要となる公算は小さい」「忍耐強い姿勢が適切」と述べて早期の利下げ再開へ否定的な姿勢を示した。
米連銀への利下げ圧力は続くだろうが、株高基調の内は米連銀も現状維持を貫くと思われる。
【米中第1段階合意、その後】
ブルームバーグの報道では、中国は米中貿易協定の第1段階合意において米国産農産物を年間400億〜500億ドル購入するとされているが、その対策のために中国がエタノールへの輸入関税を撤廃してエタノール輸入を拡大することが計画されているという。また香港経由の輸入を中国本土直接輸入に切り替えて輸入量を拡大することも検討されているという。エタノールは需給が緩和しているトウモロコシから作られるため、穀物市場はこうした動きを歓迎して12日からの上昇基調を継続している。
株式市場の楽観と比べるとドル円はやや慎重な動きに止まっている。第1段階合意の後には第2段階の交渉が待っており、より合意へのハードルも高くなる。株高が続けばリスクオン心理でドル円も上昇を継続して12月2日高値を超えてくれば110円台乗せも視野に入ってくるのだろうが、もう一つ押し上げ材料が伴わないと一段高へ進み切れないのかもしれない。昨年は年末年始に暴落しているので、トラウマもあるかもしれない。
【英ポンド急落】
12月17日は英ポンドが急落している。ジョンソン首相の与党が12月12日の総選挙で大勝したことは、英国内の離脱を巡る混乱が終息することとしてポンドは上昇してきたが、ジョンソン首相が2020年1月末へ離脱した後の2020年末までの移行期間を延長しないとしたことで、移行期限後に大混乱に陥るのではないかとの懸念が強まっているようだ。英国とEUがFTAで合意するにしても2020年までにはまとまらない無理筋の話と市場は受け止めている。ブレクジット問題もまだ先行きにはリスク回避材料に逆戻りする可能性があることを再認識させる動きだった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円60分足
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは12月4日安値108.41円、9日安値108.40円と12日安値108.44円をトリプルボトムとして強気サイクル入りしたが、12月13日夜高値の後は新たな高値更新へ進めずにいるため、13日夜高値と17日未明高値をダブルトップと仮定する。このダブルトップを含めて13日以降は三角持合いの様相でもあるため、12月13日高値を上抜けば三角持合い上放れによる新たな強気サイクル入りとして20日未明から24日未明にかけての間への上昇を想定するが、13日高値を超えない内は18日の日中から19日の日中にかけての間への下落余地ありとみる。
60分足の一目均衡表では12月13日高値以降の三角持合いのため遅行スパンは実線と交錯しており方向感に乏しい。先行スパンを上抜いた状況を維持してきたが、18日朝時点では先行スパンからの転落に余裕が乏しくなっている。このため先行スパン転落から続落に入る場合は遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、13日夜高値を超えるところからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は12月13日夜高値と17日未明高値がほぼフラットであるのに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行型となり、18日未明には40ポイントまで低下した。指数自身も三角持合いを形成してそこから転落しているので、現状はもう一段安へ下げやすい状況と思われるが、60ポイント超えから続伸なら上昇再開へ進むと思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.40円、次いで12月13日深夜安値109.20円を下値支持線、13日夜高値109.70円を上値抵抗線とする。
(2)108.50円を維持しきれない状況の内は一段安余地ありとし、109.40円割れからは13日深夜安値109.20円試しを想定する。109.20円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、109.40円以下での推移なら19日へ続落しやすいとみる。またその際は109円試しへ下値目処を引き下げる。
(3)109.60円超えからは109.70円試しとし、109.70円超えからはダブルトップ破り及び三角持合い上放れにより12月2日高値109.72円も超えて8月26日以降の高値更新に入ってゆくとみる。109.70円を超えた後も109.60円以上での推移なら19日も高値を試しやすいとみて、当初の上値目処を110円試し、さらに110円台前半へと引き上げる。
【当面の主な予定】
12/18(水)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合、1日目
未 定 P(英) 英中銀金融政策委員会(MPC)、1日目
16:00 (独) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 0.1%)
17:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
18:00 (独) 12月 IFO企業景況指数 (11月 95.0、予想 95.5)
18:30 (英) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 0.2%)
18:30 (英) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 1.5%、予想 1.4%)
18:30 (英) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.7%、予想 1.7%)
18:30 (英) 11月 小売物価指数 前月比 (10月 -0.2%、予想 0.1%)
18:30 (英) 11月 小売物価指数 前年同月比 (10月 2.1%、予想 2.1%)
18:30 (英) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.3%、予想 1.2%)
19:00 (欧) 10月 建設支出 前月比 (9月 0.7%)
19:00 (欧) 10月 建設支出 前年同月比 (9月 -0.7%)
19:00 (欧) 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
19:00 (欧) 11月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 1.3%、予想 1.3%)
19:15 (米)ブレイナードFRB理事、講演
26:40 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、質疑応答
12/19(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
06:45 (NZ) 7-9月期GDP 前期比 (前期 0.5%)
06:45 (NZ) 7-9月期GDP 前年同期比 (前期 2.1%)
06:45 (NZ) 11月 貿易収支 (10月 -10.13億NZドル)
09:30 (豪) 11月 新規雇用者数 (10月 -1.90万人、予想 1.50万人)
09:30 (豪) 11月 失業率 (10月 5.3%、予想 5.3%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
18:30 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.5%)
18:30 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 3.1%、予想 2.6%)
18:30 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 -0.3%、予想 0.5%)
18:30 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (10月 2.7%、予想 2.1%)
21:00 (英) イングランド銀行 政策金利 (現行 0.75%、予想 0.75%)
22:30 (米) 7-9月期経常収支 (前期 -1282億ドル、予想 -1210億ドル)
オーダー/ポジション状況
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