ドル円見通し 米中原則合意との報道で急伸、8月26日からの上昇基調継続(19/12/13)

報道を受けてドル円は109円を超えて大幅続伸となり、13日4時台には109.44円を付けて12日午前安値からの上昇幅が1円となった。

ドル円見通し 米中原則合意との報道で急伸、8月26日からの上昇基調継続(19/12/13)

【概況】

12月12日未明のFOMCは市場予想通りに政策金利を現状維持としたが、政策金利見通しについてのFOMCメンバーの2020年中央値は金利変更ゼロ回であり、パウエル議長も会見で大幅なインフレ進行とならなければ利上げしない姿勢を示した。そのためドル安反応となり、ドル円は12日午前には108.44円まで下落した。しかし、トランプ政権が12月15日に発動予定の対中制裁関税発動の是非を巡る閣議を12日に開くとの報道により、結果待ちとなって12月9日安値割れをひとまず回避して下げ渋りとなった。12日夜のECB理事会では金融政策を現状維持とし、ラカルド新総裁の会見発言も特にサプライズ無しで通過した。
その後に発表された11月の米生産者物価指数は全体の前月比が0.0%で予想の0.2%及び10月の0.4%を下回り、前年同月比も1.1%で10月と変わらずだが予想の1.2%を下回る結果となった。コア指数の前年同月比も1.3%で予想及び10月の1.6%を下回った。発表後はドル安反応が見られたものの、ドル円の動きは限定的だった。

米トランプ政権の閣議報道待ちとなる中、トランプ大統領が「中国との大規模な取引成立に非常に近づいている。中国はそれを望んでおり米国も同じだ」とツイートしたことで協議進展期待となりドル円は急伸して11日午前高値を突破した。
米ブルームバーグ通信が米中は第1段階合意の条件面で一致しトランプ大統領の承認待ちとなったと報じ、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は米国が12月15日に発動予定の対中制裁関税の発動中止と既に発動した3600億ドル相当の関税を最大半分まで引き下げることを中国に提案したと報じた。これら報道を受けてドル円は109円を超えて大幅続伸となり、13日4時台には109.44円を付けて12日午前安値からの上昇幅が1円となった。

その後はさらに詳細と確報待ちとなったが、13日朝には英国総選挙で与党保守党が大勝の見込みと報じられたことでリスクオン全開となった。ポンドが暴騰的な上昇となり、ユーロも一段高になるなど、ドルストレートではドル安が進む一方、クロス円でも安全資産買い後退で円は全面安となり109.50円を超えてきている。
NYダウは前日比220.75ドル高と上昇し、立ち合い中及び終値ベースでの史上最高値を更新した。債券は安全資産買い後退で売られて米10年債利回りは前日の1.79%から一時1.91%まで急伸、1.89%で終了した。

【三点底付けて12月2日高値への揺れ返し】

ドル円は12月2日に米ISM製造業景況指数が4か月連続で50ポイントを割り込んだことや米中協議の先行き不安から急落に転じて12月4日には108.41円を付け、9日には108.40円までわずかに安値を切り下げた。また12月5日戻り高値108.99円から6日の雇用統計直後の108.91円、11日午前の戻り高値108.85円と高値ラインが若干切り下がる持ち合いとなっていた。しかし12日深夜からの急騰で12月5日高値超えへ一挙に進んだため、60分足レベルでは12月4日と9日及び11日の108.40円台安値を三点底として持ち合いを上放れした。
日足は8月26日底104.45円からの上昇基調を継続してきたが、12月9日への下落でも11月14日安値108.24円割れを回避して底上げパターンを維持した。
日足の52日移動平均が11月15日以降の安値を支えてきたが、12日深夜の急騰により26日移動平均を上抜き返してきたため、12月2日高値109.72円超えへ進む可能性も強まってきている印象だ。

【8月26日からの上昇は日足で80日目】

しかし、10月後半からは高値を切り上げ、その後の安値も切り上げてから高値を更新するパターンを維持しているものの、徐々に上昇力・角度は鈍ってきている。8月26日底からの上昇も3か月半、日足では80日を経過した。今年1月3日の急落時から4月24日の戻り天井までの上昇が3か月半、日足でちょうど80本だった。また昨年10月4日天井から三角持ち合いを形成して年末年始の暴落へ進んだ時も、8月21日安値から日足83本目の12月13日で三角持ち合い終点の高値を付けて急落に入っている。つまり3か月半も上昇してくればそろそろ強気材料も消化して行き詰まりやすい時間帯となる。
米国側の関税半減及び新たな関税拡大の見送り方針が中国側へ提示され、中国がこれを承諾すれば第一段階の合意は実現し、金融市場も楽観的なクリスマスを迎えることになるのだろう。しかし、では第二段階、第三段階へと合意は発展してゆけるのかどうか。そこでの対立がいったん引き下げた関税の再引き上げ等を誘発すればまた対立問題が浮上、リスク回避へ急旋回する可能性も常に残るということも消せないという点は押さえておきたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値安値形成サイクルでは、12月4日午後安値と9日夕安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、12月12日早朝に108.46円まで下げて底割れに余裕がなくなったため、12日朝時点では11日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定して12日夜から16日夜にかけての間への下落を想定した。ただし11日午前高値を上抜き返す場合はトリプルボトム形成からの反騰入りとしてし16日から18日にかけての間への上昇へ進む可能性があるとした。
12日深夜からの急騰によりこの間の高値を更新したため、トリプルボトムからの強気サイクル入りとする。ただしボトム形成が短縮されたことと急騰に対する反動も警戒されること、中国側の対応と今後のシナリオもまだ不明瞭なところがあるので109円台を維持するうちは上昇余地ありとするが、109円割れへ急落の場合は弱気転換を警戒して12日安値への揺れ返しの下落となる可能性も若干残ると注意する。

60分足の一目均衡表では12日深夜の急騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き返した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、急騰が行き詰まると13日深夜以降は遅行スパンも悪化しやすくなるため、高値切り上げが続かないようだと弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは揺れ返しの下落へ進む可能性を警戒する。

60分足の相対力指数は12日深夜の急騰で80ポイントに到達したが、その後はピークが切り上がっていないので弱気逆行となる可能性もある。60ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、13日朝高値を上抜くところで指数のピークが切り下がるようだと反落注意とし、50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.20円を下値支持線、12月2日高値109.72円を上値抵抗線とみておく。
(2)109.20円以上での推移中は12月2日高値試しとし、高値更新からは110円台序盤試しを想定する。米中協議問題でさらに市場がリスクオンを加速させる続報あれば110円台中盤まで上値目途を引き上げる。また109.20円以上での推移なら週明けも高値試しを続けやすいとみる。
(3)109.20円割れからは弱気転換注意として109円試しを想定する。109円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、109円割れから続落するようだと弱気サイクル入りの可能性が高まるとみて108.75円前後、さらに米中関連でネガティブ報道への揺れ返しがあるようだと12日安値試しへ振り出しに戻る可能性も若干残っていると注意する。

【当面の主な予定】

12/13(金)
13:30 (日) 10月 設備稼働率 前月比 (9月 1.0%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -4.2%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -7.4%)
16:00 (ト) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 3.2%)
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 -0.5%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 輸出物価指数 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.3%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 0.2%、予想 0.4%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
25:00 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁[FOMC投票権有]、学生向けに講演

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