ドル円、米中合意期待を受けて一時109.40台へと急伸。本日は英総選挙に注目
海外時間の為替概況
12日(木)の外国為替市場でドル円は急伸。アジア時間朝方に一時108.46まで下げ幅を広げるも、直近で2度止められているチャートポイント108.42(12/4と12/9)を前に下げ渋ると、その後は、@トランプ米大統領による「中国と大きな取引の合意が近づいている(Getting VERY close to a BIG DEAL with China)」とのツイートや、A米WSJ紙による「約3600億ドル相当の中国製品に対する現行関税を最大50%引き下げ、また12/15に予定していた対中制裁関税も発動見送りを提案」との報道、B一部メディアによる「米中が貿易協議で原則合意し、トランプ米大統領の署名待ち」とのヘッドライン、C上記@ABを受けたリスク選好の円売り・米株高(ダウ平均株価はザラ場で一時史上最高値を更新)・米長期金利上昇(米10年債利回りは1.788%→1.908%)の流れが支援材料となり、ドル円は米国時間午後にかけて、12/2ぶり高値となる109.44まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では109.35近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は直近高値更新後に急反落。@ラガルド総裁就任後初となるECB(欧州中央銀行)理事会では、金融政策の現状維持(政策金利を据え置くと共に、長期に亘り低金利を維持し、月額200億ユーロのペースで安定的に資産を買い入れる方針を示した)が決定されましたが、A会合後の記者会見で、「これまで見られていた景気の下方リスクが軽減したという事実には幾分勇気付けられる」「リスクは下サイドに傾くがあまり深刻では無い」との楽観的な見方を示すと、市場ではややタカ派寄り(ハト派的では無い)と受け止められ、11/4以来となる高値1.1154まで急伸しました。
しかし、Bトランプ米大統領による「米中合意は近い」とのツイートや、C米WSJ紙による「約3600億ドル相当の中国製品に対する現行関税を最大50%引き下げ、また12/15に予定していた対中制裁関税についても発動見送りを提案」との報道、D一部メディアによる「米中が貿易協議で原則合意し、トランプ米大統領の署名待ち」とのヘッドライン、E米長期金利の急上昇が続伸を阻むと、米国時間午後にかけて、1.1103まで反落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時00分現在)では1.1115近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は米中合意期待の高まりを背景に109.44まで上値を伸ばしました。この間、200日移動平均線や一目均衡表転換線・基準線、ボリンジャーミッドバンドを全て突破するなど、テクニカル的に見て「更なる上昇」を意識させる力強いチャート形状となっております。目先は12/2に記録した約半年ぶり高値109.72を試す展開が視野に入ります。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米中合意の二転三転リスク(米中報道はこれまでも楽観と悲観で二転三転してきた)、C世界的な貿易戦争勃発リスク、D英総選挙を巡る先行き不安など、ドル安・円高を想起させ得る懸念材料が今尚たくさん残っています。
これらを踏まえれば、ここからどんどん上値を追っていく展開は見込みづらく、ドル円は一巡後に反落に転じる展開が予想されます(buy the rumor, sell the fact)。米中を巡るヘッドラインや、英総選挙の結果を睨みながらも、本日はやや伸び悩む動きを予想いたします。尚、英総選挙の投票時間は現地時間12日の午後10時(日本時間13日の午前7時)となっており、市場の関心は締め切り後の出口調査に集中しております。日本時間朝方は英ポンドの動きに振り回される神経質な展開が見込まれることから、ボラティリティの急拡大に注意が必要でしょう。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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