ドル円見通し 110円は大きなレジスタンス(週報12月1週)

先週のドル円は、レンジは1円弱かつ週初安値週末高値となったことで連日じわじわとドル高が進んだ印象でした。

ドル円見通し 110円は大きなレジスタンス(週報12月1週)

今週の週間見通し

先週のドル円は、レンジは1円弱かつ週初安値週末高値となったことで連日じわじわとドル高が進んだ印象でした。直近の安値は11月21日の108円台前半ですし、本日も東京市場が始まってから先週高値を上抜ける動きが見られましたので、週末を挟んでかれこれ10日間ドルが買われていることとなります。

背景としては史上最高値圏で底堅い動きを続けている米国株を筆頭に株式市場の影響が大きいのですが、支えているのは低金利と米中通商協議進展期待です。しかし、金融政策は緩和局面が終わったとまでは言えないものの、現在の米国経済を考えるとここからの更なる利下げが考え難いことはFRBの声明でも確認できますので、継続している状況としてということならわかりますが、材料的には既に目新しいものではありません。

また米中通商協議進展期待もこれまであと少しというところで何度も決裂してきたことを考えると現段階ではまだ決して安心できるとは思えません。たしかに、これまでに比べると米中双方が歩み寄っている感は伝わりますが、合意に近いと合意そのものとでは全く違うものです。合意に近いという楽観は既に織り込み済みの中で、果たしていつ実際に合意署名が行われるのかという点でさえ現時点でははっきりしません。

そうした状況下でトランプ大統領が香港人権法案に署名したことで中国側は内政干渉と非難し報復の可能性を示唆しています。ここに至るまで中国側からは何も具体的な報復は出てきませんが、通商協議に遅れが出てくることは十分に考えられることです。このあとクリスマス商戦が終わり年明け1月のどこかで合意署名を目指していたスケジュール感に遅れが出てくると、来年はいよいよ大統領選に向け2月からは本格的なキャンペーンが始まりますので、展開次第では報復関税取り下げどころか新たな発動という可能性がゼロではないという悲観的な材料には今のところ市場参加者は目を背けているように思えてなりません。

週末には香港で区議選後最初の大規模デモが行われました。これまでの抗議が中心のスタイルから今回は普通選挙実現要求などを政府に突きつけ、一段と民主化要求が強まっている印象です。背景には香港区議選で民主派が圧倒的な議席を獲得したことに加え、米国で香港人権法案が成立したことも後ろ盾となっている様子です。こうした民主化運動で過去に何が起きてきたのかを考えると中国共産党としては一層圧力を強めることも考えられますし、内政がうまく進まない時は外に目を向けさせるのはよくあるパターンです。そうなると、香港人権法案を成立させた米国に対して、中国が何か報復を示してくるかもしれません。

通商協議進展でさえも決まる前の段階では可能性に過ぎず、ここまでの楽観的な見通しの中で、好材料はあらかた出尽くしてしまったのではないか、というのが材料面から言えることとなります。また、需給面でもここに至るまでにドル高の動きの中で着実に円売りポジションが増えてきていると考えられます。

次にテクニカルです。日足チャートをご覧ください。

今週は全体を俯瞰するためにやや長めに今年4月からの動きが入るようにしています。この期間を見ると8月の年初来安値で底を打ち、現在はピンクの上昇ウェッジ(ピンク)の中での動きをしていると考えられますし、それだけを考えると110円の大台をトライする可能性が高そうだという見方になりやすいでしょう。

しかし、今年は値幅自体が狭いので更に遡って昨年11月の高値からレジスタンスラインを引いたのが赤の太線で示したラインです。かなり下げてきていて、今週上記の上昇ウェッジの上限とこのレジスタンスラインがちょうど大台110円で交差していることがわかります。やはり大台というのは心理的にもレジスタンスとして意識されやすいため、いったんはこの110円の大台で反落という可能性が高いと見ています。

また上昇ウェッジの下限は109円水準を上昇中ですから、最近のレンジを考えると今週は109.00レベルをサポートに110.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

12月2日(月)
**:** ミシェル新欧州議会議長就任
09:30 豪州10月住宅建設許可件数
10:45 中国11月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ11月製造業PMI
16:00 トルコ7〜9月期GDP
16:00 フィンランド中銀総裁講演
17:50 フランス11月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ11月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI改定値
23:00 ラガルドECB総裁議会証言
23:45 米国11月製造業PMI改定値
24:00 米国10月建設支出
**:** トランプ大統領訪英(〜4日)

12月3日(火)
09:30 豪州7〜9月期経常収支
12:30 豪中銀政策金利発表
16:00 トルコ11月CPI
18:30 南ア7〜9月期GDP
18:30 英国11月建設支出
19:00 ユーロ圏10月PPI
28:10 NZ中銀総裁議会証言
**:** NATO首脳会議@ロンドン(〜4日)

12月4日(水)
09:30 豪州7〜9月期GDP
10:45 中国11月MarkItサービス業PMI
17:50 フランス11月サービス業PMI改定値
17:55 ドイツ11月サービス業PMI改定値
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI改定値
18:30 英国11月サービス業PMI
22:15 米国11月ADP全国雇用者数
23:45 米国11月サービス業PMI改定値
24:00 カナダ中銀政策金利発表
24:00 米国11月ISM非製造業指数
24:00 クオールズFRB副議長講演
24:30 週間原油在庫統計

09:00 NZ中銀総裁会見
09:30 豪州10月小売売上高、貿易収支
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
18:00 南ア7〜9月期経常収支
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値
21:30 米国11月チャレンジャー人員削減予定数
22:30 米国10月貿易収支
22:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 米国10月製造業新規受注
**:** OPEC総会

12月6日(金)
16:00 ドイツ10月鉱工業生産
16:45 フランス10月貿易収支
22:30 米国11月雇用統計
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感速報値
24:00 米国10月卸売在庫
**:** OPEC・非OPEC閣僚会議

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月25日(月)
 ドル円は多少の上下をはさみながらも終日じり高の動きを見せました。材料的には日経平均株価が前後の時間の先物も含め一日を通して上げ続けていたこと、その背景は香港人権法案懸念から離れて米中通商協議が前進しているとの思惑が強いことでした。ドル円は朝方の始値をほぼ安値にNY市場では108.98レベルの高値をつけそのまま高値圏での引けとなりました。

11月26日(火)
 ドル円は朝方に米中間で通商問題に関して電話会談が行われるとのヘッドラインに反応し一時的に円安に振れましたが、中身をともなわなかったことから反落。その後は底堅い展開が続き、NY市場では株価が強かったことから改めてリスクオンから円安に動いたものの東京朝方の高値はトライしきれず、もみあいのままクローズとなりました。

11月27日(水)
 ドル円は前日までの流れを継続し底堅い展開となってはいたもののNY市場までは動きが乏しい展開が続きました。NY市場に入り発表された米国GDP改定値が予想よりも強かったことからドル買いが強まる中、前日高値を上抜けるとストップオーダーも巻き込みながら一段高、引けにかけては109.61レベルまで上値を伸ばし、高値圏での引けとなりました。

11月28日(木)
 ドル円はトランプ大統領が香港人権法案に署名したことを受け東京市場の朝方こそリスクオフの動きとなったものの、その後はじり高の展開をたどりました。中国側の報復措置がいまのところ取られていないということによる安心感ですが、米国が祝日となっていたこともあり値幅も限定的なまま一日を終えました。

11月29日(金)
 ドル円は東京市場では殆ど動きは見られなかったものの株価の上値が重かったことからどちらかというとドルの上値が重たい展開でした。海外市場に移りユーロドルの動きに沿って最初はドルが底堅い動きとなり、その後もユーロ安からNYの朝方には109.67レベルの高値をつけました。しかし、ユーロドルの反騰とともにドル売りへ転じ日中安値をやや下回り、引けにかけてはもみあいのまま引けました。

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    ・米中貿易摩擦による中国の景気減速懸念◎↓
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