今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは、動いたと思わせたのは金曜のみで、ますますその値幅を狭め20pips未満のレンジを多発、週間レンジもわずか50pips程度と閑散な一週間となりました。欧州関連の材料が乏しかったことや英国総選挙関連のニュースにも大きな変化が見られなかったこともありますが、現状ユーロは蚊帳の外といった状況になっています。
今年1年間のレンジ685pipsは年初来安値の1.0885レベルを下抜ければ広がる可能性はありますが、それでもユーロスタート後の年間最低レンジ大幅更新はほぼ間違いの無いところだと思います。また、先週の週間レンジが51pipsというのもユーロスタート後の週間レンジとしては実は最低です。ここまで値動きが乏しいのは数字で見てもレアであるということになりますが、ここから年末に向けて最後のヤマ場としては12日の英国総選挙ということになりそうです。
そして選挙といっても国政選挙ではありませんが、ドイツで大連立を組むSPDの党首選選挙の結果、連立懐疑派が勝利を収めています。これまでメルケル首相率いる与党CDU/CSUと連立政権を組んでいたSPDは党の特色をアピールできず、最近の地方州議会選挙では第3党に落ちるケースも目立ち、現在の指導部に対する不満と連立に対する懐疑が広がっていました。いますぐ連立解消ということにはならないと思われますが、今後そうした可能性があること、その場合には少数与党となってますますドイツの国政運営が困難になってくることを考えると、ポピュリズム躍進から始まった欧州政治の潮流の変化がドイツにもということが考えられます。
週明けのユーロ相場は相変わらずのさえない展開となっていますが、欧州市場が始まってドイツのSPD党首選に反応しないようであれば、今週もあまり期待は出来そうにありません。しかし、金曜は米国の休日の間とはいえ思いのほか振れた(47pipsとほぼ週間レンジ)ことを考えると、あまりのボラティリティ(変動率)低下に不安を感じているオプショントレーダーもいるのではないかと考えられます。
ちなみに、ドル円とユーロドルのインプライド・ボラティリティ(インターバンクでオプショントレーダーに取引されているボラティリティ)の12月2日時点での気配値は以下のようになっています。参考までに日経平均の手前も併記しました。以下に為替主要通貨ペアの変動が鈍いのかが数字からもわかります。
さて、今週は主要国のPMI改定値とユーロ圏GDP確報値が比較的注目される経済指標の発表ですが、このような動きの中ではきっかけとなっても大きな動きには繋がりにくそうです。さすがに、このままクリスマス相場に向かうとも思えませんが、大きな期待はできないでしょう。
次にテクニカルな観点から見てみます。日足チャートをご覧ください。
10月安値と高値がそれ以降の基準となっていることは変わらずですが、安値から高値への61.8%押しがちょうど大台1.10と重なることもあって、11月は2度ほど試して反転上昇しています。しかし長期的な下降トレンドの中で上昇の力も鈍く、現状は11月4日高値を起点としたレジスタンスラインと、それに平行に引いたラインとで構成される下降チャンネル(ピンク)の中での動きを続けていると見てよいでしょう。
本日時点でレジスタンスラインは1.1055レベル、そして下限には幅があるもののユーロを取り囲む材料を考えるとやや下方向に動きが出やすいといったところでしょうか。1.10の大台トライを3度目のトライで抜けるとすればある程度の動きは出てくると思いますので、今週も先週と同じ1.0960レベルをサポートに、1.1060レベルをレジスタンスとする流れを見ておくこととします。
今週のコラム
今週は久しぶりにユーロ円の日足チャートを見ます。
10月安値と高値の半値押しで11月は安値をつけ、その後は株高、円安のリスクオンの動きがユーロ円にも波及し底堅い動きとなっています。大きくは9月安値からの大きな上昇ウェッジ(ピンク)を考えることもできそうですが、現在はちょうど中間地点にありそれぞれの幅がありすぎます。
個人的にはドル円が110円の大台に乗せてこない限り10月高値の121.48をしかりと上抜けすることはないと見ていますので、121円台半ばは引き続きレジスタンスとなってきます。いっぽうで、11月安値もサポートとなってくるでしょうから、12月上旬も基本的には11月のレンジ内での動きを継続しやすいということになります。もし、変化が出てくるようであれば、コラムでフォローしていきます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
12月2日(月)
**:** ミシェル新欧州議会議長就任
16:00 フィンランド中銀総裁講演
17:50 フランス11月製造業PMI改定値
17:55 ドイツ11月製造業PMI改定値
18:00 ユーロ圏11月製造業PMI改定値
23:00 ラガルドECB総裁議会証言
**:** トランプ大統領訪英(〜4日)
12月3日(火)
18:30 英国11月建設支出
19:00 ユーロ圏10月PPI
**:** NATO首脳会議@ロンドン(〜4日)
12月4日(水)
17:50 フランス11月サービス業PMI改定値
17:55 ドイツ11月サービス業PMI改定値
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI改定値
18:30 英国11月サービス業PMI
12月5日(木)
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値
12月6日(金)
16:00 ドイツ10月鉱工業生産
16:45 フランス10月貿易収支
22:30 米国11月雇用統計
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月25日(月)
ユーロドルは、リスクオンによるドル円でのドル高に引っ張られる形で終日じり安の展開となりました。しかし一日のレンジは28pipsに留まり取引自体は閑散な様子が続きました。
11月26日(火)
ユーロドルは、リスクオンからユーロ円が底堅い動きとなっていたこともあり、1.10台前半で底固めの動きを見せました。しかし終日のレンジはわずかに19pips、まったく動意の無い一日で終わりました。
11月27日(水)
ユーロドルはドル円の底堅い地合いもあってドル買いユーロ売りの動きが先行していました。NY市場に入りGDP改定値を受け1.10の大台を割り込むと1.0992レベルの安値をつけました。その後は目立った追随売りも見られず、値幅は伴わずそのまま安値圏でもみあいのまま引けました。
11月28日(木)
トランプ大統領が香港人権法案に署名とその後の中国の動きが無かったことを背景に、ユーロドルも細かな上下は見られましたが、1日の値幅は再び19pipsにとどまりました。米国が感謝祭ということもあって参加者が限られていたようでした。
11月29日(金)
ユーロドルは東京市場では動きが見られなかったものの、欧州市場に入り月末実需と見られるユーロ売りが見られ、週間安値を下回るとストップオーダーも出てNYの朝方には1.0981レベルの安値をつけました。しかし、ロンドンフィキシングでは逆に買いが入り反騰、こちらも日計りのストップを巻き込み1.1028レベルの高値をつけました。その後は高値圏でのもみあいで引けましたが、米国が感謝祭と週末に挟まれる金曜ということもあって流動性も低下していたようでした。
ディスクレーマー
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