来週の為替相場見通し『ドル円は米中リスクで上値が重い、ユーロは経済指標次第で続落の恐れ』(11/23朝)

ドル円は方向感に欠ける値動きが続いております。

来週の為替相場見通し『ドル円は米中リスクで上値が重い、ユーロは経済指標次第で続落の恐れ』(11/23朝)

ドル円は米中リスクで上値が重い、ユーロは経済指標次第で続落の恐れ

今週のレビュー(11/18−11/22)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初108.83で寄り付いた後、@クドロー米国家経済会議(NEC)委員長による「米中合意は近い」との発言(11/15)や、A中国の新華社通信による「ムニューシン米財務長官、ライトハイザー米通商代表部代表、劉鶴中国副首相による米中閣僚級電話会談は建設的」との報道(11/16)を背景に、週明け早々(11/18)、高値となる109.08まで上昇しました。

しかし、市場参加者が注目する200日移動平均線を抜け切れず失速すると、B米CNBC記者による「中国政府が米国との通商合意を巡り悲観的なムードになっている」とのツイートや、Cトランプ米大統領による「中国と通商問題で合意できなければ、対中関税を一段と引き上げる」との発言、D米議会による「香港人権法案」の可決、E一部通信社による「米中の第1段階通商合意は来年にずれ込む可能性がある」との報道が重石となり、週後半にかけては、安値108.28まで急落しました。

もっとも、直近安値108.25(11/14安値)を前に下げ渋ると、F劉鶴中国副首相による「米中第1段階通商合意に慎重(cautiously)ながらも楽観的(optimistic)」との発言や、G米WSJ紙による「中国政府は新たな対面通商協議を提案。11/28の米感謝祭(サンクスギビングデー)前に北京で開催される可能性」との報道、H良好な米経済指標(米・11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や、米・11月製造業PMI、米・11月ミシガン大消費者信頼感指数)、Iトランプ米大統領による「米中通商合意が非常に近い可能性がある」との発言が支援材料となり、週末にかけて持ち直す展開に。本稿執筆時点(日本時間5時現在)では、108.65近辺で推移しております。

<ユーロドル相場>

今週のユーロドル相場は、週初1.1052で寄り付いた後、@米CNBC記者による「中国政府が米国との通商合意を巡り悲観的なムードになっている」とのツイートや、A「米中の第1段階合意が来年以降にずれ込む可能性がある」との一部報道、B上記@Aを受けた米長期金利低下→ドル売りの流れが支援材料となり、週後半にかけて、11/5以来、約3週間ぶり高値1.1097まで上昇しました。

もっとも、心理的節目1.1100を前に伸び悩むと、C12/12投開票の英総選挙を巡る先行き不透明感や、D良好な米経済指標を受けたドル高の流れ、E米WSJ紙による「中国政府は新たな対面通商協議を提案。11/28の米感謝祭(サンクスギビングデー)前に北京で開催される可能性」との報道、Fユーロ圏・11月サービス業PMI(結果51.5、予想52.5)の冴えない結果、GラガルドECB総裁による「緩和スタンスの継続」を示唆する発言が重石となり、週末にかけては、安値1.1014まで下落しました。引けにかけて持ち直すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時現在)では、1.1020近辺で推移しております。

来週の見通し(11/25−11/29)

<ドル円相場>
ドル円は方向感に欠ける値動きが続いております。上値では109円丁度近辺に走る200日移動平均線に続伸を阻まれ、下値では11/14安値108.25に続落を阻まれました。米中報道が二転三転する中、市場参加者の「気迷い」が強まりつつあります。ボリンジャーミッドバンドも横ばいで推移するなど、テクニカル的にみて「方向感を見出しづらい時間帯(=レンジ相場)の継続」が予想されます。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策格差(利下げに踏み切ったFOMCと、追加緩和の見送りを決めた日銀)や、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米経済の先行き不透明感、C香港情勢の緊迫化、D米中協議を巡る先行き不安など、ドル安・円高に繋がり易い材料が残っています。特に上記Dについては、楽観と悲観が二転三転するなど、最終合意に至るまでは予断を許さない神経質な状態が続くと考えられます(足元では香港人権法案成立に向けた懸念も加わるなど、米中の溝が一段と深まるリスクも出てきました)。

以上の通り、ドル円は、ファンダメンタルズ主導で「上値が抑制される地合い」が続くと予想されます。米中関連報道は二転三転しており、結果次第でリスクオンにもリスクオフにもなり得る不安定な状態です。中国政府は11/28の米感謝祭(サンクスギビングデー)前の北京での対面通商協議を提案しており、これが実現するか否か、米国側の回答に注目が集まりそうです。米中リスク再燃と受け止められるヘッドラインが出てきた場合には、ドル円が直近安値108.25を割り込み、心理的節目108円丁度や、11/1安値107.89をトライする展開も視野に入ります。香港人権法案成立に向けた動きが強まる場面でも、株価の下落を通じて、リスク回避の円買いが強まると予想されます。

事実、世界の主要株価指数は11/19をピークに反落に転じました。来週は、米中を巡る続報や、米経済指標(米・10月耐久財受注や、米・10月PCEデフレータなど)の結果、トランプ米大統領・弾劾を巡るヘッドラインを睨みながらも、「ドル円相場の下落」をメインシナリオとして予想いたします。

ドル円の予想レンジ:107.00ー109.50

ドル円は米中リスクで上値が重い、ユーロは経済指標次第で続落の恐れ

ドル円日足

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