トルコリラ週報 『懸念材料出尽くしで反発。200日移動平均線を突破できるか否かに注目』(19/11/23)

今週のトルコリラ円相場は、週を通して「底堅い」動きとなりました。

トルコリラ週報 『懸念材料出尽くしで反発。200日移動平均線を突破できるか否かに注目』(19/11/23)

懸念材料出尽くしで反発。200日移動平均線を突破できるか否かに注目

今週のレビュー(11/18−11/22)

今週のトルコリラ円相場は、週初18.95円で寄り付いた後、@CNBC記者による「中国政府が米国との通商合意を巡り悲観的なムードになっている」とのツイートを背景に(=リスク回避ムードの高まり)、翌11/19に安値18.88円まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線や、ボリンジャーミッドバンドに下支えされると、その後は、A劉鶴中国副首相による「米中第1段階通商合意に慎重(cautiously)ながらも楽観的(optimistic)」との発言や、B米WSJ紙による「中国政府は新たな対面通商協議を提案。11/28の米感謝祭(サンクスギビングデー)前に北京で開催される可能性」との報道、C上記ABを受けたリスク選好ムード(=リスク回避ムードの後退)、Dトルコ・11月消費者信頼感指数(結果59.9、予想58.2)の良好な結果が支援材料となり、週後半にかけては、10/1以来、約2カ月ぶり高値となる19.12円まで上昇しました。もっとも、200日移動平均線(添付チャートのオレンジ線)に続伸を阻まれると、引けにかけては再び反落。結局19.01円前後での越週となっております。

来週の見通し(11/25−11/29)

今週のトルコリラ円相場は、週を通して「底堅い」動きとなりました。週後半にかけて約2カ月ぶり高値19.12円まで上昇するなど、テクニカル的に見て、モメンタムの強さが確認されます(上昇基調の継続)。但し、強力なレジスタンスとして意識されている200日移動平均線を未だ終値ベースで突破できておらず、「上値の重さ」も意識されます。来週は同ラインを突破できるか否かに注目が集まりそうです。

ファンダメンルズ的に見ると、@トルコ経済を巡る先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感(リラ買い為替介入の持続性への懸念)、Bトルコ中銀の追加利下げ観測、Cエルドアン大統領の求心力低下、D経済的な結び付きの強いドイツ経済の先行き不透明感、Eシリアを巡る地政学的リスク、Fロシアからの武器購入を巡る対米国および対NATO同盟国との関係悪化懸念など、潜在的な不安材料は残っています。しかし、ここ最近の動きをみる限り、上記@に改善の兆しが見られる他(今週のトルコ消費者信頼感指数も良好な結果となった)、上記Dについても、先週発表されたドイツ・第3四半期GDPがプラス成長となったことでドイツ経済のリセッション入りを免れました。また、上記Eについては、10/23の恒久的停戦以降、落ち着きを取り戻している上、上記Fについても、11/13の米土首脳会談以降、トルコ制裁を巡る緊張感が和らぎました。

以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「底堅い動き」が想定されます。11/25のトルコ・11月設備稼働率や、11/29トルコ・10月貿易収支、トルコ制裁に絡むヘッドラインを睨みながらも、来週はトルコリラの上昇(200日移動平均線を試す展開)をメインシナリオとして予想いたします。但し、米中リスクが再燃した場合には、「米中リスク再燃→リスク回避ムード→新興国通貨安・円高」の経路でトルコリラ円を押し下げるリスクもある為、米中に絡むヘッドラインには引き続き留意が必要でしょう。(トルコリラ円の予想レンジ TRYJPY 18.75ー19.35)

懸念材料出尽くしで反発。200日移動平均線を突破できるか否かに注目

トルコ円日足

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