冴えないファンダメンタルズが上値を阻む展開。米中を巡る続報に要警戒
今週のレビュー(11/18−11/22)
今週の南アフリカランド円相場は、週初7.40円で寄り付いた後、@米CNBC記者による「中国政府が米国との通商合意を巡り悲観的なムードになっている」とのツイートや、A一部通信社による「米中の第一段階通商合意は来年にずれ込む可能性がある」との報道、B米政府による「香港人権法案可決・成立」に向けた動き、C上記@からBを受けたリスク回避のランド売り・円買い(※南アフリカ最大の貿易相手国「中国」を巡る懸念はランド売りに波及し易い)、D南ア・10月消費者物価指数(結果3.7%、予想3.9%、※約8年8カ月ぶり低水準)の伸び悩み、Eインフレ鈍化を受けた南アフリカの追加利下げ観測の高まりが重石となり、週央にかけて、約1週間ぶり安値となる7.29円まで下落しました。
しかし、翌10/20に、F南アフリカ準備銀行(SARB)が政策金利を現行の6.50%に据え置くと(賛成3 vs反対2)、材料出尽くし感からランド買いが優勢に(政策金利の据え置きは市場予想通りの結果であったものの、一部で利下げ期待が燻っていた為、直後は南アランド買いで反応)。G米中を巡る楽観的な報道も支援材料となる中、週後半にかけては、高値7.44円まで上昇する場面も見られました。引けにかけて反落するも下値は堅く、結局7.38円前後での越週となっております。
尚、南アフリカ準備銀行(SARB)は政策決定会合後の声明で、2019年のGDP見通しを0.5%(前回0.6%)、2020年を1.4%(前回1.5%)、2021年を1.7%(予想1.8%)へ下方修正すると共に、追加利下げ(25bp)の再開時期が来年第3四半期以降になる可能性を滲ませました(※CPI見通しは全期間据え置き)。
来週の見通し(11/25−11/29)
今週の南アフリカランド円相場は、週央にかけて下げ幅を広げるも、一目均衡表基準線に続落を阻まれると、週後半にかけて反発に転じました。この間、一目均衡表転換線や、ボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的に見て、やや「底堅さ」を印象付けるチャート形状となっております。
しかし、ファンダメンタルズ的に見ると、@南アフリカを巡る景気減速懸念(=11/5の南ア・消費者信頼感指数や、11/13の南ア・小売売上高も市場予想を大幅に下回る冴えない結果となった事で、12/3に発表される南ア・第3四半期GDPへの警戒感が根強い)や、A国営電力会社エスコムの負債問題(=政府の財政悪化懸念を想起。ムーディーズは11/5にエスコム社の格付けをB2からB3へ一段と引き下げ実施。計画停電リスクも継続。但し、不在だったエスコムCEOは漸く決定)、B米中を巡る先行き不透明感(=南アフリカ最大の貿易相手国「中国」の景気下振れリスク)、Cムーディーズによる次回3月の格下げリスク(=2020年2月に予定されている南ア予算発表で財政健全化見通しが示されなかった場合は、翌3月に格下げが行われる可能性大。格下げとなればWGBIから除外されることで、南アフリカ債券市場から大規模な資金流出が引き起こされるリスクあり)など、不安材料は山積みです。
以上の通り、南アフリカランド・円相場は、テクニカル的に「底堅さ」を見せつつも、ファンダメンタルズ的な「弱さ」が続伸を阻む展開が予想されます。ムーディーズによる格下げリスクや、エスコムを巡る負債問題、南ア政府の財政悪化懸念、米中リスク再燃(米中合意の後ずれリスクや、香港人権法案成立リスク)など、不安材料目白押しの中、南アフリカランドを積極的に買いづらい地合いが続きそうです。当方では引き続き、南アフリカランド円相場の「下落」をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、11/27の南ア・10月生産者物価指数と、11/28の南ア・10月貿易収支、米中を巡るヘッドライン(特に米感謝祭前に北京での米中閣僚級会談が行われるか否か)に注目が集まります。
来週の予想レンジ ZARJPY 7.150ー7.550
南アフリカランド円
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