ドル円、下値トライ失敗で再び上昇。劉鶴発言と米紙報道がサポート材料
海外時間の為替概況
21日(木)の外国為替市場でドル円は一進一退。@一部通信社より「米中の第1段階通商合意は来年にずれ込む可能性がある」と報じられたことや、A中国が反対する「香港人権法案」にトランプ米大統領が署名する見通しが強まったこと、B上記@Aを通じて、「米中リスク再燃→リスク回避の株安・ドル売り・円買い」の流れが広がったこと等が重石となり、アジア時間午前にかけて、安値108.28まで下落しました。
しかし、直近安値108.25(11/14安値)を前に下げ渋ると、C劉鶴中国副首相による「米中第1段階通商合意に慎重(cautiously)ながらも楽観的(optimistic)」との発言や、D米WSJ紙による「中国政府は新たな対面通商協議を提案。11/28の米感謝祭(サンクスギビングデー)前に北京で開催される可能性」との報道、E米・11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果10.4、予想7.0)の良好な結果が支援材料となり、米国時間午前にかけて高値108.69まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では108.65近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は上値の重い展開。@米中リスク再燃を受けたドル売りを材料に、一時1.1097まで上昇するも、心理的節目1.10を前に伸び悩むと、B米WSJ紙による上記報道や、C米・11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果10.4、予想7.0)の良好な結果、D上記BCを受けた「米長期金利上昇→ドル高」の流れが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1053まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では1.1059近辺で推移しております。ユーロ自体に主体は見られず、米ドル主導の動きが続いております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、日本時間朝方に一時108.28まで下落するも、直近安値108.25の更新には至りませんでした。下値トライに失敗したことで、俄かショート勢による買い戻しが活発化。ドル円は再びレンジ内に収束する結果となりました。トップサイドは、200日移動平均線108.97や、一目均衡表転換線108.78、11/20高値108.75が続伸を阻み、ダウンサイドは、11/14安値108.25や、心理的節目108.00がサポートとして意識されます。テクニカル的に見て、市場参加者の「気迷い」の継続が意識されます(買いか売りか判断がつかない状況)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策格差(利下げに踏み切ったFOMCと、追加緩和の見送りを決めた日銀)や、Aトランプ米大統領の弾劾リスク(米下院はロシア疑惑捜査への虚偽報告を巡りトランプ米大統領の調査を再開)、B米経済の先行き不透明感、C香港情勢の悪化(香港人権法案成立の思惑)、D米中協議を巡る先行き不安など、ドル安・円高に繋がり易い材料が増えつつあります。
本日も米中報道を睨みながらの神経質な展開が予想されます。最終合意締結までは予断を許さず、ヘッドラインに振り回される不安定な状態が続くと考えられます。足元では香港人権法案可決など新たな火種も生まれつつあり、世界的な株価の動向(下落リスク)にも注意が必要です(米主要株価指数が11/19の史上最高値更新後に反落の兆しを見せている為)。
米WSJ紙が米感謝祭(11/28)前の対面協議の可能性を報じたことで、ひとまず期待感が生まれつつありますが、同時に、協議が11/28までに行われなかった場合の失望的な「ドル売り・円買い」リスクが高まっている点にも留意が必要でしょう。本日は、米・11月PMI指数や、米・11月ミシガン大消費者信頼感指数など、米経済指標が複数予定されていることから、冴えない結果が示された場合には、米長期金利の低下を通じて、ドル売り圧力が強まる恐れもあります。米中を巡るヘッドライン(特に北京での対面会談についての続報)や、米経済指標の結果を睨みながらも、当方では「ドル円の下落」を引き続き予想いたします(108円台後半は戻り売り、109円台乗せでストップ)。
本日の予想レンジ:108.25ー109.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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