ドル円見通し 108円台中盤で小動きだが戻り高値切り下がり気味(19/11/22)

米中関連報道では大きく反騰入りする決め手に欠く状況で、下げ渋りではあるが続報待ちというところのようだ。

ドル円見通し 108円台中盤で小動きだが戻り高値切り下がり気味(19/11/22)

【概況】

ドル円は11月15日未明安値108.24円の後、クドロー米NEC委員長による米中協議進展をうかがわせる発言をきっかけに18日夜高値109.07円まで戻したが、18日夜のトランプ大統領による合意への消極的発言から下落に転じた。その後は協議進展への悲観見通しと楽観見通しが交錯する中で21日午前には108.26円まで下げたが、15日未明安値割れをひとまず回避して21日夜へやや戻した。しかし20日深夜高値及び19日夜高値超えには至らずに18日夜からの戻り高値切り下がりの範囲にとどまっている。
11月15日安値割れをひとまず回避したことで、両安値をダブル底として戻しにかかる可能性もあるが、米中関連報道では大きく反騰入りする決め手に欠く状況で、下げ渋りではあるが続報待ちというところのようだ。

【米中関連報道への反応割れる】

11月20日にロイター通信が米政権関係者の話として米中貿易協議第1段階合意署名が来年にずれ込む可能性があると報じたが、21日は米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が中国が閣僚級協議の北京開催を米国に打診したと報道した。香港紙はトランプ米政権に近い関係者の話として12月15日までに協議が決着しない場合でも対中制裁関税第4弾の発動が延期される可能性があると報じた。これらは市場をやや安心させるものとなったが、一方で米議会は上下院で「香港人権・民主主義法案」を可決して中国側を刺激している。トランプ大統領が法案に署名する見通しとの報道もあった。中国側は法案成立の場合は対抗措置をとる姿勢も示しており、外交面の対立が通商協議へ悪影響を及ぼす可能性も懸念されている。

米中関連の材料は強弱入り混じりで金融市場の反応は様々だった。安全資産買いで11月12日深夜から上昇基調だったゴールドは反落。NYダウは11月19日に史上最高値を更新したものの当日に前日比102.2ドル安と下落し、20日に112.93ドル安、21日も54.80ドル安と3日続落となった。米債券は楽観材料への反応がやや勝って売られ、指標の米10年債利回りは前日比0.03%上昇の1.78%となった。為替市場ではユーロやポンドが21日夜へ上昇していたが深夜から反落したためドル指数は小幅ずつながら3日続伸で終了した。

【米経済指標、概ね良好】

米経済指標は概ね良好だが為替市場の決め手を欠いた。
米フィラデルフィア連銀の11月製造業景況指数は10.4となり前月の5.6から上昇、市場予想の7.0を上回った。米不動産業者協会(NAR)が発表した10月の中古住宅販売件数は季節調整済み年換算で前月比1.9%増の546万戸となり、市場予想の547万戸をわずかに下回ったが、2か月振りに前月比プラスとなり前月の536万戸から上昇した。販売価格中央値は前年同月比6.2%増の27万900ドルで伸びは2017年6月以来となった。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みで前週比横ばいの22万7000件となり市場予想の21万9000件を上回った。米コンファレンス・ボードが発表した10月の景気先行指数は111.7となり前月比0.1%低下したが市場予想と一致した。9月は0.2%低下に下方修正された。

【日足相対力指数の弱気逆行続く】

ドル円は8月26日安値104.45円からの上昇基調を維持して11月7日(8日未明)には高値で109.48円を付けたがその後は失速しており、11月14日(15日未明)時点では8月26日安値と10月3日安値及び11月1日安値を結んだ上昇トレンドの支持線を若干割り込んでいる。14日も含めて日足は下ヒゲを付けて下げ渋っているため、11月18日高値109.07円を超えてくれば上昇トレンド維持として一段高へ進む可能性は残るが、14日安値を割り込む場合は支持線割れによる下落再開感が意識され始めると思う。
9月18日高値から10月30日高値、11月7日高値へと高値を切り上げてくる中で、日足の相対力指数は9日高値形成時から指数のピークが切り下がり傾向にあり、弱気逆行として上昇トレンドの行き詰まりリスクを示している。ドル円が11月1日安値107.88円も割り込んで指数が40ポイント割れへ進む場合はチャートの悪化感も増してくると注意される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月15日未明安値をサイクルボトムとしていったん強気サイクル入りしていたが、18日夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りとなった。ボトム形成期は20日未明から22日未明にかけての間と想定されたが、21日午前安値からの反発で20日深夜高値に迫っているので21日午前安値を直近のサイクルボトムとする。トップ形成期は21日夜から25日夜にかけての間と想定されるので既にサイクルトップを付けての下落再開警戒期にある。21日午前安値割れ回避のうちは上昇余地ありとみるが、108.50円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、21日安値割れからは弱気サイクル入りとして26日午前から28日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、21日午前から反発したが戻りが鈍いために遅行スパンは実線と交錯している。先行スパンは108.50円前後で細くなっているため上抜きやすいが転落もしやすい。このため20日深夜高値108.73円超えからは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、108.50円割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日から相場が小動きのために指数も40ポイント前後から60ポイント前後までのレンジで小動きが続いている。引き続き60ポイント超えから続伸なら70ポイント超えを目指す上昇再開とみるが、40ポイント割れから続落の場合は一段安入りにより30ポイント割れへ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.50円を下値支持線、20日深夜高値108.73円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.50円を割り込まないかわずかに割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、20日深夜高値超えからは19日夜高値108.83円、次いで18日夜高値109.07円を段階的に試す可能性ありとみる。また108.50円以上で週を終える場合は週明けも高値を試す余地ありとみる。
(3)20日深夜高値を超えないうちは一段安余地ありとし、108.50円割れから続落の場合は下げ再開を警戒して21日午前安値108.26円及び15日未明安値108.24円試しとし、それらを割り込むところからは新たな弱気サイクル入りにより11月1日安値107.88円試しへ向かう流れとみる。米中関連報道で悲観が増して急落商状の場合は11月1日安値割れと週明けの続落で107円台前半へ向かう流れを想定する。

【当面の主な予定】

11/22(金)
20カ国・地域(G20)外相会議(名古屋市、11/23まで)
16:00 (独) 7-9月期GDP改定値 前期比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (独) 7-9月期GDP改定値・季調済 前年同期比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
16:00 (独) 7-9月期GDP改定値 季調前 前年同期比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
17:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
17:30 (独) 11月 製造業PMI速報値 (10月 42.1、予想 42.9)
17:30 (独) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 51.6、予想 52.0)
18:00 (欧) 11月 製造業PMI速報値 (10月 45.9、予想 46.4)
18:00 (欧) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 52.2、予想 52.4)
22:00 (欧) バイトマン独連銀総裁、講演

23:45 (米) 11月 製造業PMI速報値 (10月 51.3、予想 51.5)
23:45 (米) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 50.6、予想 51.5)
23:45 (米) 11月 総合PMI速報値 (10月 50.9)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 95.7、予想 95.7)

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