ドル円見通し 108円台中盤で小動きだが戻り高値切り下がり気味(19/11/21)

19日以降は小動きではあるが戻り高値が切り下がり、その後の安値も切り下がる右肩下がりの展開につかまっている印象だ。

ドル円見通し 108円台中盤で小動きだが戻り高値切り下がり気味(19/11/21)

【概況】

ドル円は11月15日未明安値108.24円の後、クドロー米NEC委員長による米中協議進展をうかがわせる発言をきっかけに18日夜高値109.07円まで戻したが、18日夜のトランプ大統領による合意への消極的発言から失速してきた。
11月19日午前安値108.45円から19日夜高値108.83円へ戻したものの勢いに欠け、20日夜には108.34円まで安値を切り下げた。20日深夜高値では108.73円を付けたものの19日夜高値には届かずに戻り高値は切り下がりに終わり、21日早朝には再び108.50円を割り込んでいる。19日以降は小動きではあるが戻り高値が切り下がり、その後の安値も切り下がる右肩下がりの展開につかまっている印象だ。
11月20日も米中通商協議関連では米商務省が中国ファーウェイへの一部製品供給への許可を開始したことや、トランプ大統領が中国で生産されるアップル製品の制裁関税適用除外検討への言及等は合意へ向けたプラス材料とされたが、米上院が11月19日に香港抗議デモへの中国政府の姿勢を批判する「香港人権民主主義法案」を満場一致で可決し、21日朝には下院も可決したことは外交的な米中対立により通商協議も阻害されるとしてマイナス材料となっている。

株式市場は米中問題に関して相対的に楽観的な展開が続き、NYダウは11月19日に立ち会い中の史上最高値を更新したが、19日の終値は前日比102.20ドル安となり、20日も前日比112.93ドル安と続落しており、市場の楽観姿勢が後退しつつある。米債券は安全資産として買われており、指標の米10年債利回りは前日比0.04%低下の1.75%となっている。

米連邦準備制度理事会(FRB)は21日未明に10月29-30日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表したが、参加者の大半はこれまでの利下げで緩やかな成長見通しを支えるのに十分だとし、政策金利の据え置きで当面は様子見とするのを適切と判断していることが示された。議事録内容には特にサプライズはなく市場の反応は限定的だった。

【米中協議、越年か?】

11月19日夜にトランプ米大統領が閣議において「中国は自分自身が気に入るディールを行う必要がある」「中国とディールを行えなければ単に関税を一段と引き上げるだけだ」と述べたことがテレビ報道され、米政権内での意見対立とトランプ大統領の合意への消極姿勢が印象つけられた。
米上院は11月19日に香港抗議デモに対する中国政府の姿勢を批判する「香港人権民主主義法案」を可決した。21日早朝には下院も可決している。法案成立のためにはトランプ大統領の署名が必要だが、20日時点で中国政府は同法案が成立した場合には断固反撃すると報復宣言している。この問題は両国の通商協議にも悪影響を与えるのではないかと懸念される。
11月20日に米商務省が中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)への一部製品供給を認める許可証の発行を開始したと報道されたところでは市場もやや楽観的反応を見せたが、その後にロイター通信がホワイトハウスに近い関係筋の話として米中協議の第1段階合意は来年にずれ込むとの見方を報じたために再び先行き不透明感が強まった。

12月15日には米国による対中国制裁関税第4弾発動が予定されており、現時点では中止も延期も決まっていない。米中が第1段階とされる合意に到るための時間も徐々に限られてきており、
市場も年内合意が難しいのではないかとの懸念を強め始めている印象だ。
来年の大統領選挙再選を狙うトランプ大統領にとっては合意による成果強調をしたいところでもあるが、中途半端な妥協はできず、中国が米国の農畜産物の大量購入でトランプ大統領が満足できる数値目標を掲げないことには交渉もまとまらないのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月15日未明安値をサイクルボトムとしていったん強気サイクル入りしていたが、18日夜高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りとなった。ボトム形成期は20未明から22日未明にかけての間と想定される。
20日夜へ安値を切り下げた後に小反発したが20日夜高値に届かずにいるためまだ一段安へ進みやすい状況と思われるが、15日未明安値から3日半となる20日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れからは新たな弱気サイクル入りとなる可能性も検討される。
20日深夜高値108.73円を超える場合は強気サイクル入りとして21日夜から25日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、18日深夜の急落で遅行スパンが悪化し、その後の反発でも好転しきれずにいる。20日夜の反発では先行スパンを上抜けずに転落した状況も続いている。19日からは小動きのため、20日夜安値割れからは下落続行として遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、20日深夜高値超えからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は19日から相場が小動きのために指数も40ポイント前後から60ポイント前後までのレンジで小動きとなっている。60ポイント超えから続伸なら70ポイント超えを目指す上昇再開とみるが、40ポイント割れから続落の場合は一段安入りにより30ポイント割れへ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月20日夜安値108.34円を下値支持線、20日深夜高値108.73円を上値抵抗線とみておく。
(2)20日深夜高値を超えないうちは一段安余地ありとし、20日夜安値割れからはそのまま15日未明安値108.24円を割り込んで11月1日安値107.88円試しへ向かう流れとみる。108円割れは買い戻されやすいとみるが、米中協議関連報道等で悲観売りとなる場合は11月1日安値割れから107円台中盤試し、さらに22日以降へ続落しやすくなると警戒する。
(3)20日深夜高値超えからは18日夜からの下落一服によるリバウンド入りとみて18日夜高値109.07円前後試しを想定するが、109円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。ただし米中協議関連でリスクオン全開となる場合は11月8日高値108.48円試しへの上昇へ進む可能性も多少あるとみる。

【当面の主な予定】

11/21(木)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行、政策金利 (現行 6.50%、予想 6.50%)
13:30 (日) 9月 全産業活動指数 前月比 (8月 0.0%、予想 1.5%)

21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 5.6、予想 7.0)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.5万件、予想 21.9万件 )
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.3万人、予想 168.5万人
22:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
24:00 (米) 10月 景気先行指数 前月比 (9月 -0.1%、予想 -0.1%)
24:00 (欧) 11月 消費者信頼感・速報値 (10月 -7.6、予想 -7.3)
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (9月 538万件、予想 547万件)
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数 前月比 (9月 -2.2%、予想 1.4%)
24:10 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演

11/22(金)
20カ国・地域(G20)外相会議(名古屋市、11/23まで)
08:30 (日) 10月 全国消費者物価指数 前年同月比 (9月 0.2%、予想 0.3%)
08:30 (日) 10月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比 (9月 0.3%、予想 0.4%)
08:30 (日) 10月 全国消費者物価指数・生鮮食料品エネルギー除く 前年同月比 (9月 0.5%、予想 0.6%)
16:00 (独) 7-9月期GDP改定値 前期比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (独) 7-9月期GDP改定値・季調済 前年同期比 (速報 0.5%、予想 0.5%)
16:00 (独) 7-9月期GDP改定値 季調前 前年同期比 (速報 1.0%、予想 1.0%)
17:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
17:30 (独) 11月 製造業PMI速報値 (10月 42.1、予想 42.9)
17:30 (独) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 51.6、予想 52.0)

18:00 (欧) 11月 製造業PMI速報値 (10月 45.9、予想 46.4)
18:00 (欧) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 52.2、予想 52.4)
22:00 (欧) バイトマン独連銀総裁、講演
23:45 (米) 11月 製造業PMI速報値 (10月 51.3、予想 51.5)
23:45 (米) 11月 サービス業PMI速報値 (10月 50.6、予想 51.5)
23:45 (米) 11月 総合PMI速報値 (10月 50.9)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 95.7、予想 95.7)

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