<< 東京市場の動き >>
14日の東京市場は、レンジ取引。108円後半、30ポイントにも満たないボックス相場で、依然として明確な方向性は乏しい状況だ。
ドル/円は108.75円前後で寄り付いたものの、上下とも攻めきれずに結局レンジ取引。108.60-85円といったなかでの上下動、往来相場をたどっている。発表された10月小売売上高など中国の経済指標が軒並み予想を下回ったほか、日経平均株価は終値ベースで前日比178円安と大きく下落したものの、リスク回避の動きも限定的。円買いの動きはいまひとつだった。16時時点では108.70-75円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米弾劾調査の公聴会を開始」と「米貿易問題」について。
前者は、13日から始まった公聴会が何かと話題に。テーラー駐ウクライナ代理大使が「政敵捜査見返りに軍事支援」などと証言、これが初めて全米テレビ中継で伝えられたことで、世論の反応も気になるところだ。なお、そうしたなかトランプ大統領は自身のツイッターをリツイートも含め20以上も更新、「公聴会はでっち上げ、魔女狩りだ」などと連続し強く批判している。
それに対して後者は、注目されたパウエルFRB議長の議会証言で「経済が軌道維持する限り現行政策は適切に」とする利下げの一時停止発言が聞かれるなか、米紙WSJが「米中通商協議は農産物の購入めぐり協議難航、暗礁に乗り上げた」と報道。金利差に着目したドルの上昇ムードがぶち壊しになった。そののち、トランプ氏から「中国との貿易協議は進展している」などとした火消し発言も聞かれたが、時すでに遅し。ドルの上値が再び重くなっていた。
<< 欧米市場の見通し >>
7日に記録した直近のドル高値109.49円をトライする機運は後退した感がある。ただし問題はここからで、「ドルの下押し機運が再び高まる」のか、それとも「108円台を中心としたレンジ取引をたどる」のか、次の動きをしっかりと見極めたい。いま現在、個人的には後者の公算が大きいイメージを抱いているが予断を許さない。昨日またもや史上最高値を更新してきたNYダウが仮に崩れるようだと、前者の108円割れに向けたドルの続落も否定出来なくなる。
材料的に見た場合、「米貿易問題」、「米金融政策」、「ウクライナ疑惑」、「トルコ・シリア情勢」のほか「北朝鮮情勢」や「英国情勢」、「イラン情勢」など注目すべき要因は少なくない。そのいずれも警戒を要するが、とくにとなると香港を含めた「米中情勢」、そして新たなステージに入った感のある「ウクライナ疑惑」の行方が気掛かり。後者は、来年の米大統領選をにらみ、今後与野党間でますます激しい攻防が繰り広げられることになりそう。進展如何では為替市場に影響を及ぼす可能性もある。
テクニカルに見た場合は、何度も同じような話を書いているが、またもや今回も109.00-05円に位置する移動平均の200日線を「しっかり」越えることが出来なかった。ドルの上値は依然として重そう。
それよりむしろ、これまでドルのサポートとして認識されてきた移動平均の25日線がレベルを切り上げており、こちらを割り込む可能性も指摘され始めた。108.70-75円に位置する25日線を「しっかり」と下回れば、さらなる下押しが入っても不思議はないだろう。
本日は、10月の卸売物価など幾つかの米経済指標発表が予定されているものの、正直市場の関心は高くない。もちろん数字次第だが、基本的にはノーインパクトか。
それよりも、本日は米通貨当局者による講演など発言機会が多く、そちらに注意を払いたい。一例を挙げると、パウエル米FRB議長が下院予算委員会で証言を行ううえ、ブラード・セントルイス連銀総裁やウィリアムズNY連銀総裁、エバンズ・シカゴ連銀総などが講演を実施される見込みとなっている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.20-109.10円。ドル高・円安方向は、何度もトライしたが、「しっかり」とは超えられていない200日線の位置する109円前後が最初の抵抗。抜ければ直近高値109.49円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京など時間足ベースで何度か下げ止まっている108.60-65円の攻防にまずは注視。同レベルは25日線も位置しており、なかなか強いサポートとして寄与する可能性もある。ただ、割り込めば1日安値に向け、108円割れも否定出来ない。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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