ドル円、米長期金利の低下を受けて続落。約2週間ぶり安値圏へ
海外時間の為替概況
14日(木)の外国為替市場でドル円は続落。@中国の主要経済指標(鉱工業生産や小売売上高)の冴えない結果や、A香港情勢の悪化、B米中協議(第1段階の合意)を巡る先行き不透明感、C米・新規失業保険申請件数(結果22.5万件、予想21.5万件)の悪化、D世界的な株価の下落、E米長期金利の急低下(米10年債利回りは1.893%→1.808%)が重石となり、ドル円は米国時間午後にかけて、11/4以来、約2週間ぶり安値となる108.25まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間朝4時45分現在)では、108.35近辺で推移しております。尚、昨日は、米・10月生産者物価指数(結果1.1%、予想0.9%)、同コア指数(結果1.6%、予想1.5%)が市場予想を上回った他、パウエルFRB議長やNY連銀ウィリアムズ総裁など複数の米当局者からもタカ派的(米経済は概ね良好)な発言が見られましたが、市場の反応は殆ど見られませんでした。
一方、ユーロドル相場は上昇。@レーンECB理事が「金融緩和政策は貿易収支へポジティブな効果」と発言したことで、10/10以来となる1.0989まで下げ幅を広げましたが、同水準で下げ渋ると、Aドイツ経済がリセッション入りを免れたこと(ドイツの第3四半期GDPは前期比0.1%プラス)や、Bオランダ中銀ノット総裁が「非伝統的政策に一段と慎重になる必要がある」との見解を示したこと、CデギンドスECB副総裁が「欧州の景気後退リスクは非常に低い」と発言したこと、Dフランス中銀ビルロワドガロー総裁が「ECBの政策金利は底入れしつつある」と述べたこと、F米長期金利の急低下を受けて対主要通貨でドル売り圧力が強まったこと等が支援材料となり、ユーロドルはその後1.1027まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間朝4時45分現在)では、1.1023近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、年初来安値104.45(8/26)を起点とした中期サポートライン(108.60近辺、添付チャートの緑色のライン)を割り込むと、約2週間ぶり安値となる108.25まで下落しました。109円台半ばの再トライ(11/7高値109.49、11/8高値109.48)を見越してロング・ポジションを引っ張っていた向きのストップロスが発動した形となっております。これを受けてポジションの偏り(リスク選好の円売りポジション)もひとまず軽くなったと推察されます。
ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策格差(利下げに踏み切ったFOMCと、追加緩和の見送りを決めた日銀)や、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米経済の先行き不透明感、C香港情勢の悪化、D米中協議を巡る先行き不透明感など、ドル安・円高に繋がり易い材料が増えつつあります。特に上記@については、米当局者の意向に反して市場が追加利下げを織り込む催促相場に繋がる可能性もあり、注意が必要です。事実昨日も、米生産者物価指数の上昇や、パウエルFRB議長など米当局者のタカ派的な発言に反応しない相場展開となりました。
本日は、米・10月小売売上高や、米・11月ニューヨーク連銀製造業景気指数の結果に注目が集まります。地合いがリスク回避ムードに傾いていることを考慮すれば、市場予想を下回った際の「ドル売り・円買い」に注意が必要です。尚、当方では、中期サポートラインを割り込んだことを踏まえて、短期見通しを上昇→中立に変更しました。昨日までのサポートライン(108.60近辺)はロールリバーサルでレジスタンスに変化している可能性が高く、本日は米中協議を巡るヘッドラインや米経済指標の結果を睨みながらも、やや上値の重い展開を予想いたします。(本日の予想レンジ:108.00ー108.75)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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