ドル円、日米金融政策格差と米中対立懸念再燃で急反落。一時107円台へ
海外時間の為替概況
31日(木)の外国為替市場でドル円は急落。@米FOMC(連邦公開市場委員会)で予想通りFF金利の25bpの引き下げ(結果1.50%ー1.75%、前回1.75%ー2.00%)が決定しつつも、次回利下げを示唆する「適切に行動する」との文言が削除されたことで、「予防的利下げ打ち止め観測→金利先安感の後退→ドル買い」の流れが強まり、ドル円は一時109.29(約3ヶ月ぶり高値)まで急伸しました。
しかし、直近高値109.33(8/1高値)を前に伸び悩むと、A反政府デモの激化を受けて11月にチリで開催される予定であったアジア太平洋経済協力会議(APEC)の開催断念が決定されたこと(※同会議で米中合意締結署名が見込まれていたが、APECの開催断念を受けて先行き不透明感が再燃)、BFOMCを終えて「sell the fact」の動きが強まったこと、C中国・10月製造業PMI(結果49.3、予想49.8)が冴えない結果となったこと、D日銀金融政策決定会合で追加緩和の見送りが決定されたこと、E中国が「米国との長期的貿易合意の実現可能性に疑念」と報じられたこと、
F米・10月シカゴ購買部協会景気指数(結果43.2、予想48.0)市場予想を大幅に下回る冴えない結果となったこと(4年ぶり低水準)、G米下院がトランプ米大統領・弾劾を巡る調査決議案を賛成多数で可決したこと、H米主要株価指数の下落、米長期金利の低下を受けてリスク回避のドル円・クロス円売りが強まったこと等が重石となり、米国時間には、10/11以来、約3週間ぶり安値107.93まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では108円丁度近辺で推移しております。
ユーロドル相場は下落後に急反発。@ややタカ派寄のFOMC(予防的利下げ打ち止め観測→金利先安感の後退→ドル買い)を受けて一時1.1080まで急落するも、A米長期金利が低下に転じると、Bユーロ圏・第3四半期GDP速報値(結果0.2%、予想0.1%*前期比)や、Cユーロ圏・10月HICP(結果1.1%、予想1.0%*前年比)が市場予想を上回ったこと等が支援材料となり、欧州勢参入後には、一時1.1175まで急伸しました。しかし、米中を巡る先行き不透明感が再燃すると、リスク回避のユーロ売り・円買いが強まり、ユーロドルも連れて上値が抑制される展開に。本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では、1.1150近辺まで押し戻されての推移となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、FOMC直後に3ヶ月ぶり高値圏(109.29)へと急伸するも、8/1高値109.33トライに失敗すると、その後急反落に転じました。米国時間には一時107.93(約3週間ぶり安値)まで下げ幅を広げるなど、テクニカル的に見て、上値の重さが意識されるチャート形状です(@長い上髭、A200日移動平均線割れ、B一目均衡表転換線割れ、Cボリンジャーミッドバンド割れ)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策格差(利下げに踏み切ったFOMCと、追加緩和の見送りを決めた日銀)や、A米中対立懸念の再燃、Bトランプ米大統領弾劾リスクの再浮上、C米国ファンダメンタルズの悪化など、ドル円の「下押し」に繋がりやすい材料が増えつつあります。本日発表される米・10月雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率、平均時給)や、米・10月ISM製造業景気指数が冴えない結果となれば、12月FOMCでの利下げを織り込む形で(市場参加者による催促相場)、米長期金利低下→ドル売りの流れが一段と強まる恐れがあります。当方では引き続き、ドル円の続落をメインシナリオとして予想いたします。(本日の予想レンジ:107.50ー108.50)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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