【概況】
10月3日深夜安値106.50円から10月17日高値108.93円までの上昇が一巡して10月21日朝にはブレクジットを巡る英・EU首脳合意案を英下院が採決せずに先送りしたことを警戒して108.29円まで下げ、22日高値108.72円までいったん戻してからの下落で23日午前には108.25円をつけて21日朝安値を割り込んだ。この段階では10月17日高値からの下落が60分足レベルで二段下げとなり、高値切り下がりからの安値更新という弱気パターンに陥った印象が強まったが、23日夜に切り返して24日未明には108.70円をつけて22日高値に迫った。その後も108.50円以上を維持している。
23日はトルコがシリア領内のクルド人勢力に対する軍事作戦を停止して米国の提案する「恒久的な停戦」を受け入れたとトランプ大統領が表明したことで中東情勢でのリスク回避感が後退したこと、ブレクジット問題でもEU側が三度目の離脱期限延期を受け入れる動きとなっているために合意無き離脱によるハードランディングにはならないとして、金融市場全般をやや楽観ムードにしたことを背景にドル円が上昇した。しかし、相場の方向性を左右するようなインパクトある材料やきっかけには乏しく、反騰したものの22日高値手前で寸止めとなったという印象だ。しかし、22日高値を上抜けば、17日からの高値切り下がりによる弱気パターンからの脱却となるため、チャート要因での上昇継続性も出てくる可能性がある。
24日夜はECB理事会とドラギ総裁会見があるが、同総裁が今月末で退任のため金融政策は現状維持とみられ大きな材料にはならないのではないかと思われる。それよりも24日夕刻からはドイツやユーロ圏のPMI、夜は米国の耐久財受注や住宅販売統計等の発表もあるので、経済指標の悪化からリスク回避的円高に走るか、さほど悪くないか予想を上回りリスクオン的な円安が進むのかどうかが焦点になってくると思う。
米中問題では大きな動きは見られないが、包括的な通商合意へ向けた第一段階の合意形成への文書作成、事務レベル協議が続き、25日には閣僚級の電話協議が予定されている。順調な進展との報道もある一方でクリアすべき課題もあることや合意順守を担保する方針等を巡って簡単にはまとまらない可能性もある。この問題ではまだ暫く進展待ちが続きそうだ。
【レンジ拡張型持ち合いか、逆三尊構成か】
10月22日高値に迫ったことにより、今後のチャート進路についてはいくつかのシナリオが考えられる。
(1)10月22日高値108.72円を超えないで失速なら戻りのダブルトップ形成に止まって23日安値割れから一段安入りとなり、10月3日深夜から17日夜への上昇に対する逆流的な下落基調となる可能性がある。その場合は当初108円試し、さらに107.50円、先行きで10月3日深夜安値試しへと進む懸念も出てくる。
(2)10月22日高値をわずかに上抜いても108.50円を割り込む場合、108.30円前後までの下げから切り返して23日安値以降の高値を更新すれば、60分足レベルの逆三尊底形成となって17日高値を超える一段高へ進みやすくなると思われる。その場合はまず22日高値から23日安値までの下げ幅の倍返しで109.19円前後を目指すと考える。
(3)24日の日中も概ね108.50円以上でしっかりし、22日高値さらに17日高値を超える場合は、17日から23日までの二段下げ調整を消化しての一段高入りとなり、10月3日深夜安値から17日夜高値までの第一段の上昇波動並とすれば上値目処は110.68円まで切り上がる可能性が考えられる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月14日夜安値から4日半となる10月21日朝安値で直近のサイクルボトムをつけて戻したが、23日朝への下落で21日朝安値を割り込んだため、23日朝時点では22日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして24日朝から28日朝にかけての間への下落を想定した。24日朝時点ではまだ22日高値を超えていないので、108.50円割れから続落に入る場合は22日高値を起点とした弱気サイクルの継続と考えるが、22日高値を上抜く場合は21日朝と23日午前の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りと仮定して25日午前から29日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では23日朝の下落で先行スパンから転落したが、その後の反騰で先行スパンを上抜き返している。遅行スパンも好転しているので、遅行スパン好転中は高値試しの可能性ありとするが、先行スパンから再び転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。ただし、108.50円を挟んだ往来相場に止まれば両スパンとも好転と悪化を暫く繰り返す可能性もあるので、22日高値超えか23日安値割れかの決着がついてから流れも確りするのではないかと思われる。
60分足の相対力指数は24日未明への上昇で70ポイントまで戻したがその後は失速気味となっている。50ポイントを支持線として上回る内は上昇余地ありとするが、24日未明高値を超えた時点で指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行として下落再開注意とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.50円を下値支持線、10月22日高値108.72円を上値抵抗線とする。
(2)108.50円を上回るか、わずかに割り込んでも切り返す内は22日高値試しとし、高値更新からはまず10月17日高値108.93円試を想定する。109円手前は戻り売り圧力も大きいと思うが、17日高値を超えるところからは109.19円、さらに109.61円等を順次試して行くと考える。
(3)108.50円割れから続落の場合、108.30円前後までの下げから10850円以上へ切り返す場合は60分足レベルの逆三尊形成の可能性ありとし、23日以降の高値更新からは109円超えを目指すとみる。
(4)ただし、108.25円割れへ下げる場合は17日高値を起点とした下落波動の安値切り下がりパターン継続として108.00円割れを目指すとみる。108円前後ではいったん買い戻しも入りやすいとみるが、108円割れから続落に入る場合は107.50円前後へ下値目処を引き下げる。
【当面の主な予定】
10/24(木)
14:00 (日) 8月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 91.7)
14:00 (日) 8月 景気一致指数(CI)改定値 (速報 99.3)
16:30 (独) 10月 製造業PMI (9月 41.7、予想 42.0)
16:30 (独) 10月 サービス業PMI (9月 51.4、予想 52.0)
17:00 (欧) 10月 製造業PMI (9月 45.7、予想 46.0)
17:00 (欧) 10月 サービス業PMI (9月 51.6、予想 51.9)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 16.50%、予想 15.50%)
20:45 (欧) 欧州中銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.6%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.5%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 前週分 失業保険継続受給者数 (前週 167.9万人、予想 167.5万人)
22:45 (米) 10月 製造業PMI (9月 51.1、予想 50.8)
22:45 (米) 10月 サービス業PMI (9月 50.9、予想 51.0)
22:45 (米) 10月 総合PMI (9月 51.0)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (8月 71.3万件、予想 70.2万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 7.1%、予想 -1.5%)
10/25(金)
15:00 (独) 11月 GFK消費者信頼感 (10月 9.9、予想 9.8)
17:00 (独) 10月 IFO景況指数 (9月 94.6、予想 94.5)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 96.0、予想 96.0)
オーダー/ポジション状況
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