ドル円、英欧の離脱協定案修正合意も109円トライに失敗
海外時間の為替概況
17日(木)の外国為替市場でドル円は上昇後に反落。欧州時間序盤にかけて、@「英国と欧州連合がEU離脱協定案の修正に合意」と報じられたことで、英ポンド円が139.27から141.49まで急伸すると、ドル円も連れて8/1以来、約2ヶ月半ぶり高値となる108.93まで上昇しました。しかし、心理的節目109円ちょうどを前に伸び悩むと、その後は、A10/19に予定されている英議会採決を巡る不透明感が高まったことや(=北アイルランドの民主統一党が離脱案に賛成票を投じない可能性)、B米・9月住宅着工件数(結果125.6万件、予想132.0万件)、
C米・10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果5.6、予想8.0)、D米・9月鉱工業生産指数(結果▲0.4%、予想▲0.2%)など米経済指標が軒並み市場予想を下回ったこと等が重石となり、米国時間午後にかけて、108.47まで下げ幅を広げました。もっとも、108円ミドルでは押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、その後持ち直す展開に。E「トルコはシリアでの休戦に合意」とのヘッドラインも、地政学的リスクの後退を通じてドル円を下支えし、本稿執筆時点(日本時間10/18午前4:50)では、108.65近辺で推移しております。
一方、ユーロドルは上昇後に伸び悩む展開。@英国と欧州連合が合意に至ったことで、欧州時間序盤にかけて、約1ヶ月半ぶり高値1.1139まで上値を伸ばしました。しかし、一目均衡表雲上限付近で伸び悩むと、A10/19に予定されている英議会採決を巡って不透明感が高まったことや、Bドイツ政府が2020年のGDP見通しを1.5%から1.0%へ下方修正したこと(2019年は0/5%のまま据え置き)等が重石となり、米国時間午後にかけて値を下げる展開となりました。本稿執筆時点(日本時間10/18午前4:50)では、1.1125近辺での横ばいが続いております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、10/3安値106.48をボトムに底打ちすると、10/4安値106.58 →10/7安値106.69 →10/8安値106.82 →10/9安値106.93 →10/10安値107.17 →10/11安値107.85 →10/14安値108.04 →10/15安値108.15 →10/16安値108.57と、9営業日連続で下値を切り上げましたが、昨日は(10/17安値108.47)10営業日ぶりに、前日安値を下回りました。心理的節目109円丁度や、200日移動平均線109.07、8/1高値109.33を射程圏内に捉えつつも、上抜けに失敗したことを考慮すれば、テクニカル的に見て、やや「上値の重さ」が意識される展開です。
ファンダメンタルズ的にも、@英国と欧州連合が合意にこぎつけたことで、合意なき離脱リスクは後退しましたが、今週末(10/19)の英議会採決を巡る不透明感は残存しており、まだまだ油断はできない状況です。また、Aトランプ米大統領を巡る弾劾リスクが続いていることや、B欧米を始めとした世界経済の減速懸念(今週は米小売売上高に続いて、米フィラデルフィア製造業指数、米住宅着工件数、米鉱工業生産指数も冴えない結果となった)、C米中を巡る不確実性の継続(米中協議は部分合意に至るも本質的な解決は先送り。トランプ米大統領は合意文書作成中としつつも、11月半ばにチリで開催されるアジア太平洋経済協力会議での習近平国家主席との会談まで署名は持ち越し)、D日米金融政策格差(追加利下げが織り込まれる米国と、副作用を警戒して追加緩和に二の足を踏んでいる日銀との金融政策の方向性の違い)など、ドル売り・円買いに繋がり易い材料が引き続き多く残っています。
本日は、中国の主要経済指標(第3四半期GDPや、9月小売売上高、9月鉱工業生産)や米・9月景気先行指数などに注目が集まります。米中の経済指標が冴えない結果となれば、世界経済の先行き不透明感を通じて、今月末のFOMCでの利下げ観測→米長期金利低下→ドル売りの流れが強まる可能性があります。また、10/19の英議会採決を巡る悲観的なヘッドラインが報じられれば、英ポンド円の下落を通じて、ドル円が連れ安となるリスクも残っています。心理的節目109円トライ失敗でチャート的にも形状が悪くなっており、本日はドル円の反落をメインシナリオとして予想いたします。(本日の予想レンジ:108.25ー109.25)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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