【概況】
10月4日夜の米雇用統計で失業率が大幅改善したことで10月1日からの米経済指標悪化による下落に歯止めをかけ、その後は米中通商協議の進展期待が強まる中で切り返し、10月11日深夜には108.61円をつけて9月18日高値108.47円と10月1日高値108.46円によるダブルトップラインを突破した。15日深夜から一段高となり16日未明には108.89円まで高値を切り上げ、その後も108.50円以上を維持しつつ109円に迫る状況が続いていた。
10月17日夕刻にブレクジットを巡り英国とEUが合意に達したとの報道からポンドとユーロが急騰、ドルストレートではドル安だったが、リスク回避感後退でクロス円では円安となり、ドル円も108.93円まで戻り高値を切り上げた。しかし、ブレクジット合意には英国議会の承認が必要であり、非承認となる可能性ありとしてユーロとポンドの上昇にブレーキがかかり、21時半からの米経済指標が軒並み予想を下回ったことでドル円も109円に届かないまま失速、深夜の安値で108.47円まで下げた。
108.50円割れはひとまず買い戻されているので一段高状態は維持されているものの、109円に届かなかったことで上値の重さも意識されつつある。また10月1日から10月3日深夜にかけての下落は米ISM製造業景況指数等が相次いで予想外に悪かったことが背景だったため、前日の米小売売上高が不調だったことも踏まえると、米景気後退懸念と長期金利動向を再び意識する相場展開になりやすいところかもしれない。
米10年債利回りは0.01%上昇の1.75%と小動き。NYダウは23.990ドル高と小幅な上昇に止まった。ブレクジット合意や米中協議進展期待によるリスクオン心理はプラスだがまだ紆余曲折ありそうなため慎重な動きと思われる。
因みにNYダウは7月16日高値27398.68ドルが史上最高値であり、9月12日高値27306.73ドルで迫ったものの高値更新に失敗して10月3日安値25743.46ドルまで下落した。10月3日安値は6月3日安値から8月15日安値へと底上げしてきた流れの範囲に止まり、そこから27000ドル超えまで戻してきているため、7月と9月のダブル天井形成というよりもこの間を大きな振れ幅のある三角持合いとして持ち合い上放れへ向かうも出てきている。米中協議がさらに進展して12月15日から予定されている米国の対中制裁関税第4弾の発動が中止され、ブレクジットが正式承認されて金融市場全般がリスクオン全開となれば史上最高値更新へ走り、ドル円も株高同調で一段高へ進む可能性もあるところだ。ただし、いずれもまだ不透明感を抱えたままで、10月3日からの株高円安の梯子が壊れれば昨年10月から12月に見られた株暴落と同調した円高が再燃する可能性もあると注意しておく。
【米経済指標】
米商務省が発表した9月の住宅着工件数は季節調整後年換算で125万6000戸となり、前月比9.4%減少し、市場予想の132万戸を下回った。先行指標の住宅着工許可件数は138万7000戸で前月比2.7%減少となったが市場予想の135万戸は上回った。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みが21万4000件で前週比4000件増加したが、市場予想の21万5000件を下回った。
米フィラデルフィア連銀が発表した10月の地区連銀製造業景況指数は5.6となり市場予想の8.0を下回り、9月の12.0から大幅に低下した。
米連銀が発表した9月の鉱工業生産指数は前月比0.4%低下して8月の0.8%から悪化した。設備稼働率も77.5%で前月から0.4ポイント低下した。
【ブレクジットは19日の英下院採決が山場】
EUと英国は10月17日の首脳会談においてEU離脱案を合意した。英領北アイルランドの国境管理問題で双方が妥協した模様で、EUは同日の首脳会議で新離脱案を既に承認している。この合意速報からポンドとユーロが急騰したが、ブレクジットが実現するには英国議会と欧州議会双方での承認が必要だ。
10月19日に英政権は英下院で承認を求める予定だが、与党の保守党は過半数に満たず、閣外協力している北アイルランドの民主統一党(DUP)は早々に不支持を表明しているため、承認されるかどうかはまだ不透明だ。否決されれば再び離脱期限延期や合意無き離脱の可能性で混乱しかねない。反対派の動向に関する続報が待たれるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月15日深夜の上昇で10月11日深夜高値を上抜いたため、10月16日朝時点では10月14日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日夜から18日深夜にかけての間への上昇を想定した。また108.50円を割り込んでも切り返す内は一段高余地ありとした。17日夕刻に108.93円まで高値を伸ばしてから失速して108.47円までいったん下げている。その後はしっかりしているが、前回サイクルトップから4日を経過しているので、17日夕高値を直近のサイクルトップと仮定する。17日夕高値を上抜き返すところからは新たな強気サイクル入りとして22日から24日夕にかけての間への上昇を想定するが、高値更新へ進めない内は一段安余地ありとし、108.47円割れからは18日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月17日夜の反落で遅行スパンが悪化した。先行スパン転落を回避しているが上抜き返せていない。108.75円超えからは先行スパンを上抜けてくるため上昇再開の可能性が高まるので17日夕高値試しとし、高値更新からは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。17日深夜安値108.47円割れからは先行スパン転落開始と下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試しとする。
60分足の相対力指数は11日深夜高値と16日未明高値との間では指数のピークがほぼフラットな弱気逆行気配となり、17日夕に若干高値を更新したところでは指数のピークが切り下がっているので二重の弱気逆行となっている。60ポイントを超えてくれば16日未明からの指数のピークを結ぶ抵抗線を突破してくるので上昇再開の可能性を優先するが、超えない内は一段安余地ありとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.47円を下値支持線、108.93円上値抵抗線とする。
(2)108.47円以上での推移中は108.93円超えから新たな強気サイクル入りの可能性があるとみる。108.75円超えからは高値試しとし、高値更新からは109円台序盤への上昇を想定する。109.25円以上は反落注意だが、強気材料を伴って急伸する場合は109.50円前後まで上値目処を引き上げる。また17日夕高値を超えた後も108.50円以上での推移なら週明けも高値を試しやすいとみる。
(3)108.47円割れからは一段安入りとして108.00円前後への下落を想定する。108円前後では押し目買いも入りやすいとみるが、売り材料を伴っての急落なら19日未明から週明け朝の下値目処を107.70円台まで引き下げる。また108.50円以下での推移なら週明けも続落しやすいとみる。
【当面の主な予定】
10/18(金)
11:00 (中) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 7.5%、予想 7.8%)
11:00 (中) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 4.4%、予想 5.0%)
11:00 (中) 7-9月期GDP 前期比 (前期 1.6%、予想 1.5%)
11:00 (中) 7-9月期GDP 前年同期比 (前期 6.2%、予想 6.1%)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調済 (7月 205億ユーロ)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調前 (7月 298億ユーロ)
22:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演
23:00 (米) 9月 景気先行指数 前月比 (8月 0.0%、予想 0.1%)
23:05 (米) ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、講演
23:30 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ライブストリーミング出演
24:30 (米) クラリダFRB副議長、講演
10/19(土)
英国下院のEU離脱案採決
オーダー/ポジション状況
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