ドル円 米中の対立構造が鮮明化、上値抑制要因に(10/9夕)

9日の東京市場は、ドル強含み。一時107円を割り込むなど下値を試す展開も見られたが、終盤買い進められると結局高値引けとなった。

ドル円 米中の対立構造が鮮明化、上値抑制要因に(10/9夕)

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9日の東京市場はドル強含み。一時107円を割り込むなど下値を試す展開も見られたが、終盤買い進められると結局高値引けとなった。

ドル/円は107.00-05円で寄り付いたのち、当初はドル売り先行。日経平均株価が前日比で200円を超える安値で寄り付いたことなどが嫌気されていたという。
ジリジリとした値動きながら107円割れ、106.00-95円まで値を崩すもドルは底堅く反発へ。すると、107円台を再び回復しただけでなく、終盤にかけて日中高値の107.20-25円を示現している。16時時点では、そのままドル高値圏107.15-20円で推移し、欧米時間を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「英国情勢」と「米中貿易協議」について。
前者は、英国のシンクタンクが「英は合意なし離脱で公的債務が1960年代以降で最高水準になる」といった発表を行い、物議を醸す。そうしたなか、ジョンソン英首相から「EU離脱合意は本質的に不可能」とした強硬発言が聞かれた反面、メルケル独首相は「EU首脳会議で英国と合意する可能性は圧倒的に小さい」とコメント。英国とEUとの亀裂が再確認された格好で、改めてポンドの弱材料に。

それに対して後者は、7日から「米中次官級貿易協議」がはじまり、10日からは「閣僚級協議」が予定されるなか、米国が中国によるウイグル族弾圧を理由に中国の監視カメラ大手などへの制裁を決定。これが新たな対立構造として警戒感を喚起した。実際、中国外務省は「内政干渉」と批判したうえで「断固たる反対」を表明、対決の姿勢を示している。また、それとは別にブルームバーグが報じた「トランプ政権は米国から中国への資本流入を制限することについて協議」との話も嫌気されていたようだ。

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ドルは昨日東京の107.45円を高値に、欧米時間には106.81円まで下落するも、下げ切れず。以降、本日東京も含めて107円挟みのレンジ取引となっている。明確な方向性はうかがえない。前述したように、今週末にかけて実施される米中貿易閣僚級協議について、かつての期待感は剥落しつつあるようだが、それでもドル売り・円買いは限定的で予想以上に底堅い状況だ。油断は禁物だが、このあとも107円挟んだレンジ取引が続く可能性は否定出来ない。

材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」のほか「トランプ氏のウクライナ疑惑」に対する関心も高い。それぞれに注意を払いたいが、とくに気掛かりなのは「米中情勢」。その中心は「米中貿易協議」ながら、先で取り上げた「ウイグル族弾圧」や「香港」、「台湾」についても双方の対立が目立っている。なお、後者である「香港」などをめぐる対立が、10-11日に実施される閣僚級協議に影響を及ぼす可能性も取り沙汰されており、最悪のケースとして協議そのものが中止されることを予想する声も聞かれていた。関連ニュースなどには本日も要注意だ。

テクニカルに見た場合、目先はドル高値を107円半ば、安値を106.80円レベルとした小さなレンジを形成しつつある感。つまり、しばらくのあいだ106.80-107.50円という1円にも満たないボックス相場をたどる可能性もある。まずは、その小レンジをめぐる攻防に注目だが、抜けても過去1ヵ月程度推移している106.50-108.50円という大きなレンジ内にはとどまりそう。明確な方向性が示されるのは、いま少し先かもしれない。

材料的に見た場合、幾つか米経済指標が発表される見込みだが、マーケットの関心はさほど高くなく、基本的にはノーインパクトか。ただ、米財務省による10年債の入札実施や、9月開催分のFOMC議事録要旨公開などには一応要注意。
また、本日も「パウエルFRB議長が金融政策再点検のためのイベントに出席」という発言機会が予定されている。昨日、パウエル氏は「好ましい経済見通しへのリスクがある」と述べ、追加利下げへ間接的に言及したが、さらに突っ込んだ発言があるのか否かに注目だ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.60-107.60円。ドル高・円安方向は、昨日NY高値にあたる107.30円レベルが最初の抵抗。上抜ければ直近だけで少なくとも2度トライし、いずれも抜けられなかった107円半ばがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日安値106.81円をめぐる攻防にまずは注視。割り込んだ場合には、最近のレンジ下限である106円半ばが再び意識されそうだが、それでもドルの下値は堅そう。

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