ドル円、米中0対立解消期待で急上昇。
海外時間の為替概況
29日の海外市場でドル円は急伸。@中国商務省による「米中両国はこれまで協議していた9月の交渉について話し合っている」との発言を契機に106円台を突破すると、Aトランプ米大統領による「米中対立解消に向けて、両国の通商交渉団が本日中に協議を行う予定」との発言や、B上記@Aを受けた「米中対立の解消期待→米株・米長期金利上昇→ドル買い」の流れ(※米ダウ平均株価は約2週間ぶり高値圏へと急反発、米10年債利回りも1.447%→1.533%まで急上昇)も支援材料となり、ドル円は、NY時間午後にかけて、約1週間ぶり高値となる106.68まで急伸しました。もっとも、先週末金曜日のジャクソンホール直前に付けた高値(106.75)や、一目均衡表基準線(106.89)をバックに戻り売り圧力が強まると、続伸は阻まれ、結局106.50近辺まで押し戻されてのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は大きく下落。@米中対立激化の解消期待を背景に対主要通貨でドル買いの動きが強まったことや、Aドイツ・8月消費者物価指数(結果1.4%、予想1.5%)が市場予想を下回ったこと、BラガルドIMF専務理事(次期ECB総裁)より「ECBの政策金利は下限に達していない」との発言が伝わったこと、C上記ABを受けて次回ECB理事会(9/12)での追加緩和観測が高まったことなどが重石となり、NY時間午後にかけて、約1ヶ月ぶり安値となる1.1042まで下げ幅を広げました。もっとも、年初来安値(1.1027)をバックに押し目買い圧力が強まると下げ渋り、結局1.1050台まで小反発してのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
米中対立激化の解消期待を背景に、ドル円は急伸し、ジャクソンホール後の急落の全値戻し(106.75→104.45→106.68)まであと一歩のところへ迫りました(残り7銭)。トレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを20営業日ぶりに上抜けするなど、テクニカル的に見て、「下落→中立」へのトレンド転換が意識されます。
とはいえ、ファンダメンタルズ的に見れば、@世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争(利下げドミノ)に波及するリスクや、A米中貿易摩擦を巡る不透明感、B米2年ー10年債利回りの逆転を受けたリセッション懸念の高まり、Cイランやトルコ、香港や朝鮮半島、インドやパキスタンを巡る地政学的リスク、D世界経済の不安定化(ドイツ経済のリセッションリスク)、E英国の合意なき離脱リスクの高まりなど、ネガティブ材料が山積みです。F追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の大幅(50bp)利下げを織り込む米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円の一方向の上昇も想定しづらい状況です。
本日は、米中通商協議を巡るヘッドラインに神経質に振らされる展開が予想されます。9/1からの関税発動を前に両国の溝が埋まらなければ、再びドル円が下落に転じるリスクも残されています。また、本日米国時間に発表される米・7月PCEデフレータや米・8月シカゴ購買部協会景気指数や、米・8月ミシガン大消費者信頼感指数が冴えない結果となれば、米長期金利低下→ドル売りの流れが再開する恐れもありそうです。事実、昨日発表された米・第2四半期コアPCE改定値(結果1.7%、予想1.8%)は予想外に下方修正され、9月利下げの可能性を高めるものとなりました。米利下げ観測を背景とした「米長期金利低下→ドル売り」の流れと、米中貿易摩擦の激化を背景とした「株安→円買い」の流れは続くと見られ、106円台後半での「上値追い」には注意が必要です。一巡後の反落リスクを警戒しつつ、106円台後半では「戻り売り」、107円乗せで「ストップバイ」といった戦略が予想されます。(本日の予想レンジ:106.00ー107.00)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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