ドル円見通し 8月26日朝への暴落分を4日かけてほぼ解消(8/30)

NYダウが大幅続伸、米長期債利回りも上昇したことでドル高感が強まり、30日未明には106.68円を付けて23日夜暴落前の水準手前に到達している。

ドル円見通し 8月26日朝への暴落分を4日かけてほぼ解消(8/30)

【概況】

8月23日夜の中国による米国への報復関税発動宣言、それに対する米国の対抗措置発表によりドル円は23日高値106.73円から26日朝安値104.45円まで急落して今年1月3日以来の104円台に突入、2018年3月26日安値104.63円も割り込んだが、G7参加中だったトランプ米大統領が中国との電話協議に言及したことで26日夜には106.37円まで切り返した。戻り一巡で小反落したものの、27日、28日は105円台後半を中心とした小動きでしっかりしていたが、29日は米中協議への期待感が増してNYダウが大幅続伸、米長期債利回りも上昇したことでドル高感が強まり、30日未明には106.68円を付けて23日夜暴落前の水準手前に到達している。
8月23日夜から26日朝にかけて、週をまたいだが正味半日で2.28円幅の暴落だったところ、丸4日間をかけてほぼ取り返した状況となっている。
29日夜には4−6月期の米実質GDP改定値の発表があり、前期比は速報の2.1%増から2.0%増へ小幅下方修正されたが市場の反応は限定的だった。

【米中双方の制裁関税発動開始迫る】

NYダウは28日に258.20ドル高と上昇したが、昨夜も前日比326.15ドル高と大幅続伸した。米10年債利回りも0.02%上昇の1.50%となった。株高と長期債利回り上昇の背景は米中協議への期待で、中国商務省報道官は29日に米中の閣僚級貿易協議について双方が話し合いによる調整を続けていると表明した。またトランプ大統領もインタビューに答えて「様々なレベルでの話し合いが今日予定されている」と述べた。
米通商代表部(USTR)は27日に対中制裁関税第4弾の税率を当初予定の10%から15%へ引き上げることを承認したものの、8月1日にトランプ大統領が言及した第1弾から第3弾までの発動済制裁関税の税率引き上げについては触れなかったため、米中協議再開へ向けて事前交渉のテーマとなっている可能性もある。

米国の対中制裁第4弾の官報による正式な通知は8月30日に行われる。トランプ大統領は上記インタビューのなかで共和党議員からの米中摩擦懸念について「中国に食い物にしてくれと言えというのか」と批判し、「第一の対抗手段は関税以外にない」、関税政策に「慣れるべきだ」と述べている。そのため強硬姿勢は変わらないと思われるが、株式市場への過度な悲観を生じさせないように進展期待をアピールするような動きをとる可能性もある。官報公布の前後で米政権側及び中国側からの発言等についても注意したいところだ。
NYダウは連騰したとはいえ8月1日から急落した後の26000ドルを挟んだ乱調な持ち合いの範囲にある。米10年債利回りもやや上昇したが、10年債と2年債の利回り逆転は4営業日にわたり続いている。10年債と3か月物財務省証券の利回り逆転も長期化しており、市場の不安心理が解消したとは言い難い。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは8月21日朝安値から3日目となる8月26日朝安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りした。高値形成期は23日夜高値を基準とすれば28日夜から30日夜にかけての間と想定されるが、週をまたいだ急落と反騰のため、当初のリバウンドが収まった28日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りの可能性も考えられる。このため、106円台を維持するうちは30日夜、さらに週明けへ続伸する可能性ありとするが、106円割れからは弱気サイクル入りと仮定して30日夜から9月2日午前にかけての間への下落を想定する。また2日午前を超えて続落する場合は28日夜安値を基準として9月2日夜から4日夜にかけての間へボトム形成期が延長される可能性も検討する。

60分足の一目均衡表では29日夜の上昇で遅行スパンは好転を維持、先行スパンを上抜いた状況も維持されているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、両スパンそろって悪化するところからは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は30日未明に70ポイント台後半へ上昇し、29日未明高値時よりも指数のピークを切り上げているので弱気逆行が発生していないので50ポイント以上での推移中はまだ高値更新余地が残るが、50ポイント割れから続落の場合は下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.25円を下値支持線、30日未明高値106.68円を上値抵抗線とする。
(2)106.25円以上での推移中は上昇余地ありとし、106.68円超えからは107円前後試しを想定する。107円以上は反落警戒とみるが、30日夜に米中問題関連で楽観的報道等があって株高と同調する円安が発生する場合は107.50円前後まで上値目途を引き上げる。
(3)106.25円割れを弱気転換注意とし、106円割れからは弱気サイクル入りと仮定して105.50円前後への下落を想定する。105.50円前後は買い戻されやすいとみるが、米中問題等で悲観的材料が出る場合は105円試しへ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

8/30(金)
休場、トルコ
10:30 (豪) 7月 住宅建設許可件数 前月比 (6月 -1.2%、予想 0.0%)
10:30 (豪) 7月 住宅建設許可件数 前年同月比 (6月 -25.6%、予想 -22.2%)
14:00 (日) 7月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (6月 0.3%、予想 -5.4%)
18:00 (欧) 7月 失業率 (6月 7.5%、予想 7.5%)
18:00 (欧) 8月 消費者物価指数 前年同月比 (7月 1.1%、予想 1.0%)
18:00 (欧) 8月 消費者物価コア指数 前年同月比 (7月 0.9%、予想 1.0%)

21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 7月 個人消費 前月比 (6月 0.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 1.4%、予想 1.4%)
21:30 (米) 7月 PCEコア・デフレーター 前月比 (6月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (6月 1.6%、予想 1.6%)
22:45 (米) 8月 シカゴ購買部協会景況指数 (7月 44.4、予想 48.0)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報 (速報 92.1、予想 92.4)

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