ドル円、米株・米長期金利の上昇を背景に再び106円乗せ
海外時間の為替概況
28日の海外市場でドル円は下落後に反発。@米中貿易摩擦を背景とした全般的なリスク回避ムードの高まりや、A英政権が英女王に議会の停会を要請する可能性があるとの一部報道を受けた英ポンド円の売り(=合意なき離脱リスクが高まるとの警戒感を背景に英ポンド円は130円前後から128.49まで急落)が重石となり、ドル円は一時105.65まで下げ幅を広げました。しかし、前日同様、一目均衡表転換線(105.60)付近で下げ渋ると、その後は、B米主要株価指数の堅調推移や、C米国債利回りの上昇、D米2年ー10年債利回りの逆イールドが縮小したこと等が支援材料となり、短期筋のストップを付けながら、一時106.22まで反発しました。もっとも、ボリンジャー・ミッドバンド(106.20)を前に戻り売り意欲も根強く、上値を一方的に追っていく動きには繋がらず。結局、106.05近辺まで押し戻されてのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は軟調な値動き。@次回ECB理事会(9/12)における追加緩和観測を背景に欧州債利回り低下→ユーロ売りの流れが強まったことや、A米長期金利の上昇を背景に対主要通貨でドル買いが進んだことなどが重石となり、ユーロドルは一時1.1073まで下げ幅を広げました。Bイタリアのマッタレッラ大統領がコンテ首相に新政権樹立をまとめるよう指示したことで、イタリアを巡る政局不安が幾分後退したものの、ユーロドルの戻りは鈍く、結局1.1080台でのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は6営業日(8/16ー8/22)に亘る膠着相場の後、8/23のジャクソンホール後に「保ち合い」→「下放れ」へのトレンド転換が実現しました。足元強烈に下げ過ぎた(106.75→104.45)反動から持ち直す動きが(104.47→106.32)が見られるものの、@短期トレンドラインの下方ブレイク(下のチャート赤線)や、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」、Bトレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを20営業日連続で下回っていることを考慮すれば、ドル円はテクニカル的に見て引き続き「ダウンサイド・リスク」が大きいと判断できます。もっとも、この2日間は再び膠着状態が強まりつつあり、下値では一目均衡表転換線が続落を阻み、上値ではボリンジャー・ミッドバンドが続伸を阻む動きが確認されます。どちらか一方に抜けるまではレンジ内での方向感に欠ける値動きが続きそうです。
ファンダメンタルズ的には、@世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争(利下げドミノ)に波及するリスクや、A米中貿易摩擦の激化(報復合戦の応酬)、B米2年ー10年債利回りの逆転を受けた米リセッション入り懸念の高まり、Cイランやトルコ、香港や朝鮮半島、インドやパキスタンを巡る地政学的リスク、D世界経済の不安定化(ドイツ経済のリセッションリスク)、E英国の合意なき離脱リスクの高まりなど、ネガティブ材料が山積みです。F追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の大幅(50bp)利下げが3割程度織り込まれている米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から「下落圧力」が加わり易い状況が続くと考えられます。Fトランプ米大統領による突発的な過激ツイート(FRBや中国に対する批判及びその他各国の通貨安批判など)もドル円の上値を阻む一因となりそうです。
本日は、米・第2四半期GDP改定値や、米新規失業保険申請件数、米・7月中古住宅販売成約指数など一連の米経済指標に注目が集まります。冴えない結果となれば、米長期金利低下→ドル売りの流れが再開する恐れもあるでしょう。また、米中貿易摩擦を巡るヘッドラインや、トランプ米大統領のツイート、中国当局の発言、昨日予想より人民元高方向に設定された中国人民銀行による対ドル基準値の発表(日本時間10:15)にも警戒が必要です。米利下げ観測を背景とした「米長期金利低下→ドル売り」の流れと、米中貿易摩擦の激化を背景とした「株安→円買い」の流れは当面続くと見られ、106円台での推移は長続きしないと考えられます。一巡後の反落リスクに警戒が必要です。(本日の予想レンジ:105.50ー106.50)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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