ドル円、ハト派的では無いFOMC議事要旨を受けて底堅く推移。
海外時間の為替概況
21日の海外市場でドル円はじりじり上昇。アジア時間に記録した安値106.28をボトムに切り返すと、@米長期金利の上昇や、A米・7月中古住宅販売件数(結果542万件、予想539万件)の良好な結果、Bトランプ米大統領による「米国は中国とおそらく合意するだろう」との前向きな発言、CFOMC議事要旨が予想ほどハト派的では無かったこと(※)等が支援材料となり、引けにかけて106.64まで上昇しました。もっとも、8/23に予定されているジャクソンホールでのパウエルFRB議長講演を前に手控えムードも根強く、上昇速度は緩やかなものに留まっております。
※FOMC議事要旨(7/30ー7/31開催分)では、「2人の参加者が50bpの利下げを主張した」ことが示されつつも、「今回の利下げを長期的な利下げサイクルの一環とは捉えていないこと」が改めて強調されました。予想ほどハト派的では無いFOMC議事要旨の結果を受け、9月FOMCでの大幅(50bp)利下げ観測は大きく後退。織り込み度合いも10%程度まで低下しております。
一方、ユーロドル相場は上値の重い展開。@フランス高官による「合意なき離脱が最も可能性のあるシナリオ」との発言を受けた英ポンドの急落がユーロ売りに波及したことや、A米経済指標の良好な結果、B米長期金利の上昇が重石となり、NY時間引けにかけて1.1081まで下げ幅を広げました。
ドル円のテクニカル分析
重要イベント(日米閣僚級通商協議、ジャクソンホール)を前に方向感を見出しづらい時間帯が続いておりますが、@ダブルトップからの下放れ(添付チャートの青線)や、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」、Bトレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを15営業日連続で下回っていることなどを考慮すれば、引き続き「下落リスク」が大きいと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争(利下げドミノ)に波及するリスクや、A米中貿易摩擦を巡る先行き不透明感、Bイランやトルコ、香港や朝鮮半島、インドやパキスタンを巡る地政学的リスクの高まり、C世界経済の不安定化、Dドイツ経済のマイナス成長(リセッションリスク)、Eアルゼンチンを巡る政局不透明感の高まりなど、ネガティブ材料は山積みです。F追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の追加利下げが意識される米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から下落圧力が加わり易い状況が続くと考えられます。トランプ米大統領による連日のFRB批判もドル円の上値余地を阻む一因となりそうです。
本日は、昨日より米ワシントンで開催されている日米閣僚級通商協議の行方に注目が集まります。日米貿易不均衡是正を巡り、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表より大幅な譲歩を迫られたり、為替条項が盛り込まれるリスクが警戒されます(=円高要因)。本日は、米中貿易摩擦に絡む続報や、トランプ米大統領のツイート、米株や米長期金利の動き、日米通商協議に関連するヘッドラインを睨みながらも、ドル円の反落リスクに警戒が必要でしょう。(予想レンジ:106.20ー107.00)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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