<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円は、ドルが小じっかり。週のザラ場ベースでは一時直近安値を更新するも続かず。週末にかけてドルは底堅く推移している。
前週末の土曜日早朝、北朝鮮がここ2週間でトータル5度目となる「飛翔体を発射」したことに加え、トランプ米大統領による「9月の米中貿易協議開催は不透明」との発言を受けた米中貿易協議への不透明感が指摘されるなか、週明けの為替市場は寄り付いた。
週末のニュースなどを受けて、ドル/円は先週末のNYクローズよりもやや円高である105.45-50円でオープンしたのち、週間安値である105.05円を記録したものの、105円は割れず。その後しばらくは105.00-70円といったレンジ取引をたどるも、上抜けるとストップロスを巻き込みつつ107円手前まで、ドルは1円を大きく超える急騰をみせた。
106円台を中心になかなか激しい上下動が続き、値動きは落ち着かなかったが、それでもドルは底堅い。週末NYも106.35円前後で取引を終え、越週している。
一方、週間を通した材料は、「米中貿易戦争」関連について。
先で指摘した週末のトランプ発言を受けて、先行きへの懸念がくすぶるなか、日本時間の13日夜中に突然、米USTRが「中国輸入品に対する10%の追加関税の対象品の一部を除外」と指摘したうえで、「関税発動を12月15日まで先送りする」とのコメントを発表。米中貿易戦争への懸念が一気に後退した。ただ、楽観ムード一辺倒に傾斜することもなかなかなく、実際週末にかけてはトランプ氏から「中国の出方次第で究極の報復を行う」、「通商合意は米側有利の条件でなければならない」−−などといった新たな懸念発言が複数聞かれている。
そのほか単発モノとして、「根強い北朝鮮情勢」が話題に。先で取り上げたように北朝鮮は前週末土曜日10日に2発の飛翔体を発射したとされるが、それに続き週末16日にもやはり「2発の飛翔体発射」が確認されている。また、米中貿易問題は小康状態に入った感があるなか、「香港情勢」が両国の火花を散らしていたようだ。たとえば、トランプ氏が「香港を人道的に扱うべき」と発言したことに対し、中国サイドが「内政干渉だ」と強く反発するなど、新たな火種になりつつある感を否めない。
<< 今週の見通し >>
先週は週間を通して日本が、いわゆる「盆休み」だったこともあってか、「薄商い=荒れ模様」という構図が目についた。その典型事例は、米USTRによる突然の発表で不意を突かれた13日夜中の展開。わずか30分足らずで1円を超える急騰をたどっていたほか、15日の夕方にも、やはり数十分間で70-80銭ドルが急伸している。
今週、日本は「盆休み」明けで参加者の多くは取引に戻ってきそうだが、問題は海外勢。引き続きサマーバカンスをとっているという向きも少なくないだけに、流動性のとぼしい間隙を突く格好で荒い展開をたどる危険性も残りそうだ。思わぬ価格変動には、今週も一応要注意。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米金融政策」などが依然として注視されている。そのいずれも大事なのだが、とくにとなると「米中情勢不安」だろうか。両国の関係は、単なる貿易問題に通貨問題が加わった「貿易通貨問題」が懸念されているだけでなく、「香港情勢」も新たな対立軸として浮上してきた。トランプ氏や習中国国家主席など双方の出方、強硬姿勢によっては、今週も相場の波乱要因となりかねないかもしれない。
テクニカルに見た場合、ドルの下値不安が完全に払拭されたわけではないが、105円割れが取り敢えず失敗に終わった感はある。一方で、106円後半から107円で目先の天井を確認した感もあり、先週半ば以降形成している105.60-107.00円がなかなか居心地の良い水準か。目先は同レンジのなかでの一進一退を続ける可能性もある。
ただ、レンジの下限を割り込めば再び105円割れトライが見込まれる反面、上放れればまずは107.20円、そして107.70円などがターゲットとなりそうだ。
一方、材料的に見た場合、8月のカンザスシティ連銀製造業活動指数など幾つかの米経済指標が発表される予定となっており、そちらはまず要注意。先週は、木曜日15日に発表された米経済指標がこぞって良好な内容でドルの支援要因となったが、週末16日に発表された8月ミシガン大学消費者信頼感指数は大幅な悪化で失望を誘っている。今週発表される米指標は果たしてどんな内容となるのだろうか?
そのほかでは、21日に予定されている「7月末FOMC議事録」発表や、23日の「FRB議長講演」、21-22日に実施予定の「日米貿易交渉閣僚級協議」なども気掛かりだ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、105.00-107.50円。ドル高・円安については、まずは先週15日高値の106.78円の攻防に注目で、抜ければ107円レベルそして107.20円、107.70円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、目先レンジの下限にあたる105.60-70円が最初のサポート。割り込むと、再び105円割れトライの展開をたどる可能性もある。
ドル円週足
オーダー/ポジション状況
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