<< 東京市場の動き >>
9日の東京市場は、ドルが小じっかり。値幅こそ30ポイントにも届かなかったが、前日は面合わせしただけの6月高値108.80円を一時更新する局面も観測されている。
ドル円は108.65-70円で寄り付いたのち、ドル高・円安が進行すると、6月高値を超えて108.90円レベルまで値を上げた。しかし、勢いは続かず小緩むと、再び108.70円近くまで下落している。その後は108円後半での揉み合いをたどり、16時時点では108.80円前後で推移、欧米時間を迎えていた。
なお、値幅そのものはさほど大きくなかったが、ポンドが対円やドルで弱含み。とくに夕方にかけて下げが目につく展開で、ポンド/ドルは先週末に記録した直近の戻り安値1.2480ドルをうかがう様相に。
一方、材料的に注視されていたものは、「イラン情勢」について。
イランが先に宣言した「ウラン濃縮の上限超過」について、合意順守の監視を担うIAEAが正式に確認した。「核合意で定められた濃縮度の上限3.67%を超過した」と明らかにするなか、国連事務総長「イランは合意順守を」、「仏政府が高官をイラン派遣へ、核合意維持へ自制要求」、「米副大統領、軍事対応示唆しイランに警告」−−など様々な反応が観測されている。なお、そうしたなか当のイランサイドから「ウラン濃縮、20%まで引き上げも」といった、米欧を煽るようなコメントもあったようだ。
そのほか単発モノとして、クーレECB理事「金融緩和はかつてないほど必要とされている」、ロイター「英労組の幹部ら、EU離脱めぐり2度目の国民投票を支持」、世耕経産相「対韓輸出規制、撤回協議に応じない」、「北担当の韓国高官、米朝交渉の今月中旬再開に期待」−−とする発言や報道が観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドルはジリジリとした動きのなか、本日東京時間には108.90円レベルまで値を上げてきた。6月高値108.80円を超えてきたことで、109円台乗せも視界内に捉えられたと言えそうだ。ちなみに、フィボナッチの観点で見た場合、年初来高値112.40円を起点とした下げ幅の38.2%戻しは108.95円レベル、半値戻しは109.60円レベルとなる。うち38.2%戻しは前述した本日東京高値に近く、かなり重要なテクニカルポイント。まずは、その攻防が注視されている。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米利下げ観測」など継続案件は依然として多いものの、短期的には「イラン情勢」ならびに「米利下げ観測」への関心が高い。前者ももちろん気掛かりだが、市場はここまであまり材料視している感をうかがえないうえ、後者の「米利下げ観測」についても、良好な米雇用統計を受けた「7月の米利下げ後退観測」ばかりが先走りしているように感じている。パウエルFRB議長を中心とした米通貨当局者の見解・コメントを聞いてみたいところで、そうした意味では本日以降、講演などの発言機会が増えてくることには要注意。内容によっては、相場がいよいよ荒っぽい変動をたどることになるかもしれない。
テクニカルに見た場合、ジリジリとしたドル高が進行するなか、目先の抵抗を次々突破、109円台乗せをうかがう様相を呈している。リスクという点ではドル高にバイアスで、本日東京高値に近い108.95円レベルを超えたら109円台乗せ、少し遠いが久しぶりに一目均衡表の先行帯の雲の下限(109.40-45円)が視界内に捉えられそうだ。
それに対するドルの最初のサポートは、これまでドルの対抗だった移動平均の25日線や一目の転換線などが位置する108.20-30円となる。
一方、材料的に見た場合、注目の米経済指標は5月の雇用動態調査ぐらいだが、本日は米通貨当局者による発言機会が多い。一例を挙げると、「パウエルFRB議長が衛星を通じて会合での開会の辞」、「クオールズFRB副議長の講演」、「ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演」などとなる。良好な米雇用統計を受けたあとだけに、7月利下げの有無はもちろん、その後の利下げに対してどんな見解を示すのか、注視している参加者は少なくない。
そんな本日欧米時間のドル円予想レンジは、108.30-109.30円。ドル高・円安方向は、本日東京高値を含めた109円手前が最初の抵抗。しっかり抜ければ一目の雲の下限やフィボナッチポイントが位置する109円半ばがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、108.50-60円に弱いサポートがあるほか、その少し下のレベル108.20-30円には移動平均の25日線などが位置している。ただ、107円台はやや遠くなってしまった感がある。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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