ドル円、議会証言を前にドル高地合い継続。
海外時間の為替概況
9日の海外市場でドル円は続伸。パウエルFRB議長による議会証言を前に、「過度に織り込まれた米大幅利下げ観測の後退→米長期金利上昇→ドル高」の流れが継続し、欧州時間序盤にかけては、5/31以来、約1ヶ月半ぶり高値となる108.96まで急伸しました。もっとも、心理的節目109円を前に続伸が阻まれると、ドル円はひとまず反落。一時108.74まで下げ幅を広げる場面も見られました。しかし、ライトハイザーUSTR代表とムニューシン米財務長官が中国の劉鶴副首相と協議したことが明らかになると、米中協議再開への期待感から、ドル円は再び持ち直す展開に。高値圏でもみ合った後、結局108.85近辺でのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は上値の重い展開。米雇用統計後のドル高の流れや、クーレECB専務理事による追加緩和を示唆する発言が重石となった格好。欧州時間序盤にかけては、約3週間ぶり安値となる1.1194まで下げ幅を広げるなど、心理的節目1.12割れが実現しました。もっとも、一目均衡表雲下限(1.1192)を前に下げ渋ると、NY時間午後にかけては再び反発。結局、1.1205前後でのクローズとなりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、米雇用統計後の急伸を経て、一目均衡表遅行線のローソク足接触、一目均衡表転換線の基準線上抜けが実現しました。結果として、強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転が終了し、テクニカル的に見て、「下落」→「中立」へのトレンド転換が意識されます。本日より始まるパウエルFRB議長の議会証言の結果次第では、更なる続伸もあり得ることから、短期的にはドル円の「上昇リスク」に警戒が必要でしょう。
もっとも、世界的な貿易戦争リスクや、世界経済を巡る先行き不透明感、英国情勢の不安定化、イタリア財政悪化問題、米独関係悪化懸念、イランを巡る地政学的リスク、日本とその他各国との金融政策格差の縮小(欧米をはじめ主要中銀がハト派化に方針転換する一方、副作用を警戒して日銀は次の一手に踏み込めない状況)などファンダメンタルズ的な弱さを考慮すれば、一方向の上昇も想定できません。一目均衡表雲下限が位置する109円台前半はレジスタンスとしてドル円の行く手を阻みそうです。尚、本日のアジア時間は、議会証言を前に手控えムードが広がると見られ、中国の物価指標などを睨みながらも、方向感を見出しづらい時間帯が続くと予想いたします。(予想レンジ:108.30ー109.30)
ドル円
オーダー/ポジション状況
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