ドル円FX予想と振り返り「上値も限界的、下降トレンドに回帰しやすい」(週報7月第1週)

先週のドル円はG20サミットにおける米中首脳会談に向けて期待半分警戒半分といったイベント前のポジション調整

ドル円FX予想と振り返り「上値も限界的、下降トレンドに回帰しやすい」(週報7月第1週)

今週の週間見通し

先週のドル円はG20サミットにおける米中首脳会談に向けて期待半分警戒半分といったイベント前のポジション調整、そして米国とイランとの緊張の高まりから地政学的リスクを考えた円買いが先行し、火曜には一時106円台後半へと1月初め以来の水準を見ることとなりました。しかし、パウエルFRB議長をはじめFRB関係者のタカ派的なコメントが相次ぎ、長期金利の上昇をきっかけに売り手もまたイベント前にポジションを切らされる格好となり、週後半は期待の方がやや強く底堅い地合いでの週末クローズとなりました。

G20サミット自体は米中双方の立場を尊重するという自由貿易に関する部分では何ら実効性のない声明が出ましたが、土曜の米中首脳会談では通商協議再開と、とりあえず両者がテーブルに戻った意義は大きかったと言えるでしょう。第4弾の制裁関税は期限を定めず延期、ファーウエイへの禁輸措置も解除と今回はどう見ても中国側に有利で米国の大幅譲歩に思えます。今後の具体的な協議を待つ必要はあるものの米国としても自国消費者に反感を与える第4弾制裁は避け、落としどころを見つけることで年後半の悪影響を経済的にも政治的にも最小化したいというところだったと思います。

さらにはそれを埋め合わせる意味もありそうですが、突然の米朝首脳会談も板門店で行われ、米国大統領として66年ぶりに北朝鮮入りと、こちらも両国がテーブルに戻ることとなりました。こんな大イベントがtwitterで起こるわけもなく事前準備はしっかりと行われていたはずですが、こちらについても実績より政治的なパフォーマンスの面が強かったようです。核廃棄協議は今後、しかもこちらも米国側が譲歩したようなイメージが強いですが、今回は北朝鮮側に花を持たせたというところでしょうか。

これら2つのイベントは、実質的にはどちらも今後の協議が必要かつまとまる保証も無いのですが、昨年からの中国発の景気減速懸念がこれ以上広がらないということを示した意義はある程度あり、これまでの米中間の緊張緩和につながったことは事実です。ただ、週明けの金融市場の動きを見ていると、円相場は30銭程度のギャップアップ、その後一度は週末からの上げ幅を60銭程度に広げましたが、仲値以降はその部分を失っています。つまり、これ以上の悪化は当面無くなった、ということのリスクオンは30銭程度に留まったと見る方がよさそうです。

今後、具体的に米中間の閣僚級協議の中でどの程度、現実的な合意へと持って行けるのか、最終結果を見るまで為替市場はトランプ大統領の発言を信じなくなってきているというところです。また、平行して、日米、米欧との協議も続きますので、米国の不均衡是正についてはまだまだ不安材料が残っているということです。

テクニカルには今後どうか、日足チャートを見てみましょう。

チャートに示されている要素自体には変化ありませんが、金曜まではきれいに収まっていた下降チャンネル(青の平行線)を、週初にギャップアップしてトライしていることがわかります。これもローソク足の上ヒゲだけのトライで終わってしまう可能性もありますが、まだ週明け午前であるため、抜けたとしてどの程度まで上がる可能性があるのかを考える方が自然です。そこで、この下降チャンネルにおける高値と安値に注目します。

112.40から106.78までの下げになりますが、この下げに対する38.2%戻しが108.93、6月高値が108.80、チャンネル下側のラインの起点となっている5月13日安値が109.02と、109円前後はそれなりに重要なポイントが集まっています。また、今週暫定的に引いた下降チャンネル(ピンク)がありますが、これは定石では考えない右肩下がりの安値を結んだラインとそれに引いた平行線とのチャンネルです。このチャンネル上限は本日現在109.00レベルを下降中です。

つまり上側は108円台後半は今週のところは上値が重たくなりやすく、いつもの107円台半ばに戻ってしまう可能性が高いのではないか、そのように感じられるチャートとなっています。ご祝儀的なリスクオンが終わり、現実に目を向けるとやはり上値は重たかった。そのような週を想定し、107.30レベルをサポートに108.80レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

7月1日(月)
08:50 本邦4〜6月期日銀短観
10:45 中国6月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ6月製造業PMI
16:50 フランス6月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ6月製造業PMI改定値
16:55 ドイツ6月失業率
17:00 ユーロ圏6月製造業PMI改定値
17:30 英国6月製造業PMI
18:00 ユーロ圏5月失業率
22:45 米国6月製造業PMI改定値
23:00 米国6月ISM製造業景況指数
23:00 米国5月建設支出

7月2日(火)
07:45 NZ5月建設許可件数
13:30 豪中銀政策金利発表
15:00 ドイツ5月小売売上高
17:30 英国6月建設業PMI
18:00 ユーロ圏5月PPI

7月3日(水)
10:30 豪州5月貿易収支
10:30 豪州5月住宅建設許可件数
10:45 中国6月MarkItサービス業PMI
16:00 トルコ6月CPI
16:50 フランス6月サービス業PMI改定値
16:55 ドイツ6月サービス業PMI改定値
17:00 ユーロ圏6月サービス業PMI改定値
17:30 英国6月サービス業PMI
20:30 米国6月チャレンジャー人員削減予定数
21:15 米国6月ADP全国雇用者数
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国5月貿易収支
22:45 米国6月サービス業PMI改定値
23:00 米国6月ISM非製造業景況指数
23:00 米国5月製造業新規受注
23:30 週間原油在庫統計

7月4日(木)
米国市場休場
10:30 豪州5月小売売上高
18:00 ユーロ圏5月小売売上高

7月5日(金)
15:00 ドイツ5月製造業新規受注
15:45 フランス5月貿易収支
21:30 米国6月雇用統計

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

6月24日(月)
ドル円は全く動きが見られないこう着状態が続き、いつ見ても107.35レベルといった状況でした。週末のレンジも27銭とまりでしたし、円高トレンドの後の小休止という段階にあるようでした。週末のG20サミットまでは様子見の流れが強まりそうではあるものの、円高トレンドにあるという地合い自体には変化は無いようでした。


6月25日(火)
東京市場では米国とイランの対立による地政学的リスクから円買いが先行、後場には一時106.78レベルと1月3日のフラッシュ・クラッシュ以来のドル安値をつけることとなりました。その後はスピードがやや速すぎることから買い戻しも入り107円を挟んでNY市場入り。パウエルFRB議長がややタカ派な発言をしたことから株売りドル買いの動きも見られましたが、107円台前半で上値も重たいままでの引けとなりました。

6月26日(水)
東京市場では前日再び2%を割り込んでいた米金利が上昇したことをきっかけにドル買いが先行、欧州市場ではムニューシン財務長官が米中協議は90%のところという発言を受け株高からリスクオン、NY市場でも米金利が一段高となったことを受け、107.85レベルまで上昇後に高値圏での引けとなりました。

6月27日(木)
ドル円は東京市場の昼前にG20で米中貿易戦争を休戦といった記事に反応してリスクオンから株高・円安の動きとなり108円台乗せとなりましたが、実際にはG20と米中首脳会談の結果を見ないとわからないこと、また海外市場では同記事に対して中国が慎重なコメントをしたことも重なり、NY市場では東京朝方の水準へと押して行って来いでG20待ちの引けとなりました。


6月28日(金)
東京市場のドル円は殆ど動かず、G20の結果と翌日の米中首脳会談を前にして積極的な動きは見られませんでした。ただ海外市場に移ってからは米中間で何らかの合意が得られるとの期待も大きく、ドルは株価とともにやや底堅い展開を示しました。

ディスクレーマー

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