先週は1月3日以来の急落、ドルに続落懸念(週報6月第1週)

先週までドル円は、2週続けての週足陰線。週末には1月15日以来となる108円前半まで値を下げ、そのままドルの安値圏で越週している。

先週は1月3日以来の急落、ドルに続落懸念(週報6月第1週)

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先週までドル円は、2週続けての週足陰線。週末には1月15日以来となる108円前半まで値を下げ、そのままドルの安値圏で越週している。

前週末には、トランプ米大統領から「日米貿易交渉は7月参院選後まで待つ」旨の発言が聞かれたうえ、26日まで実施されていた欧州議会選の結果として「ブレグジット党は英国で29議席獲得する見通し」、「フランスは右翼政党が与党に競り勝つ見通し」−−などと速報ベースで伝えられるなか、週明けの為替市場で取引が始まった。

ドル円は109.25-30円と、前週末のNYクローズと大差ない水準で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。週の半ば程度まで109.10-60円といった50ポイントレンジ。そののち米債入札を受けた米金利の上昇もあり、一時レンジを上抜け、109.93円の週間高値を付けるも買いは続かず。週末には再びドル売り・円買いが優勢になると、なし崩し的に108円台まで下落。結局、108.30円まで値を下げ、週末NYはそのままドル最安値圏で越週となった。
なお、仮想通貨ビットコインは、先週も週間を通して荒れ模様。大雑把に言って、週明け早々に8000ドル台から8500ドル台へ急騰、その後9000ドル台まで続伸するも、一転して8100ドル台へ。しかし、週末には8500ドル台へ戻すというかなりの乱高下、2週続けてのジェットコースター相場だった。

一方、週間を通して注目された材料は、「米貿易問題」について。
日米については、25日に来日したトランプ氏から「日米貿易、もう少し公平にしたい」との発言が聞かれ、一時疑心暗鬼に駆られるも、以降は厳しい発言が総じて見送られる格好に。日米首脳会談と絡めたなかでも、「日米貿易交渉は7月参院選後まで待つ」、「8月に日本と貿易に関して何か発表するだろう」といったコメントを発したにとどまった。それに対して、米中は、ファーウェイをめぐる小競り合いが続くなか、環球時報による「中国はレアアースの対米輸出制限を検討」との報道がキッカケとなり、貿易問題の対立懸念が再燃した。

そうしたなか、週末にノーマークだったメキシコについて、米国から突然「危機継続なら対メキシコ関税を10月1日までに25%に引き上げ」との報道が伝えられている。
そのほか単発モノとして、米特別検察官「ロシア疑惑でトランプ氏の潔白を確信できず」、イラン大統領「制裁解除が対米交渉の条件」、共同通信「日本政府が北朝鮮当局者に首脳会談打診へ」、朝鮮日報「北朝鮮、米朝会談決裂後に金革哲氏らを処刑」、「改正資金決済法成立、仮想通貨は今後『暗号資産』に」−−などといった発言やニュースが報じられていた。

<< 今週の見通し >>

先週末5月31日は一日でドルは1円を超える下落となった。調べてみると、一日に1円以上動いたのは3月22日以来、ドルが1円以上値を下げたのは、あの1月3日以来のことになる。したがって、テクニカルをみるまでもなく、形成していたレンジを下放れたこともあり、ドルの続落が期待されるところで、そのターゲットは先週安値に近い108.25円。これは、年初来安値104.10円を起点とした上げ幅の半値戻しに合致する。抜ければ、107円台突入も。やや気掛かりなのは、先で指摘したように、先週末の急落が半年に一回程度みられるもので、いわゆるセリング・クライマックス、「アク抜け」をしてしまった可能性だ。その場合には、逆にドルがじりじりと買い進まれる可能性もあるだろう。

材料的に見た場合、「北朝鮮」や「イラン」、「米貿易問題」、「英国情勢」などが継続案件として引き続き注目されそうだ。なかでも、米貿易問題については、互いに一歩も引かない米中の鍔迫り合いが一層激しくなるなか、「米による対メキシコ関税」という要因が加わり、情勢は混とんとしてきた。米トランプ政権内の閣僚や、トランプ氏と同じ共和党幹部から反対の声が聞かれることから、撤回や修正に動く可能性も取り沙汰されており、そのあたりが今週の市場動意のカギを握るとみる市場参加者の声も聞かれている。

テクニカルに見た場合、先週末のNYでドルは大きく続落するも、下値は107.30円前後まで。これは、フィボナッチサポートの108.25円に極めて近いレベルで、下げ止まったことになる。リスクはドル安方向に高いと思われることから、まずは同レベルの攻防に要注意。下回れば、年初来安値104.10円を起点とした大きな上げ幅のフィボナッチ61.8%戻し107.25-30円などとなるだろう。
逆にドルの戻りのメドは109円前後、日足・一目均衡表の転換線が週初めに位置する109円半ばなどか。

一方、材料的に見た場合、週末に予定されている5月の米雇用統計を中心に、重要な米経済指標が発表される予定となっているほか、週明けから米地区連銀総裁などによる講演が多く、発せられる要人発言にも要注意だ。指標や発言内容にもよるが、米金利上昇につながるようなものがでれば、一転して先週木曜日のようなドル買い・円売りに振れることも。
そのほか、「トランプ米大統領の訪英」など気になる政治要因も週間を通して少なくなく、注意を払いたい。

そんな今週のドル円予想レンジは、107.20-109.50円。ドル高・円安については、これまでドルの下支えに寄与していた109円レベルが今度は抵抗に。抜けると、109円半ばや週明けには110.10円レベルに位置し、毎日10ポイント程度切り下がってくる移動平均の25日線がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値に近い108.25円をめぐる攻防にまず注視。割り込むと、フィボナッチサポートの107.25-30円が意識されそうだ。

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