前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 111.45 111.88 106.28 106.34
ユーロ円 125.18 126.33 121.68 121.75
ユーロドル 1.1231 1.1460 1.1223 1.1451
日経平均 17613.56 17613.56 16652.74 16666.05
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
4月25日(月)
ドル円は金曜の急激な動きに対する調整から早朝にドル売りが先行、株式市場が始まると上値の重たい展開となったことも重なり、終日111円台前半の狭いレンジでの取引に終始しました。FOMC、日銀金融政策決定会合を前にして木曜昼過ぎの日銀結果発表までは動きにくいと考える参加者がほとんど。ユーロドルも金曜の下げに対する調整から買い戻しが目立ち2日かけての行って来いとなりました。
4月26日(火)
ドル円は株価の動きに追随する一日となり、東京市場では続落する日経平均株価を見ながら円高の動きとなり、後場には110.67レベルまでじり安となりました。海外市場に移ってからは225先物が夜間市場で上昇する動きとなり、111.47レベルまで値を戻し若干押してのクローズ。いっぽうユーロドルは、東京市場では全く動かず、欧州市場以降強いポンドの動きを追いながらじり高となり、NY市場で発表された米国経済指標も弱かったことから1.1340レベルまで上昇、しかし後が続かず1.13を割れての引けとなりました。
4月27日(水)
ドル円はイベントを前に111円台前半のもみあいを継続してFOMCを迎えました。結果は現状維持と予想通りであったものの、声明文で海外リスクに関する項目が削除されたことからドル買いで反応し、一時111.75レベルの高値を付けました。しかし、その他の部分は強弱ミックス、明確な6月利上げを示すものでも無かったことから、日銀会合を前に小緩んでのクローズとなりました。いっぽうユーロドルもFOMCまでは前日の流れを受け比較的底堅い展開をしていましたが、声明発表後に1.1272から1.1361と短時間での振れを見せ、その後は1.13台前半での引けとなりました。
4月28日(木)
日銀金融政策決定会合は、現状維持と事前に広がった追加緩和思惑(元々通信社による観測記事が市場参加者に事実であるかのように捻じ曲げられた印象が強い)が否定されたことで、一気に円高へと揺り戻しの動きとなりました。午前中には111.88レベルと直近高値を更新する動きとなっていましたが、108円台へと一気に3円も円高となり、海外市場でも更に1円円高の107.87レベルを付け、円独歩高の展開となりました。
4月29日(金)
東京市場が休場で参加者が少ない中、ドル円に加えユーロドルもドル安の流れとなったことから、円高がさらに進行し、米国の為替報告書で日本が監視リストに加わったことも重なり、NY市場では106.28レベルへと2014年10月以来の水準へと円高が進みました。週末には麻生財務相が介入も辞さないとの発言が伝わりましたが、円高トレンドの再開で市場参加者は更なる円高を見込んでの週末クローズとなりました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
5月2日(月)
**:** 香港、中国、LDN市場休場
08:15 NY連銀総裁講演
10:30 豪州4月NAB企業信頼感
16:50 フランス4月製造業PMI確報値
16:55 ドイツ4月製造業PMI確報値
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI確報値
18:30 ドイツ連銀総裁講演
21:50 (アトランタ連銀総裁挨拶)
22:45 米国4月MarkIt製造業PMI確報値
23:00 米国4月ISM製造業景況指数
23:00 米国3月建設支出
23:00 ドラギECB総裁講演
25:30 スイス中銀総裁講演
26:00 ラウテンシュレーガーECB理事講演
5月3日(火)
**:** 東京市場休場(〜5日)
06:30 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
10:45 中国4月MarkIt製造業PMI
13:30 豪中銀政策金利発表
16:00 トルコ4月CPI
17:30 英国4月製造業PMI
18:00 ユーロ圏3月PPI
23:00 米国5月IBD景気楽観度指数
23:30 クリーブランド連銀総裁講演
00:30 安倍首相・EU大統領共同記者会見
5月4日(水)
07:45 NZ1〜3月失業率
08:00 (アトランタ連銀総裁講演)
16:50 フランス4月サービス業PMI確報値
16:55 ドイツ4月サービス業PMI確報値
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI確報値
17:30 英国4月建設業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
19:15 ドイツ連銀総裁講演
21:15 米国4月ADP全国雇用者数
21:30 米国1〜3月期単位労働コスト速報値
21:30 米国3月貿易収支
22:45 米国4月MarkItサービス業PMI確報値
23:00 米国4月ISM非製造業景況指数
23:00 米国3月製造業受注指数
23:30 米国週間原油在庫発表
5月5日(木)
**:** チューリッヒ市場休場
07:30 (ミネアポリス連銀総裁講演)
10:30 豪州3月小売売上高
10:30 豪州3月貿易収支
10:45 中国4月MarkItサービス業PMI
17:00 ECB月報
17:30 英国4月サービス業PMI
20:30 米国4月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国新規失業保険申請件数
24:30 セントルイス連銀総裁講演
5月6日(金)
08:15 アトランタ、サンフランシスコ、セントルイス、ダラス連銀総裁による討論会
10:30 豪中銀四半期金融政策報告
21:30 米国4月雇用統計
28:00 米国3月消費者信用残高
5月8日(日)
**:** 中国4月貿易収支
今週の週間見通し
大変な値動きの1週間となりました。先週月曜のトルコリラ円コメント(FX羅針盤)に書いたことですが、前週金曜に唐突に飛び出した「貸出に対してもマイナス金利の適用を検討」という記事は、キャッチーな記事タイトルではあるものの、内容的には市場参加者の見方という面が強いものでした。また、英語のタイトルも日銀から出た話と混同させるような、市場参加者のかく乱を狙ったと思えるものとなっていました。
各通信社のニュースデスクは、速報性と注目度を競う傾向があり、こうした記事の発信自体は仕方がないとは言うものの、今回はそれに対して市場参加者が蓋を開ける前に飛びつき過ぎてやけどしたといったところかと思います。
マイナス金利の導入自体、いまだ評価が2分している状態で、貸出にまでマイナス金利を適用となると、十分以上の検討と議論が必要と考えられ、1月のマイナス金利導入からまだ3か月しか経過していない段階では、可能性のひとつとしてテーマに出るかどうか、というあたりがせいぜいではないでしょうか。
さて、結局は日銀現状維持との発表から2日間で5円60銭もの円高を招き、麻生財務相は介入も辞さないと言っている中、市場参加者は105円台前半をターゲットとする動きとなっています。この105円台前半という水準は、2015年に1年かけて形成したトップフォーメーションのネックラインから計算されるターゲットであると同時に、2014年10月の黒田バズーカ第2弾前の安値(105.20レベル)と重なる水準でもあります。
115円を割り込んだ段階で、長期的なターゲットとして105円台前半を考える参加者は多かったものの、ここまで短期間に近づいてくるとは、その時には誰も考えていなかったに違いありません。今週の日足チャートには105.20にピンクの水平線を引いてありますが、直近の逆N波動として、3月29日高値113.80を起点に、4月11日安値107.64までの下げ、そして日銀会合前の高値111.88からフィボナッチエクスパンションを計算すると100%が105.76となります。
なお、29日に米国の為替報告書が発表され、監視リストに日本が入っているということが話題となりましたが、この為替報告書も先々週のマイナス金利拡大記事同様に、きちんと読まなくてはいけません。監視リストには、日本、中国、ドイツ、韓国、台湾の5カ国がリストアップされていましたが、その基準には貿易黒字基準、経常収支基準、為替介入基準の3つがあり、日本は為替介入基準には抵触していません。
つまり以前あった為替操作国とは意味合いが異なり、あくまでも潜在的に米国の赤字を拡大させる可能性がある国というリストです。そうした点では、麻生財務相の為替報告書に円売り介入は縛られないといった発言はあながち間違っているとは言えないでしょう。ただ今月は日本が議長国となる志摩サミットが開催されることもあり、それを控えての介入は、一気に100円の大台を割り込むといった余程のことが無い限り、今は難しいというところだと思います。
さて、今週は東京市場がGWで3〜5日と3連休になることに加え、連休明け6日金曜には米国雇用統計もあり、果たして105.20〜105.76というターゲット水準に達するかどうかを見守る週となりそうです。今週のドル円は、105.50レベルをサポートに、108.00レベルをレジスタンスとする見通しとしておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
ディスクレーマー
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