ドル円 上昇リスク高いが、調整の動きにも要注意(12/20夕)

東京市場はドルが弱含み。本邦要人からの口先介入もあり、円の買い戻しが優勢だった。

ドル円 上昇リスク高いが、調整の動きにも要注意(12/20夕)

上昇リスク高いが、調整の動きにも要注意

〇本日のドル円、158円まで上昇後、加藤財務相らの円安けん制発言を受け157円を割り込みむ
〇基本的なリスクはドル高だが、短期的には調整的な下押しにも要注意
〇米つなぎ予算めぐり政府機関の一部閉鎖観測がさらに高まれば、ドル売り要因に
〇本日は米11月PCEデフレーター、12月ミシガン大学消費者信頼感指数確報などの発表予定
〇ドル高・円安方向、157.30-40が最初の抵抗、抜けると157.90-95を目指すか
〇ドル安・円高方向、本日東京安値156.75-80の攻防にまずは注目
〇欧米時間のドル円予想レンジ:156.00-157.70

<< 東京市場の動き >>

東京市場はドルが弱含み。本邦要人からの口先介入もあり、円の買い戻しが優勢だった。

ドル/円は157.40-45円で寄り付いたのち、当初はドル買いが先行し158円に迫る。157.90-95円まで値を上げ、昨日の戻り高値を更新した。しかし、加藤財務相や三村財務官から円安けん制発言が聞かれたこともあり、調整思しき動きが徐々に優勢に。157円を割り込みむなど、目先高値から1円を超える下落をたどっている。16時現在でも、ドルはそのまま安値圏の157円挟みで推移し、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは「日本の金融・為替政策」と「米つなぎ予算をめぐる動き」について。
前者は、昨日日銀が金融会合の結果として「金利の据え置き」を発表するとともに、来年以降の先行きについても利上げに消極的な見通しを示した。これが一連ドル高・円安を促進させたわけだが、のちにIMF報道官からは「日銀の利上げ見送りは妥当だった」というお墨付きを得ていたようだ。そうしたなか、本日東京時間にドル/円は先で指摘したような158円に迫る展開をたどったこともあり、複数要人から円安けん制発言が聞かれている。加藤財務相は「為替動向を憂慮しており、行き過ぎた動きには適切に対応」、三村財務官は「投機的動きも含めて憂慮している」と述べていた。まだ、それほど強い文言ではないものの、160円に向けた動きが再び強まるようだと、さらにトーンの上がった発言になる可能性もある。

後者は、現地時間17日に米連邦議会の与野党指導部が、「つなぎ予算」を2025年3月14日まで延長することで合意した。これを受け、政府機関の一部閉鎖は回避されたと目されたが、なんとトランプ次期米政権で歳出削減を主導するマスク氏が反対を表明。さらにトランプ氏自身も反対を表明したことで、一時議会は混乱状態に陥った。そののち、トランプ氏の意向を含めた「新たなつなぎ予算延長法案」を米議会共和党が取りまとめたものの、なんとこちらも否決されている。もはや時間的猶予は残されておらず、政府機関の一部閉鎖もやむ無しといった見方も少なくないようだ。いずれにしても続報などを注視したい。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円相場は昨日だけで3円を超えるドル高進行。11月高値156.76円を超えただけでなく、さらに続伸し一時157.80円を示現している。基本的なリスクは間違いなくドル高方向に高く、薄っすらとだが160円というレベルも視界内に入ってきたようだ。しかし、先でも取り上げたようにレベルや上昇スピードから、日本当局の円安けん制発言が観測されやすいこともあり、昨日のような急速なドル高進行も予想しにくい。むしろ、短期的には調整的な下押しにこそ要注意という気もしている。
日米で12月の金融会合が実施され、その結果がそれぞれ発表されている。当月分はともかく、先行きについて総括すると「そう簡単に日米金利差が縮まりそうにない」という結論になりそうだ。これがいましばらくドル/円においてドルの強い下支え要因となる可能性もある。なお、そうしたなか気掛かりなのが先で取り上げた「米つなぎ予算」をめぐる動き。これまでノーマークに近かったが、ここにきて相場の波乱要因として大きくクローズアップされてきた。米政府機関の一部閉鎖観測がさらに高まればドル売り要因に。

テクニカルに見た場合、昨日のドル/円は予想以上のドル高進行。本日早朝に示現した157.90-95円は7月17日以来の高値になる。今年のドル最高値161.96円を起点とした大きな下げ幅を考えても、フィボナッチ76.4%戻しをすでにしっかりと上回っており、多少の時間はかかるにせよ、160円台到達は否定できない状況だ。
それに対するドルのサポートは155円。少し遠い気がするものの、上昇スピードの速さからすると、しっかり下げ始めたらスピードもなかなか速いかもしれない。

本日は米経済指標として、11月のPCEデフレーターや12月のミシガン大学消費者信頼感指数確報などが発表される予定となっている。ポジションの偏りや上昇スピードから調整が入りやすい状況だけに、指標悪化によるドル続落を懸念する声も聞かれていた。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは156.00-157.70円。ドル高・円安方向は、157.30-40円が最初の抵抗で、抜けると東京高値の157.90-95円を目指しそうだ。
対するドル安・円高方向は本日東京安値156.75-80円の攻防にまずは注目。下回ると156.40円レベルがターゲットに。それも下回ると156円割れか。

上昇リスク高いが、調整の動きにも要注意

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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