ドル円見通し FOMC後の米10年債利回り上昇と日銀利上げ見送りで11月15日高値を上抜く(24/12/20)

ドル円は20日未明に157.80円へ大幅続伸して11月15日高値156.74円を超え、9月16日安値139.57円を起点とした上昇は二段目に入った。

ドル円見通し FOMC後の米10年債利回り上昇と日銀利上げ見送りで11月15日高値を上抜く(24/12/20)

FOMC後の米10年債利回り上昇と日銀利上げ見送りで11月15日高値を上抜く

〇昨日のドル円、FOMCの来年以降の利下げ回数下方修正でドル全面高となり、154.85へ上昇
〇その後、日銀の追加利上げ見送り、来年1月利上げも見送りとの見方強まり156円突破
〇夜発表の米指標は軒並み強く、米長期債利回りの上昇継続を受けて157.80へ大幅続伸
〇米GDP上方修正、失業保険申請件数も減少
〇157.80超えからは159円前後への上昇を想定
〇157円割れから続落の場合は56.41試しとする

【概況】

ドル円は19日早朝の米FOMCが予想通りに0.25%利下げを決定した上で2025年の利下げ想定回数を9月時点の4回から2回へ半減させて2026年の利下げ想定も2回としたため、米長期債利回りが急上昇して為替市場はドル全面高となり、ドル円は19日午前序盤に154.85円へ上昇して12月16日深夜高値154.47円を超えて12月3日安値148.64円以降の高値を更新した。
19日の日銀金融政策決定会合では追加利上げが見送られたが、年明け以降の利上げ判断について植田総裁が賃上げ状況やトランプ次期米政権の政策を見極めてから決定する姿勢を示したため、来年1月の利上げも見送りとの見方が強まり、総裁会見を通過しながら156円を突破した。

19日夜の米経済指標も軒並み強かったことで米長期債利回りはFOMC後の上昇を継続し、ドル円は20日未明に157.80円へ大幅続伸して11月15日高値156.74円を超え、9月16日安値139.57円を起点とした上昇は二段目に入った。今年4月29日に160.16円を付けた後に市場介入があり、7月3日に161.94円へ上昇した後の7月11日にも市場介入が行われているため、市場介入への警戒感は高まるものの、米長期債利回り上昇が続く内は160円台を目指して行くのではないかと思われる。

【米GDP上方修正、失業保険申請件数も減少】

19日夜の米経済指標は概ね強めとなり、FOMCが利下げペースを大幅に鈍化させ、休止が続く可能性も意識させるものだった。
米商務省による7‐9月期GDP確定値は年率換算で前期比3.1%増となり改定値の2.8%増から上方修正され、4‐6月期の3.0%増を上回り、10四半期連続のプラス成長とした。個人消費は3.7%増で改定値の3.5%増から上方修正され、輸出入や設備投資も上方修正された。四半期ベースのインフレ指標であるPCEデフレーターは全体で1.5%となり改定値と変わらず、コアPCEデフレーターは2.2%で改定値の2.1%から上方修正された。
米労働省による新規失業保険申請件数は12月14日までの週間で前週比2万2000件減の22万件となり市場予想の23万件を下回り、失業保険受給者総数は12月7日までの週間で187万4000人となり前週から5000人減少した。

米フィラデルフィア連銀の12月製造業景況指数はマイナス16.4となり11月のマイナス5.5から低下して市場予想のプラス3.0を下回った。
米コンファレンス・ボードによる11月景気先行指数は99.7となり前月比0.3%上昇して市場予想の0.1%低下に反して10月の0.4%低下から改善した。
米不動産業者協会(NAR)による11月中古住宅販売件数は年換算で前月比4.8%増の415万戸となり、10月の396万件及び市場予想の409万件を上回った。

【米10年債利回りは連騰、NYダウは11日ぶり小反発】

19日の米長期債利回りは10年債利回りと30年債利回り等がFOMC通過後の上昇を継続したが、2年債利回りは上昇一服で低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の4.57%となり、18日の0.12%上昇から続伸し、一時4.597%をつけて12月6日の4.13%及び9月17日の3.60%以降の最高を更新した。
30年債利回りは前日比0.06%上昇の4.74%となり、18日の0.09%上昇から連騰して一時4.77%をつけて12月6日の4.30%及び9月17日の3.90%以降の最高を更新した。
2年債利回りは18日に前日比0.11%上昇して一時4.37%をつけて12月6日の4.08%以降の最高としたが、19日は上昇一服で0.04%低下の4.32%となった。
長期スパンでは上昇継続だが、ペースダウンしたとはいえまだ利下げ余地があることで2年債利回りの上昇にはややブレーキがかかった印象だ。ドル円は10年債利回りと概ね正相関で推移しているため、10年債利回りの上昇が続く内はドル円も上昇しやすい。

一方で、前日に1123.03ドル安と大幅下落して凡そ50年振りとなる10営業日続落としたNYダウは下げ一服で前日比15.37ドル高と小幅上昇したが、ナスダック総合指数は18日の716.37ポイント安からの続落で19.92ポイント安とし、S&P500指数も18日の178.45ポイント安から19日も5.08ポイント安と小幅続落した。いずれも米国の利下げペースが大幅に鈍化し、休止もあり得るとの見方が強まる中で先高への楽観が後退している。年末に入り来年1月のトランプ政権発足に対しても慎重な姿勢で持ち高調整的な売り圧力がかかっている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月18日早朝安値153.11円を押し目として上昇を再開し、19日早朝に16日深夜高値を超えて一段高に入り、20日未明に157.80円まで急伸した。19日午前時点では目先の高値形成期を19日夜から23日深夜にかけての間としたが、20日未明へ急伸後も157円台を維持しているのでまだ一段高余地ありとみる。ただし、157円割れを弱気転換注意とし、19日夜反落時安値156.41円割れからは急騰後の修正安に入るとみて20日深夜から25日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では19日早朝への急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返し、その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、急騰後の反動安も警戒し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンの上限を試す可能性もあるが、先行スパンを上回る状況を続けるうちは遅行スパンがその後に好転するところから上昇再開とする。

60分足の相対力指数は19日夕刻に80ポイントを超えたが、20日未明への一段高に際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行気配がみられる。65ポイント以上を維持する内は一段高余地ありとするが、65ポイント割れから続落の場合は50ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、157.00を下値支持線、20日未明高値157.80円を上値抵抗線とする。
(2)157円台を維持するか一時的に割り込んでも回復する内は一段高余地ありとし、157.80円超えからは159円前後への上昇を想定する。158.50円以上は反落注意とするが、157円を上回っての推移か、直前高値から1円を大きく超える反落が発生しないうちは週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)157円割れから続落の場合は19日夜反落時安値156.41円試しとし、156.41円割れからは156円前後への下落を想定する。156円以下は反騰注意とするが、156.41円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

12/20(金)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -0.7%、予想 0.5%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 2.4%、予想 0.8%)
16:00 (独) 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.6%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 PCE(個人消費支出) 前月比 (10月 0.4%、予想 0.5%)
22:30 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 2.3%、予想 2.5%)
22:30 (米) 11月 コアPCEデフレーター(食品エネルギー除く) 前月比 (10月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 コアPCEデフレーター(食品エネルギー除く) 前年同月比 (10月 2.8%、予想 2.9%)
24:00 (欧) 12月 消費者信頼感・速報値 (11月 -13.7、予想 -14.0)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 74.0、予想 74.0)


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る