ドル円、約5カ月ぶり高値圏へと急上昇。日銀によるハト派サプライズが円売りを主導
〇ドル円、米国時間午後にかけて、高値157.82(7/19以来の高値圏)まで急伸
〇日銀政策決定会合での利上げ見送り決定、植田日銀総裁とのハト派的な発言、米指標の好調等が背景
〇ユーロドル、独指標の好調、欧州債利回り上昇等に一時1.0423まで反発
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、強い買いシグナルも点灯、地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズ的にも日米金利差に着目したドル買い・円売り安心感がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:156.75ー158.50
海外時間のレビュー
19日(木)のドル円相場は大幅上昇。アジア時間朝方にかけて、安値154.44まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日銀金融政策決定会合での利上げ見送り決定や、(2)植田日銀総裁による「追加利上げの判断にはもうワンノッチ欲しい」「来年の春闘などの情報も必要」「輸入物価の対前年比は落ち着いている」とのハト派的な発言、(3)上記2を背景とした円金利先高観の大幅後退(次回1月会合での追加利上げ観測後退→円キャリートレード本格再開→円独歩安)、(4)米新規失業保険申請件数(結果22.0万件、予想23.0万件)の良好な結果、(5)米7-9月期GDP確報値(結果+3.1%、予想+2.8%)の市場予想を上回る結果、(6)米7-9月期コアPCE確報値(結果+2.2%、予想+2.1%)の市場予想を上回る結果、
(7)米7-9月期個人消費確報値(結果+3.7%、予想+3.6%)の市場予想を上回る結果、(8)米11月景気先行指数(結果+0.3%、予想▲0.1%)の市場予想を上回る結果、(9)米11月中古住宅販売件数(結果415万件、予想408万件)の市場予想を上回る結果、(10)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが5/30以来となる4.57%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値157.82(7/19以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/20午前2時00分現在)では、157.69前後で推移しております。
19日(木)のユーロドル相場は上値の重い展開。アジア時間早朝にかけて、安値1.0345(11/22以来の安値圏)まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買い(11/22に記録した年初来安値1.0334を背にした押し目買い圧力)や、(2)ドイツ1月GFK消費者信頼感指数(結果▲21.3、予想▲22.5)の市場予想を上回る結果、(3)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支えとなり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0423まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米経済指標の良好な結果や、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/20午前2時00分現在)では、1.0357前後まで値を崩す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は日米金融政策イベントを経て、約5カ月ぶり高値圏(7/19以来の高値となる157.82)まで急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側に位置していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が点灯したこと、上位足のみならず下位足でも強い買いシグナルが複数点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる過度な利下げ期待の剥落(今週開催された米FOMCは極めてタカ派的な内容)や、(2)日銀による過度な利上げ期待の剥落(今週開催された日銀金融政策決定会合は極めてハト派的内容)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待(日米金利差に着目したドル買い・円売り安心感)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。政府・日銀による円安阻止を目的とした為替介入が警戒されるものの、7/3に記録した年初来高値161.99を超えてくるまでは、口先介入に留まると見られることから(実弾介入に踏み切る可能性は乏しいと見られることから)、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は本邦11月全国消費者物価指数や、米11月個人所得・個人支出、米11月PCEデフレータ、米12月ミシガン大消費者信頼感指数確報値などに注目が集まります。
本日の予想レンジ:156.75ー158.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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