11月のドル高値が視界内、ただ上昇早すぎる
〇本日のドル円、日銀の金利据え置きを受け155円を超え、夕方には156円台へ
〇来年以降の追加利上げ、予想以上に消極的と捉えられ円売り要因に
〇日米金利差ではドル高方向に有利な状況が当面続くか、円安けん制発言にも一応注意
〇本日は米3QGDP確報、12月フィラデルフィア連銀非製造業指数等の発表予定
〇ドル高・円安方向、フィボナッチポイント156.76をめぐる攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向、155.50レベルまで目立ったサポートないが、一旦崩れると予想以上の下押しも
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが堅調裡。約1ヵ月ぶりに155円を超えただけでなく、一時156円台も。
ドル/円は154.80-85円で寄り付いたのち、次の材料をにらみつつ当初は揉み合い。そのなかで、日中安値の154.45円レベルを示現している。しかし、注目の日銀会合結果として「金利据え置き」が発表されたあたりからドル買い・円売りが優勢に。155円を超えても勢い衰えず、夕方には156円台へ。16時現在、ドルはそのまま高値圏をキープし、欧米市場を迎えている。
なお、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは冴えず。13日以来となる一時10万ドル割れを記録していた。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「日本の金融政策」について。
前者は、昨日のNY時間に米FOMCの結果が発表され、その内容は予想通り3会合連続の「利下げ実施」となった。しかし同時に、金融緩和のペース鈍化を見込み通常ペースで2回分の利下げを予測したことがサプライズとなり、大きなドルの買い要因に。ブルームバーグでは、市場参加者の見方として「パウエル氏はハト派を装うタカ派」−−などと報じていた。なお、上記のような動きを受けた米金利の高止まりを嫌気、18日の取引でNYダウは急落し、実に終値ベースで1100ドル以上も値を下げた。
後者は、事前にはドル/円などで円安が進行していることもあり、「利上げに踏み切りやすい環境」などといったポジショントークも聞かれていたが、フタを開けてみると日銀は「金利据え置き」と発表している。ただし田村委員は利上げを主張、据え置きに反対したという。一方、年明け以降については「わが国経済・物価をめぐる不確実性は引き続き高い」、「米次期政権の政策めぐる不確実性は大きい」−−などといった、どちらかと言えばネガティブな文言が目に付く。市場では「予想以上に日銀は追加利上げに消極的」といった声も聞かれており、為替市場においては円売り要因に。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日までおおむね154円挟みの値動きをたどっていたドル/円相場だが、本日東京時間にレンジを一気に上放れ。155円を超えただけにとどまらず、そのまま156円台まで大きく続伸している。これをフィボナッチで考えると、11月高値156.76円を起点とした下げ幅の76.4%戻しもすでに大きく上回ってきた計算で、次のターゲットは100%戻し。そのレベルも仮に超えると薄っすらとだが、160円というレベルも視界内に入ってきそうだ。
市場の関心が高かった日米の金融政策が、昨日から本日に掛けてともに発表されている。結果などは前述したとおりだが、これから言えることは「そう簡単に日米金利差は縮まりそうにない」ということ。つまり、金利差に着目した場合にはドル高・円安方向に有利な状況がまだ当面続く可能性を否定できない。とは言え、さすがにドル高進行スピードが速いうえ、日本当局の円安けん制発言などにも一応要注意だ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京で堰を切ったようなドル高進行。11月15日以来の156円台を示現しており、次のターゲットはその15日に記録した156.76円となる。ちなみに、156.76円は今年のドル最高値161.96円を起点とした下げ幅の76.4%戻しにもほぼ匹敵。したがって、超えてしまうと多少の時間はかかるにせよ、160円台到達が否定できなくなりそうだ。
それに対するドルのサポートは155円。上昇スピードの速さからすると、下げ始めたらそのスピードもなかなか速いかもしれない。
本日は米経済指標として、7-9月期のGDP確報や12月のフィラデルフィア連銀非製造業活動指数などが発表される予定となっている。先でも指摘したように、FRBは昨日、追加利下げに慎重な姿勢を示したが、それを裏付ける指標内容となるのか否かに注目だ。また、別途英中銀による政策金利の発表も注視されている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは155.50-157.00円。ドル高・円安方向は、フィボナッチポイントにあたる156.76円をめぐる攻防にまずは注目。超えると、もちろん157円台乗せも。
対するドル安・円高方向は少し遠いが155.50円レベルまで目立ったサポートは見当たらない。つまり下値は空白地帯に近いことで、一旦崩れると予想以上の下押しも。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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