ドル円見通し FOMC後に一段高、日銀会合で利上げ姿勢を見定めて一段高を伺う(24/12/19)

ドル円は、19日早朝に154.85円へ急伸して12月3日安値148.64円以降の高値を更新した。

ドル円見通し FOMC後に一段高、日銀会合で利上げ姿勢を見定めて一段高を伺う(24/12/19)

FOMC後に一段高、日銀会合で利上げ姿勢を見定めて一段高を伺う

〇昨日のドル円、FOMC前に154円到達、早朝の政策金利発表後は154.85へ急伸
〇FRB予想通り0.25%利下げ実施するも、来年の利下げペース大幅鈍化予想で米長期債急伸、ドル全面高に
〇パウエル議長、追加利下げにはインフレ鈍化の確認必要と慎重な姿勢示す
〇本日の日銀金融政策決定会合に要注目
〇NYダウは50年振りの10営業日続落
〇154.85超えからは155円台後半への上昇を想定
〇153.75割れからはいったん下げに入るとみて12/18未明安値153.11を試す下落を想定

【概況】

ドル円は米国の利下げペース鈍化見通しによる米長期債利回り上昇と日銀が12月利上げを見送るとの見方を背景として12月9日から16日まで6連騰とし、16日深夜高値154.47円からいったん持ち高調整に入り、18日未明に153.11円まで下げていたが、FOMCが迫る中で19日未明に154円到達まで戻し、19日早朝の米FOMCが予想通りに0.25%利下げを決定した上で2025年の利下げ想定を半減したために米長期債利回りが急上昇してドル全面高となり、19日早朝に154.85円へ急伸して12月3日安値148.64円以降の高値を更新した。

本日は日銀金融政策決定会合があり、追加利上げは見送りの公算とされているが、年明け以降の利上げについて前傾姿勢を強調するのか、トランプ政権発足後の状況や春闘を見定めないという利上げを急がないややハト派姿勢を示すのかにより、ドル円の動向も変わってくる。FOMC後にドル円が一段高したことで円安への警戒感がタカ派姿勢を緩めづらい一方、NYダウが50年振りの10営業日続落で株安連鎖への不安もあるため、7月31日の追加利上げ後に日経平均の暴落から世界連鎖株安を招いた教訓もあるため、市場へのメッセージは難しくなっていると思われる。

【FOMC、利下げペースは大幅に減速】

米FRB(連邦準備制度理事会)はFOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)で政策金利を0.25%引き下げ、3会合連続利下げにより4.25〜4.50%とした上で、景気と雇用の底固さを維持するために利下げを継続するとしたが、FOMC参加者による2025年の利下げ想定回数の中央値が2回とされ、9月FOMC時点の4回から半減し、2026年も2回想定とされた。利下げは全会一致ではなく一人が据え置きを主張した。
FOMC参加者の2025年利下げ想定回数は中央値で2回とされたが、内訳では19人中1人が据え置き、3人が1回、10人が2回、3人が3回、1人が4回、1人が5回だった。3回以上の利下げを支持する者は合計で5人いたわけだが、過半は2回以下だった。

2025年末の金利水準=フェデラルファンド(FF)見通しの中央値は3.9%で9月時点の3.4%から上方修正され、2026年末時点の見通しも3.4%で9月時点の2.9%から上方修正され、2027年は3.1%(9月時点は2.9%)、長期的な中立金利水準は3.0%で9月時点の2.9%から上方修正された。
インフレ見通しについては2025年末で2.5%とされ9月時点の2.1%から大幅に上方修正され、失業率は4.3%で9月時点の4.4%から下方修正された。
パウエルFRB議長は会見で、利下げペース鈍化はインフレ見通し上振れを反映したものだとし、金融緩和ペースを緩める地点かその近くにいると述べた。また金融政策姿勢については「新たな局面に入った」とし、追加利下げにはインフレ鈍化を確認する必要があると慎重な姿勢も示した。

【FOMC後に米長期債利回りは急伸、NYダウは10日続落】

FOMCが利下げペースを大幅にダウンさせたことで18日の米長期債利回りは総じて急伸した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.12%上昇の4.52%となり11月15日の4.51%を超え、一時4.53%をつけて12月6日の4.13%及び9月17日の3.60%以降の最高を更新した。30年債利回りは0.09%上昇の4.68%となり、11月15日と同値とし、2年債利回りは0.11%上昇の4.36%となり12月6日の4.08%以降の最高として11月22日に付けた4.38%へ迫った。
米金利先物市場は1月の利下げはほぼなしとし、2025年の利下げがないとする見方も4割弱に上昇している。トランプ政権発足後の動向次第ではインフレ再燃による利下げ停止もあり得るとして米長期債利回りの上昇は続きやすくなったと思われる。

一方でNYダウは利下げ継続による先高期待が大きく後退したことで前日比1123.03ドル安の大幅下落に陥り、1974年以来50年振りの10営業日続落に終わり、ナスダック総合指数も716.37ポイント安で17日の64.83ポイント安から続落し、S&P500指数も178.45ポイント安と急落した。
利下げ継続による先高期待よりもトランプ政権発足後の保護主義政策による弊害へ関心が移っている印象もある。株安による資金需要でビットコインやゴールドも急落しているため、世界連鎖株安やコモディティー市場の下落期入りも懸念される。日銀がタカ派姿勢で円高がぶり返し、かつ株安の連鎖が続くと円高がさらに勢い付くというケースもあり得ると念頭に入れておきたい。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月16日深夜高値154.47円を起点として下落期に入ったが、18日早朝安値153.11円を押し目として上昇を再開し、19日早朝に154.85円へ一段高した。その後は日銀会合を控えて急騰一服からやや下げているが、日銀会合から波乱含みとなるため、一段高へ進む場合は19日夜から23日深夜にかけての間への上昇を想定し、154円割れからは18日未明安値153.11円試しとし、153.11円割れからが下落継続とみて20日深夜から25日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では19日早朝への急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返した。その後も両スパン揃っての好転がつづいているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、日銀会合後の波乱も懸念されるので、先行スパンから転落する場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は18日未明の30ポイント割れから19日早朝に70ポイント超えへ上昇し、その後も60ポイント台を維持しているのでまだ一段高余地ありとするが、相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとして40ポイント割れを試す低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、154.00を下値支持線、19日早朝高値154.85円を上値抵抗線とする。
(2)154円台を維持するか一時的に割り込んでも回復する内は一段高余地ありとし、154.85円超えからは155円台後半への上昇を想定する。155.75円以上は反落注意とするが、154円を上回っての推移か、直前高値から1円を大きく超える反落が発生しないうちは20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)153.75円割れからはいったん下げに入るとみて18日未明安値153.11円を試す下落を想定する。153.11円割れ回避で154円超えへ切り返す場合は上昇再開とするが、153.11円割れからは152円台中盤への下落を想定する。

【当面の予定】

12/19(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、会見
16:00 (独) 1月 GFK消費者信頼感 (12月 -23.3、予想 -22.5)
18:00 (欧) 10月 経常収支・季調済 (9月 370億ユーロ)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 4.75%、予想 4.75%)
22:30 (米) 7-9月期 GDP・確定値 前期比年率 (改定値 2.8%、予想 2.8%)
22:30 (米) 7-9月期 PCE(個人消費支出)・確定値 前期比年率 (改定値 3.5%、予想 3.6%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCEデフレーター・確定値 前期比年率 (改定値 2.1%、予想 2.1%)
22:30 (米) 12月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (11月 -5.5、予想 3.0)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.2万件、予想 23.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 188.6万人、予想 189.0万人)

24:00 (米) 11月 コンファレンス・ボード景気先行指数 前月比 (10月 -0.4%、予想 -0.1%)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数・年率換算 (10月 396万件、予想 409万件)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数 前月比 (10月 3.4%、予想 3.2%)

12/20(金)
06:45 (NZ) 11月 貿易収支 (10月 -15.44億NZドル)
08:30 (日) 11月 全国CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 2.3%、予想 2.9%)
08:30 (日) 11月 全国CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (10月 2.3%、予想 2.6%)
08:30 (日) 11月 全国CPI・生鮮食料品エネルギー除く 前年同月比 (10月 2.3%、予想 2.4%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 -0.7%、予想 0.5%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 2.4%、予想 1.0%)
16:00 (独) 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 0.2%、予想 0.3%)

22:30 (米) 11月 個人所得 前月比 (10月 0.6%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 PCE(個人消費支出) 前月比 (10月 0.4%、予想 0.5%)
22:30 (米) 11月 PCEデフレーター 前年同月比 (10月 2.3%、予想 2.5%)
22:30 (米) 11月 コアPCEデフレーター(食品エネルギー除く) 前月比 (10月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 コアPCEデフレーター(食品エネルギー除く) 前年同月比 (10月 2.8%、予想 2.9%)
24:00 (欧) 12月 消費者信頼感・速報値 (11月 -13.7、予想 -14.0)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 74.0、予想 74.1)


注:ポイント要約は編集部

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