ドル円、ファーウェイ制裁措置一部猶予で急上昇
海外時間の為替概況
21日の海外市場でドル円は急伸。米商務省が中国通信機器大手ファーウェイ向け輸出禁止措置を、既存のネットワークやスマホの保守などに限って、3ヶ月の猶予期間(8/19まで)を設けたことが好感されました。「ファーウェイを巡る警戒緩和→IT・ハイテク株を中心に米株上昇→世界的な株高→リスク回避ムードの後退→円売り」への連想からドル買い・円売りに拍車がかかると、NY時間には、5/7以来、約2週間ぶり高値となる110.68まで上値を伸ばしました。もっとも、同水準では戻り売り意欲も根強く、その後はクロス円の売りに押される形で再び反落。OECD(経済協力開発機構)による2019年の世界経済成長率見通しの下方修正も重石となる中、結局110.50近辺まで押し戻されてのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は下落後に急反発。欧州時間序盤にかけて一時1.1142まで下げ幅を広げるも、同水準で下げ渋ると、@米商務省がファーウェイ制裁措置を一部猶予すると発表したこと、A英国のメイ首相が2回目の国民投票実施を議会採決にかけると発表したこと、Bユーロ圏5月消費者信頼感指数(結果▲6.5、予想▲7.7)が市場予想を上回る結果を示したことなどが支援材料となり(上記@とAはユーロ円の上昇を通じてユーロドルの上昇に波及)、NY時間にかけて一時1.1185まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、結局1.1168近辺でのクローズとなりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は一目均衡表雲下限(110.42)を突破すると、一時110.68まで上値を伸ばしました。通貨オプション市場では、リスクリバーサルの急縮小(円コールオーバーの急縮小)が見られるなど、円高警戒感の後退が確認されます。@7営業日連続(5/13安値109.02→5/14安値109.14→5/15安値109.16→5/16安値109.33→5/17安値109.50→5/20安値109.82→5/21安値110.04)で下値を切り上げていること、A一目均衡表・三役逆転(日足)が消失したこと、Bローソク足がボリンジャーミッドバンドへ接触し始めたことなどを考慮すれば、トランプ米大統領のツイート(5/5)に端を発した「短期的なドル安・円高トレンド」はひとまず終了したと整理できます。
とはいえ、ファンダメンタルズ的な不安要素(米中貿易摩擦やイランを巡る地政学的リスクなど)がくすぶる中で、ここからの更なる続伸は容易では無いでしょう。事実昨日も90日移動平均線に続伸を阻まれる形で引けにかけて反落に転じました。一目均衡表雲下限が向こう数日で上方シフトすること(明日には110.77近辺まで上方シフト)に鑑みれば、ドル円が今日・明日で一段高とならない限り、再び雲の下限を下回る水準に逆戻りするリスクも残されております。本日はドル円が110円台半ばで底固めできるか否かに注目が集まりそうです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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