ドルの下値トライもダマシに、再びレンジか
<< 東京市場の動き >>
「令和」初日となる1日の東京市場は、ドルがじり高。値幅そのものは20ポイント程度にとどまるなど、さほど大きな変動は見られなかったが、それでも夕方にかけてややドル買いが目立っている。
ドル/円は111.40円前後で寄り付いたのち、緩やかに下値を切り上げる展開。前日NYの流れを継ぎ、飽くまでじりじりとした値動きながら、夕方にかけて日中高値である111.55円レベルまでわずかに値を上げてきた。日米株価が先物取引で堅調推移したことなどが材料視されていた、との指摘もある。16時時点では、111.50-55円で推移、欧米時間を迎えていた。
そのほか目を引いた通貨は、本日もオセアニア通貨。なかでもNZドルは、早朝に発表された同国雇用統計が予想を下回ったことが嫌気され、一時74円半ばから73円台後半まで一気に値を崩す局面も観測されている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米貿易協議」について。
日米については、米農務長官から「米国は農業に関する我々の要求の迅速な解決を求めている」との発言が聞かれるなか、米中は「マルバニー米大統領首席補佐官が、協議は今後2週間で結論が出るとの見通しを示した」うえ、米紙WSJは「関税に始まり関税に終わるか、大詰めの米中貿易協議」と指摘しており、参加者のあいだでそれぞれ思惑を呼んでいたようだ。
そのほか単発モノとして、「『令和』はじまる、1日午前に新天皇陛下が即位」、ブルームバーグ「英首相、離脱問題協議で来週中の結論望む」、トランプ米大統領「FRBが利下げなら米経済はロケットのように上昇」、自民総務会長「消費税率は予定どおり10月引き上げを」−−との発言や報道が観測されている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は昨日欧米時間に111.20-25円まで下落するも、下げ切れず。本日アジア時間には111円半ばまで戻るという「行って来い」に。ドルの下値トライも、再三再四指摘している昨年来の相場の特徴である「ダマシ」だった可能性が取り沙汰されている。このあとも111円における一進一退を予想する向きは少なくないものの、本日は東京のみならず、独仏市場なども「レーバーデー」で休場となるだけに、「薄商い=荒れ模様」の値動きを懸念する声も聞かれていた。
材料的に見た場合、今週は「米中貿易協議」や「FOMC」、「4月の米雇用統計発表」といった注目要因が目白押し。うち、「米中協議」は当初予定から延長し2日目の協議に入っているとされ、動静が引き続き注視されるほか、本日はNY時間に「FOMC」の結果発表とFRB議長の会見が実施される見込みだ。そちらも注意を払いたい。また、週末に発表される米雇用統計と相関性が高い、とされるADP雇用統計がやはりNY時間に発表されるなど、本日は重要イベントが重なるなど、ある種のヤマ場になる可能性も否定できない。
テクニカルに見た場合、過去半月ほどドルの下値を支えてきた111.40円レベルを割り込み、111.20-25円まで下落するも、再び111円半ばへとドルは戻す展開となっている。下値リスクが一時高まった感もうかがえたが、結果からすると今回も「ダマシ」に終わった公算が大きいようだ。いずれにしても、すでに1ヵ月を超える111円台を中心としたレンジを、上下どちらにしっかりと抜けていくのか、その方向性が注視されていることは間違いない。
一方、材料的に見た場合、4月のADP雇用統計や同ISM製造業景況指数など重要な幾つかの米経済指標が発表されるほか、米決算発表も予定されている。前者については、週末の雇用統計を見極めるうえでも重要とされ警戒している向きが多いうえ、後者の決算も昨日欧米時間に見せたドル買い戻しの発端になっていたとの指摘があるだけに本日も予断は許さず。NYはオープンするとはいえ、欧州を中心に休場となる市場も多いだけに、場合によっては「薄商い=荒れ模様」の相場付きをたどることも!?
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.00-111.90円。ドル高・円安方向は、本稿執筆段階で絡む値動きをたどっている移動平均の200日線や25日線が位置する111円半ばの攻防にまずは注視。再びしっかりと超えてくれば、4月29日高値111.90円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先で指摘した200日線などが抵抗となった場合、昨日安値の111.20-25円を再びうかがう展開も。底堅いイメージは崩れていないが、昨日安値を割り込めば110円台突入の芽もみえてくる。(了)
ドル円時間足
オーダー/ポジション状況
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