ドル円、FOMC直後に3週ぶり安値を記録するもパウエル議長記者会見で反発
海外時間の為替概況
1日の海外市場でドル円は安値更新後に急反発。米国時間序盤に発表された米4月ADP雇用統計(結果27.5万人、予想18.0万人)は、市場予想を大幅に上回る力強い結果となりましたが、その後発表された米4月ISM製造業景況指数(結果52.8、予想55.0)や、米4月建設支出(結果▲0.9%、予想0.1%)が共に不冴えな結果となると、ドル円は下げ幅を広げる展開となりました。注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、@政策金利の据え置き(2.25%ー2.50%)、A景気判断の上方修正(economic activity rose at a solid rate)、Bインフレ判断の下方修正(overall inflation and inflation for items other than food and energy have declined and are running below 2 percent)、CIOER(超過準備の付利)の引き下げ(2.40%→2.35%)が決定されました。
直後のドル円相場は、上記BCを材料に約3週間ぶり安値となる111.05まで下げ幅を広げましたが、日本時間3:30から始まったパウエルFRB議長の記者会見にて、「インフレ低下は一過性の要因」「IOERは小幅な技術的調整で政策シフトではない」との見方が示されると、ドル円は反発に転じ、ショートカバー主導で日通し高値111.61まで上値を伸ばしました。もっとも、200日移動平均線が走る111円台半ば前後では戻り売り意欲も根強く、またクロス円の売りも重石となる中、ドル円は引けにかけて再び反落。結局111.40付近でのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場、冴えない米経済指標を背景に上昇し、FOMC直後には、約2週間ぶり高値となる1.1265まで上値を伸ばしました。しかし、パウエルFRB議長記者会見を受けて反落に転じると、俄かロング勢のロスカットを巻き込む形で1.12ちょうどを下方ブレイク。一時1.1188まで下げ幅を広げるなど、上値の重さが目立つ展開となりました。引けにかけて反発するも上値は重く、結局1.12付近でのクローズとなりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、冴えない米ISM製造業景況指数を受けて一目均衡表基準線(111.22)の下抜けに成功し、FOMC直後には、一時111円割れを試す場面も見られました。しかし、結果として111円台は死守された格好となり、パウエルFRB議長記者会見後には111.61まで反発しました。もっとも、他通貨に見られるドル買いの勢いに比べると、ドル円の戻りは明らかに鈍く、昨日も結局200日移動平均線(111.51)や21日移動平均線(111.70)、一目均衡表転換線(111.73)を終値ベースで上抜けるには至りませんでした。重要なポイントは、「ドル買い」局面において「ドル円」の反応が鈍い点です。ここには、「ドル買い・米金利上昇→商品市況や株式相場、新興国通貨の下押し」を通じたリスク回避的な円買いへの連想があります。事実、昨日もユーロ円をはじめクロス円が全般的に下落しており、ドル円の戻りを鈍くさせる一因となりました。こうした一連の動きを見る限り、やはりドル円の上値余地は乏しいと考えられます。週末に米雇用統計を控える中で、ドル円は引き続き上値の重い展開が続くと予想いたします。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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