ドル円見通し ドル高基調続いたが112円台序盤の壁突破には至らず失速(4/26)

26日夜の米GDP、日米通商協議、来週の米中通商協議再開、FOMC、米雇用統計と重要イベントが続くために市場も慎重姿勢に

ドル円見通し ドル高基調続いたが112円台序盤の壁突破には至らず失速(4/26)

【概況】

4月24日深夜安値111.68円で23日安値111.65円割れを回避してから25日早朝高値112.39円へ急伸したが、その後が続かずに25日の日中を失速、25日深夜には111.38円まで下げて1日の高安としては1.01円の下落幅となった。26日未明へやや戻しかけたが26日朝は再び失速気味で25日深夜安値割れへの余裕も乏しい。
4月17日に112.16円まで上昇して3月5日高値112.12円を超えたが高値更新をきっかけに一段高入りできずに伸び悩んだ。25日早朝の急騰も長続きしなかった。高値更新による上昇継続期待を抱けずに失速した背景には112円台に乗せてもさらに一段高へ進むのが難しいとの市場心理もあるのだろう。25日早朝への反騰は輸出企業のドル買いによるものとも言われたが、4月17日以降のドル全面高にあって膠着状態にあったドル円も押し上げられたという見方もできる。しかし大衆買いが続かなかったという事だろう。

4月25日に発表された米経済指標はまちまち。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比3万7000件増の23万件となり2017年9月上旬以来の大幅な増加となった一方で、3月の米耐久財受注では民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比1.3%増となり2018年7月以来の大幅な伸びで金額ベースは700億ドルで過去最高となった。強弱まちまちだったために市場の反応は限定的で決め手に欠いた。それらよりも26日夜の米GDP、日米通商協議、来週の米中通商協議再開、FOMC、米雇用統計と重要イベントが続くために市場も慎重姿勢にあり、特にGWの大型連休前で本邦トレーダーも円売りドル買いポジションを積極的には取り難く、高値を更新したものの失速したことでの目先的な失望感とクロス円での円高感が強まったためにドル・ストレートでのドル高が継続する一方でドル円が反落したという事だろう。

【ドル・ストレートでのドル高続く】

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は25日に98.34まで上昇して年初来及び2018年2月底以降の高値を更新した。昨年11月以降は97ポイント台が抵抗となって持ち合い状態にあったがそこから上放れている。ドル指数への影響度が5割を超えるユーロは逆に3月安値を割り込んで一段安に入っており、23日からは日足3本連続陰線=三羽烏で下げている。3月7日にECBが年内利上げ再開を断念して量的緩和の再開を決め、その後の欧州経済指標も弱い数字が目立つ中で独10年債利回りが低下している。米連銀も年内利上げを棚上げしたが独米金利差はユーロ売りドル買い要因となっている。
ニュージーランドやオーストラリアの四半期CPIの伸び鈍化が両国中銀の利下げへの転換可能性を高めており両国10年債利回りも低下しているためNZドルや豪ドルの下落も目立つ。当然、豪ドル円やNZ円の下落も目立つ。さらにカナダ中銀が利下げへ姿勢変更するのではないかとの思惑も強まってカナダドルも下落している。4月18日以降はドル人民元でもドル高元安が目立ち始めており、新興国通貨、資源通貨安感も拡大しつつあるところだ。

リーマンショック対策後は世界的な金融緩和拡大での景気持ち直し期待からリスクオン心理で株高円安という反応もあり得たところだが、現状は米中貿易戦争等による世界成長の鈍化、貿易量の萎縮懸念が背景にあるため景気鈍化へのブレーキとしての金融緩和と長期金利低下ではリスクオンへ進めずに金利差での円高要因としての意識が強まると思われる。

【レンジ拡張型持ち合いからの下放れ?】

4月13日へ一段高した後、13日高値と17日高値、25日朝高値を結ぶラインはほぼ1直線で切り上がった。逆に4月16日、18日、23日とほぼ1直線で安値ラインは切り下がった。高値切り上がりと安値切り下がりによるレンジ拡張型の逆三角持合いとも言えたが、25日夜の下落ではこの安値切り下がりラインを割り込んでいるので、レンジ拡張型の往来相場から下放れしてしまう可能性も警戒されるところだ。
現状から新たな安値更新を回避して112円台回復へ戻せばレンジ拡張型での往来継続として、25日早朝高値を超える展開も考えられるが、25日深夜安値を割り込む場合は下放れ感、高値更新後の失速による挫折感で安値試しがさらに続いてゆく可能性もある。そこに週末から来週の重要イベントを弱気で通過するような展開に入ると大きく崩れる可能性もあると注意すべきかもしれない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月23日午前安値で18日安値を割り込んだものの23日深夜高値で18日安値以降の高値であった18日夜高値を上抜いたために24日朝時点では4月16日安値から5日目となる23日午前安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避の内は24日の日中から25日夜にかけての間への上昇と112.50円前後への上昇を想定した。24日深夜から反騰したものの25日早朝高値から反落気配だったために25日朝時点では既にサイクルトップをつけた可能性があるとし、112円円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して23日安値試しへ向かうとした。25日夜の下落で23日安値を割り込んでいるため、25日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は26日午前から30日午前にかけての間と想定されるので、111.75円以下での推移中はもう一段安余地ありとする。111.75円超えを強気転換注意、112円超えからは新たな強気サイクル入りとして30日朝から5月2日にかけての間への上昇を想定し、当初は25日高値とのダブルトップ形成による反落注意とするが、高値更新なら113円を目指す可能性ありとする。

60分足の一目均衡表では25日夜への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換には両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は25日深夜に30ポイント割れまで低下した。23日安値からの一段安に対しては指数のボトムが切り上がり気味だが、25日安値以降では強気逆行気配が見られないのでまだ一段安余地ありとする。25日夜安値を更新し、指数がボトムを切り上げる場合は強気逆行からの上昇再開の可能性ありとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月25日深夜安値111.38円を下値支持線、111.75円を上値抵抗線とする。
(2)111.75円を下回るか、一時的に超えても再び割り込む場合は一段安警戒とし、111.38円割れからは111.00円試しへ向かうとみる。111円以下は反騰注意だが、111.75円以下での推移中は週明けも安値を試しやすいとみる。
(3)111.75円超えからは強気転換注意として112円試しを想定する。112円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、112円超えから続伸なら週明けへの上昇で25日早朝高値試しを想定する。
※来週は大型連休で休刊となるが、4月25日高値超えから続伸なら113円、さらに先行きで昨年10月4日高値111.54円等を目指す流れに乗るとみる。逆に4月10日安値110.83円割れからは3月25日以降の上昇基調が崩れたとみて3月25日安値109.72円試しへ向かう流れとみる。

【当面の主な予定】

4/26(金)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数 前期比 (前期 0.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 生産者物価指数 前年同期比 (前期 2.0%)
14:00 (日) 3月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (2月 4.2%、予想 4.4%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP速報値 前期比年率 (前期 2.2%、予想 2.0%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費速報値 前期比 (前期 2.5%、予想 1.0%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE速報値 前期比 (前期 1.8%、予想 1.6%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 96.9、予想 97.0)

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