ドル円 二度目の112円超えから続伸できず(3/7)

3/6夜に発表されたADPの2月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が市場予想を若干下回ったが市場の反応は限定的だった。

ドル円 二度目の112円超えから続伸できず(3/7)

【概況】

2月28日夜からの上昇で2月26日未明高値を上抜いて一段高入りとなり3月2日には112.07円を付けた。5日未明へ111.64円までいったん下げたものの5日深夜には112.12円を付けてこの間の高値を更新した。しかしその後は112円台を維持できずにジリ安となり、6日夜の下落では5日未明安値をわずかに割り込んだ。7日早朝も続落しており3月2日未明と3月5日深夜の112円超えをダブルトップ型とした下落感が強まっている印象だ。
2月末からのドル高基調は継続しているものの英ポンドが3月5日夜安値からややジリ高、ユーロドルも6日夜安値からはやや戻すなどドル高一服感も見られる。株式市場では上海総合株価指数の高騰が続いているもののNYダウは2月25日高値の後は新たな高値更新へ進めずに年末からのV字反騰一服で3月4日から6日にかけては3日続落、日経平均も3月5日から6日へ続落しているため、株高によるドル円上昇支援も後退している。

3月6日夜に発表された米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)の2月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比18万3000人増となり市場予想の18万90000人増を若干下回ったが市場の反応は限定的だった。

【ECB理事会、米雇用統計、米中協議進展待ち】

3月7日夜のECB金融政策、8日夜の米雇用統計を控えた状況のため金融市場全般がポジション調整的な動きとなりやすく、ドル円も米雇用統計等に先駆けて112円超えからさらに一段高へ走るには時期尚早としてやや押され気味という印象だ。

NY連銀のウィリアムズ総裁は6日の講演で、米経済は減速しているが懸念すべき状況ではなくむしろ想定されるべき「ニューノーマル」であるとの見方を示した。また目立ったインフレ圧力の兆候がないため基本的な見通しは非常に良好とし、今後の金融政策判断については状況次第とした。前回のFOMCで追加利上げに対して忍耐強く判断するとしたことについては「利上げをしないというコミットメントではない」とも指摘した。全般的にハト派的な内容だった。

米商務省が6日夜に発表した貿易統計では2018年の国際収支ベース(季節調整済)の貿易赤字が6210億ドルとなり前年から12.5%増加して2008年以来の規模となった。米中貿易戦争全面化に備えた駆け込み需要による影響もあると思われる。中国に対する貿易赤字は11.6%増の4192億ドルで過去最大となった。対日赤字は1.8%減の676億ドルだった。米中協議については3月中の首脳会談実現による合意形成への期待感がある一方で、米朝首脳会談が決裂したことも踏まえて不安感も再燃している。
トランプ米大統領は中国との貿易協議は「非常に順調に進んでいる」と述べたが、「良い取引が成立するのか、しないのかどちらかだ」とも述べている。米中双方はテレビ会議方式で協議を継続しているようだ。
米中問題に対して中国株式市場はかなり楽観的に推移しており、上海総合株価指数は6日に1.57%高と上昇、年初来の上昇率は24%を超え、3月からの上昇でも5%以上の急伸となっている。週足では前週までが8週連続上昇、今週は9週目に入っているが、連騰続きの相場は急落調整につかまりやすい危うさもあると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月27日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして3月1日から5日未明にかけての間への上昇を想定してきたが、3月5日未明へいったん下げてからの反騰で5日深夜には2日未明高値をわずかに上抜いたため、6日朝時点では5日未明安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとした。また5日未明安値111.64円割れ回避のうちは上昇余地ありとしたが、112円台を維持できずにいたために5日未明安値111.64円割れからは2日未明高値と5日深夜高値によるダブルトップからの弱気サイクル入りとした。
6日深夜の下落で5日未明安値を割り込み、7日朝も続落しているためダブルトップ形成からの弱気サイクル入りと仮定して7日深夜から12日未明にかけての間への下落を想定する。次の112円超えからは新たな強気サイクル入りと考えるが112円台を回復できないうちは一段安警戒とする。

60分足の一目均衡表では3月5日深夜高値からの反落で遅行スパンが悪化し、6日夜には先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが再び好転するところからは強気転換注意とするが、上昇再開は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は6日夜の下落で30ポイント台序盤へ下降した。5日夜からは指数が戻したところのピークが切り下がっており、強気逆行は見られないので安値試しを続けやすい姿となっている。強気転換には50ポイント台回復・維持へと進む必要があると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、111.50円を下値支持線、111.75円から111.90円を上値抵抗線とみておく。
(2)111.75円を上回るうちは111.50円割れから下げが加速しやすいとみて、111.25円から111.00円にかけてのゾーンを試す下落を想定する。111.00円前後では買い戻しが入りやすいとみるが111.75円以下での推移が続くうちは8日の日中も安値を試しやすいとみる。
(3)111.75円超えからは111.90円試しとする。111.90円超えへ進めずに111.75円を再び割り込むところからは下げ再開とみるが、111.90円超えからは上昇再開の可能性が高まるとみて3月5日深夜高値112.12円試しとし、高値更新からは112.50円前後を目指す上昇を想定してゆく。

【当面の主な予定】

3/7(木)
09:30 (豪) 1月 貿易収支 (12月 36.81億豪ドル、予想 29.00億豪ドル)
09:30 (豪) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -0.4%、予想 0.3%)
14:00 (日) 1月 景気先行指数(CI)速報 (12月 97.5、予想 96.0)
19:00 (欧) 10-12月期GDP確定値 前期比 (改定値 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 10-12月期GDP確定値 前年同期比 (改定値 1.2%、予想 1.2%)
21:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、定例記者会見
22:30 (米) 10-12月期非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 2.3%、予想 1.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.5万件、予想 22.5万件)
26:15 (米) ブレイナードFRB理事、講演
29:00 (米) 1月 消費者信用残高 前月比 (12月 165.5億ドル、予想 170.0億ドル)

3/8(金)
未 定 (中) 2月 貿易収支・米ドル (1月 391.6億ドル、予想 271.5億ドル)
未 定 (中) 2月 貿易収支・人民元 (12月 2711.6億元、予想 1220.0億元)
06:45 (NZ) 10-12月期製造業売上高 前期比 (前期 2.0%)
08:50 (日) 10-12月期GDP改定値 前期比 (速報 0.3%、予想 0.4%)
08:50 (日) 10-12月期GDP改定値 年率換算 (速報 1.4%、予想 1.7%)
08:50 (日) 1月 経常収支・季調前 (12月 4528億円、予想 1610億円)
08:50 (日) 1月 経常収支・季調済 (12月 1兆5623億円、予想 1兆3749億円)
08:50 (日) 1月 貿易収支 (12月 2162億円、予想 -1兆1524億円)
11:00 (米) パウエルFRB議長、講演
16:00 (独) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 -1.6%、予想 0.5%)
16:00 (独) 1月 製造業新規受注 前年同月比 (12月 -7.0%、予想 -3.1%)

22:30 (米) 2月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比(1月 30.4万人、予想 18.5万人)
22:30 (米) 2月 失業率 (1月 4.0%、予想 3.9%)
22:30 (米) 2月 平均時給 前月比 (1月 0.1%、予想 0.3%)
22:30 (米) 2月 平均時給 前年同月比 (1月 3.2%、予想 3.3%)

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る