ドル円見通し 18日以降のボックス圏維持攻防(1/29)

三度の110円トライでつけた高値を三点天井として下落期に入る可能性もある。

ドル円見通し 18日以降のボックス圏維持攻防(1/29)

【概況・ポイント】

1月3日の暴落一巡で戻しに入り、当初の1月8日戻り高値109.08円を超えたところから110円試しに向かったが、1月19日高値109.88円、23日深夜高値109.99円、24日深夜高値109.94円と三度のトライは未達成に終わり、25日夜からはドル全面安の流れへ失速した。
1月16日に109円台前半へ乗せてからは23日未明安値109.13円を安値として109円台でのボックス圏を形成してきた。28日深夜安値では109.15円まで下げてこのボックス圏下限に迫っている。1月23日安値割れ回避か、わずかに割り込んでも切り返す内は横ばいのボックス相場の範囲内ということになり、1月3日からのリバウンドによる高値圏維持としてさらに一段高へ進む可能性もあるが、109円割れから続落に入ればボックス圏下放れとなり、上記の三度の110円トライでつけた高値を三点天井として下落期に入る可能性もある。そうした状況のなかで1月29-30日の米連銀FOMC、1月30-31日の米中閣僚級会議、2月1日の米雇用統計等重要経済指標発表等のイベントへ入ってゆく。

【ドル安続く】

1月25日はドル全面安となった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版が25日に「米連銀はリーマンショック対策による量的緩和で買い入れた米国債等の保有資産圧縮を早期に切り上げることを検討している」旨を報じたこと、25日にトランプ大統領の盟友で先の大統領選挙で選対顧問を務めたロジャー・ストーン氏が逮捕されたこと、また25日に米連邦政府機関を3週間再開させる暫定予算が成立したもののその暫定期限内で政府と議会が合意に至らない可能性が強まったことがドル安の背景だった。
1月25日時点ではそれでもNYダウが183.96ドル高と上昇して12月26日以降の戻り高値を更新したのだが、週明けは上記諸問題へのネガティブ反応が優勢となり一時は410ドル安まで売られ、終値でも208.98ドル安と下げた。株安からの債券高で米10年債利回りは一時2.72%へ低下した。1月4日から米10年債利回りは上昇気味に推移していたが1月10日からは再び低下傾向にあり、日米金利差からはドル売り圧力となりつつある。

【米中協議】

ホワイトハウスは米中閣僚級の貿易協議を1月30日と31日の両日にワシントンで開くと正式発表した。中国からは劉鶴副首相らが訪米し、トランプ大統領と劉副首相が31日に会談する見通しとした。既に28日には事務次官級がワシントン入りしている。
米中協議の進展への期待がある一方で米中関係悪化を懸念させる状況も続いている。米司法省は28日にカナダ当局が米国の要請で逮捕した中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)を起訴し、カナダからの身柄引き渡しへの手続きを進めているという。孟副会長は、イランの子会社「スカイコム」との関係について、米国の対イラン制裁を逃れるため、2007年頃から米国の金融機関に対し虚偽説明をしてきた詐欺罪に問われている。また米連邦大陪審は法人としてのファーウェイと関連企業を起訴した。

1月24日にロス米商務長官は中国との合意には程遠いと述べている。世界貿易機関(WTO)では米国の関税拡大を不当とした中国側の申し立てに対する真偽を28日から開始した。覇権を争う貿易戦争のため簡単には合意できないだろうと思うが、トランプ大統領が点数稼ぎで妥協する可能性もある。協議決裂なら株式市場には大きな打撃となり、為替市場もリスクオン的な行動が拡大すると思われる。

【米連邦政府閉鎖問題】

1月25日に米政権と議会の妥協により暫定予算が成立し、政府機関閉鎖はひとまず解除されたが、トランプ大統領は国境の壁建設をあきらめず、非常事態宣言による強行突破姿勢も示しているため、暫定期限切れからの混乱も懸念されている。これに関して米議会予算局(CBO)は、35日間の政府機関閉鎖の影響で約30億ドルの経済的損失が生じ、1-3月期のGDP伸び率が年率換算で0.4%押し下げられるとの試算を示した。2018年10-12月期も0.2%低下したとした。
諸問題が楽観的な結末を迎え、米連銀の金融引き締め政策スタンスが緩めば株式市場はさらに騰勢を拡大して為替市場もリスクオン心理が回復してゆく可能性もあるが、一連のイベントを悲観的に通過してゆく可能性もある。特に米中協議決裂、米暫定予算切れと非常事態宣言等に至れば中国株安、米国株安が負のスパイラルを発生させかねない。楽観が悲観化を見定めて流れに乗じてゆくスタンスでこの1週間を乗り切ってゆきたいところだ。

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

【60分足一目均衡表、サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月25日夜からの下落で109.50円を割り込んできているため1月23日深夜高値と25日深夜高値をダブルトップ(1月19日高値を含めてトリプルトップ)とした弱気サイクルに入っていると思われる。1月23日未明安値を起点として今回のボトム形成期は30日未明までの間と想定される。既に23日未明安値からは4日を経過しているので28日夜の戻り高値109.52円を超える場合はいったん強気サイクル入りとして29日の日中から30日深夜にかけての間への上昇を想定するが、28日夜高値を超えない内は29日未明への一段安余地ありとする。またいったん強気サイクル入りしても早々に直前の安値を割り込んで連続的な弱気サイクル入りとなる可能性もあるので、一時的に109.52円を超えても失速する場合は弱気転換注意とする。

60分足の一目均衡表では25日夜からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落している。このため先行スパンからの転落状況が続く内は一段安警戒とし、先行スパンを上抜く場合はいったん強気サイクル入りとするが、その後に両スパン揃って悪化となる場合は新たな弱気サイクル入りの可能性を踏まえて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月23日未明安値109.13円を下値支持線、28日夜高値109.52円を上値抵抗線とみておく。
(2)109.13円を割り込まないか、一時的に割り込んでも109.52円以上へ切り返す場合は1月18日以降の概ね109円台でのボックス圏持ち合いの維持としてボックス上限の109円台後半への上昇を想定する。重要イベントが続くために強材料で110円を超える場合は111円試しへ向かう可能性も出てくるとみるが、強気材料の後押しなければ109円台中盤までの戻りから失速しやすいとみる。
(3)109.13円割れ、さらに109円割れと続落の場合は108.75円から108.25円にかけてのゾーンを試すとみる。108.27円(ボックス圏の値幅もう一つ分)前後では買い戻しも入りやすいとみるが、109円以下での推移が続く場合は30日以降へ続落しやすいと注意する。重要イベントでの弱気反応が続く場合は1月10日安値107.74円、さらに107.50円まで下値目処を引き下げてゆく。

【当面の主な予定】

1/29(火)
未 定 (米) EU離脱代案の議会審議と採決
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
23:00 (米) 11月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (10月 5.0%、予想 4.9%)
24:00 (米) 1月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (12月 128.1、予想 124.9)

1/30(水)
※米GDP速報は来週へ延期見込み
08:50 (日) 12月 小売業販売額 前年同月比 (11月 1.4%、予想 0.8%)
09:30 (豪) 10-12月期消費者物価 前期比 (前期 0.4%、予想 0.4%)
09:30 (豪) 10-12月期消費者物価 前年同期比 (前期 1.9%、予想 1.7%)
16:00 (独) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 10.4、予想 10.3)
19:00 (欧) 1月 経済信頼感 (12月 107.3、予想 106.9)
19:00 (欧) 1月 消費者信頼感確報値 (速報 -7.9、予想 -7.9)

22:00 (独) 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 0.1%、予想 -0.8%)
22:00 (独) 1月 消費者物価指数 前年同月比 (12月 1.7%、予想 1.6%)
22:15 (米) 1月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (12月 27.1万人、予想 18.0万人)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 -0.7%、予想 0.5%)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 2.25-2.50%、予想 2.25-2.50%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

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